実引数 (ジツヒキ スウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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実引数 (ジツヒキ スウ) の読み方

日本語表記

じつひきすう (ジツヒキスウ)

英語表記

actual argument (アクチュアル・アーギュメント)

実引数 (ジツヒキ スウ) の意味や用語解説

実引数とは、プログラミングにおいて関数やメソッド、サブルーチンといった一連の処理をまとめたブロックを呼び出す際に、その処理に実際に渡される具体的な値や変数のことを指す。これは、関数が外部からデータを受け取り、そのデータに基づいて特定の動作を実行するために不可欠な要素である。関数は通常、何らかの入力を受け取って出力を生成したり、内部の状態を変更したりするが、その入力となるのが実引数である。 関数の定義時には、どのようなデータを受け取るかをあらかじめ宣言しておく必要がある。この宣言されるデータを「仮引数」と呼ぶ。例えば、ある関数が二つの数を受け取ってそれらを足し算する処理を行う場合、関数の定義では「一つ目の数」と「二つ目の数」という形で仮引数が指定される。そして、実際にその関数を利用する際には、「5」と「3」のように、具体的な数値を指定して関数を呼び出す。この「5」や「3」といった、関数呼び出し時に渡される具体的な値こそが実引数である。実引数は仮引数にその値を「渡す」ことで、関数内部で処理に利用されるデータとなる。 実引数の概念をより深く理解するためには、それが関数にどのように「渡される」かを把握することが重要である。プログラミング言語には、主に「値渡し」と「参照渡し」という二つの実引数の渡し方がある。 値渡しの場合、実引数の「値そのもの」がコピーされ、そのコピーが仮引数に渡される。関数内部で仮引数の値を変更したとしても、それはあくまでコピーされた値に対する変更であり、呼び出し元で指定した元の実引数には影響しない。例えば、変数xを実引数として関数に渡した後、関数内でその仮引数(xのコピー)の値を変更しても、関数の実行が終了した後も元の変数xの値は変わらない。これは、関数が独立した形で処理を行うことができ、外部のデータに意図しない変更を加えるリスクを低減できるという利点がある。 一方、参照渡しの場合、実引数の「値そのもの」ではなく、「その値がメモリ上のどこに存在するかを示す情報(アドレスや参照)」が仮引数に渡される。これにより、関数内部で仮引数を介してデータにアクセスしたり変更したりすると、それは呼び出し元の実引数に対しても直接的な変更となる。例えば、オブジェクトや配列を実引数として渡す場合、多くのプログラミング言語では参照渡しに近い挙動を示す。関数内で仮引数を変更すると、呼び出し元のオブジェクトや配列もその変更が反映されることになる。これは、大規模なデータをコピーせずに共有できるため、効率的な処理が可能になるという利点がある一方で、関数が呼び出し元のデータに影響を与えるため、意図しない副作用が生じないよう注意深いプログラミングが求められる。 実引数として渡せるものは多岐にわたる。具体的に「10」や「"Hello"」といったリテラル(直接記述された値)はもちろん、計算結果を渡すための「a + b」のような式、そして「myVariable」といった変数などが実引数として利用できる。また、オブジェクト指向プログラミングにおいては、オブジェクトそのものが実引数として渡されることも一般的である。 実引数を使用する際にはいくつかの注意点がある。まず、関数が期待する仮引数の「型」と、実際に渡す実引数の「型」が一致している必要がある。例えば、数値を期待する仮引数に対して文字列を渡そうとすると、型不一致のエラーが発生したり、予期せぬ動作を引き起こしたりする可能性がある。次に、仮引数の「数」と実引数の「数」が一致していなければならない。関数が二つの引数を期待しているにもかかわらず、一つしか渡さなかったり、三つ渡したりすると、プログラムは正しく動作しない。さらに、仮引数と実引数の「順序」も重要である。複数の仮引数がある場合、対応する実引数を正しい順序で渡さなければ、意図したデータが意図しない仮引数に割り当てられ、論理的な誤りにつながる。 これらの点を踏まえ、プログラマは関数を呼び出す際に、その関数がどのような実引数を、どのような型で、いくつ、どのような順序で期待しているのかを正確に理解し、適切に実引数を指定する必要がある。これにより、関数は期待通りのデータを受け取り、正確な処理を実行することが可能となる。実引数は、プログラムの各部品(関数)が互いに連携し、データをやり取りするための基本的な手段であり、プログラミングにおけるデータフローの理解に不可欠な要素である。

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