親和図法(シンワズホウ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
親和図法(シンワズホウ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
親和図法 (シンワズホウ)
英語表記
Affinity Diagram (アフィニティダイアグラム)
用語解説
親和図法は、集めた情報を整理・分析し、問題解決やアイデア創出につなげるための手法の一つだ。特に、ブレインストーミングなどで大量に出たアイデアや、複雑に絡み合った情報を整理するのに役立つ。KJ法と呼ばれることもあるが、厳密にはKJ法は文化人類学者の川喜田二郎が考案したもので、親和図法はその応用として生まれた。
親和図法のプロセスは、大きく分けて以下の段階で構成される。まず、テーマに関する情報を収集する。これは、ブレインストーミング、アンケート、インタビューなど、様々な方法で行われる。重要なのは、できるだけ多くの情報を集めることだ。
次に、集めた情報をカードや付箋に書き出す。1つのカードに1つの情報、アイデア、意見などを記述する。この際、表現は簡潔で分かりやすく、抽象的な表現は避けることが重要だ。情報が多岐にわたる場合は、色分けするなどして、後で整理しやすいように工夫することも有効だ。
そして、カードを机や壁に並べ、類似する情報をグループ化していく。このグループ化の過程が、親和図法の核心部分だ。直感的に関連性のあるカードをまとめ、グループに名前をつける。この名前は、グループの内容を的確に表すものでなければならない。グループの規模は特に決まっておらず、少数のカードからなるグループもあれば、多数のカードを含むグループもある。重要なのは、関連性の高い情報をまとめることだ。
グループ化が終わったら、グループ間の関連性を分析する。複数のグループに共通する要素を見つけたり、グループ間の因果関係を明らかにしたりする。グループをさらに大きなグループにまとめることも可能だ。この分析を通じて、問題の構造や全体の傾向が見えてくる。
最後に、分析結果を図として表現する。グループ間の関係性を線で結んだり、グループの重要度に応じて図の大きさを変えたりすることで、視覚的に分かりやすく表現する。この図は、問題を理解するための共通認識を形成したり、新たなアイデアを発想するためのきっかけとなったりする。
親和図法は、システム開発の様々な場面で活用できる。例えば、顧客の要望をヒアリングした結果を整理し、システム要件を明確化する際に役立つ。また、システムの課題を洗い出し、改善策を検討する際にも有効だ。チームで議論する際に、メンバーの意見を可視化し、共通理解を深めるためのツールとしても活用できる。
親和図法を用いる際の注意点としては、まず、情報を収集する段階で偏った情報ばかりを集めないように注意することだ。できるだけ客観的な情報を集め、様々な視点からの意見を取り入れることが重要だ。
次に、グループ化の過程で、先入観にとらわれずに、カードの示す意味をよく理解してグループ化することだ。安易にグループ化してしまうと、本来関連性のない情報がまとめられてしまい、誤った結論を導き出してしまう可能性がある。
そして、分析結果を図として表現する際に、分かりやすさを意識することだ。複雑な図は、かえって理解を妨げてしまう。シンプルな図を作成し、誰が見ても理解できるように工夫することが大切だ。
親和図法は、複雑な問題を整理し、解決策を見出すための強力なツールだ。システムエンジニアを目指す上で、ぜひ習得しておきたいスキルのひとつと言えるだろう。実践を重ねることで、より効果的に活用できるようになるはずだ。