アドミッション制御(アドミッション セイギョ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
アドミッション制御(アドミッション セイギョ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
アドミッション制御 (アドミッション セイギョ)
英語表記
Admission Control (アドミッションコントロール)
用語解説
アドミッション制御は、ネットワークやシステムへの新規接続やリソース要求を、現在のシステムの状態に応じて許可または拒否する仕組みのこと。システム全体の安定性や品質を維持するために重要な役割を果たす。特に、ネットワーク帯域、CPU使用率、メモリ容量などのリソースが限られている環境において、過負荷状態を回避し、既存の接続や処理への影響を最小限に抑えるために用いられる。
アドミッション制御の目的は、大きく分けて以下の3点。
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過負荷の防止: システムが処理能力を超えるリソース要求を受け入れると、応答遅延やサービス停止といった事態が発生する可能性がある。アドミッション制御は、リソースの使用状況を監視し、負荷が一定の閾値を超えないように新規接続や要求を制限することで、システム全体の過負荷を防ぐ。
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品質保証: 全ての要求を無条件に受け入れるのではなく、重要な接続や処理を優先的に許可することで、特定のサービスの品質を保証する。例えば、音声通話やビデオ会議など、リアルタイム性が求められるサービスに対して、優先的にリソースを割り当てることで、高品質な通信を維持できる。
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セキュリティ: 不正なアクセスやDoS攻撃など、悪意のあるトラフィックを遮断することで、システムへの不正な侵入やサービス妨害を防ぐ。アドミッション制御は、事前に定義されたポリシーに基づいてアクセスを制限し、セキュリティを強化する。
アドミッション制御の実現方法には、様々な方式が存在する。主な方式としては以下のものがある。
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帯域幅制御: ネットワーク帯域の使用量を監視し、特定のアプリケーションやユーザーに対して帯域幅を制限する。例えば、動画ストリーミングサービスに対して帯域幅を制限することで、他のアプリケーションの通信を阻害しないようにする。
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同時接続数制限: サーバーやネットワーク機器への同時接続数を制限する。これにより、DoS攻撃などによる過剰な接続要求を防ぐことができる。
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QoS (Quality of Service): ネットワーク上で特定のトラフィックに優先順位を付け、優先度の高いトラフィックに対して優先的にリソースを割り当てる。音声やビデオなどのリアルタイム性の高いトラフィックを優先することで、品質を向上させる。
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アクセス制御リスト (ACL): 事前に定義されたルールに基づいて、ネットワークトラフィックの送受信を許可または拒否する。特定のIPアドレスやポート番号からのアクセスを制限することで、セキュリティを強化する。
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リソース予約: 特定のアプリケーションやユーザーのために、事前にリソースを予約しておく。これにより、必要な時に確実にリソースを利用できるようになる。
アドミッション制御の実装においては、いくつかの考慮事項がある。
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ポリシーの設計: システムの要件やサービスの特性に基づいて、適切なポリシーを設計する必要がある。ポリシーが厳しすぎると、必要な接続や処理が拒否され、利便性が低下する可能性がある。一方、ポリシーが緩すぎると、過負荷や品質低下のリスクが高まる。
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リソース監視: システムのリソース使用状況をリアルタイムで監視し、正確な情報に基づいてアドミッション制御を行う必要がある。リソース監視が不正確だと、誤った判断を下し、システムに悪影響を与える可能性がある。
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動的な調整: システムの負荷状況やサービスの優先度に応じて、アドミッション制御のポリシーを動的に調整することが望ましい。例えば、特定の時間帯に負荷が高まる場合は、より厳格なポリシーを適用し、負荷が低い時間帯には緩和する。
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ユーザーへの通知: アドミッション制御によって接続や処理が拒否された場合、ユーザーに対して適切な通知を行う必要がある。拒否された理由や対処方法を伝えることで、ユーザーの不満を軽減し、再試行を促すことができる。
アドミッション制御は、複雑なシステムにおいて、安定性、品質、セキュリティを確保するために不可欠な技術。システムエンジニアは、アドミッション制御の基本的な概念を理解し、適切な方式を選択し、効果的なポリシーを設計することが求められる。