オールペア法(オールペアほう)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
オールペア法(オールペアほう)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
オールペア法 (オールペアほう)
英語表記
all-pairs testing (オールペアーズテスティング)
用語解説
オールペア法(All-Pairs Testing、pairwise testingとも呼ばれる)は、ソフトウェアテストにおけるテストケース設計技法のひとつ。ソフトウェアの機能や性能を検証する際、考えられるすべての入力値の組み合わせをテストすることは現実的ではない場合が多い。オールペア法は、そのような場合に、効率的にテストケースを削減しつつ、重要な欠陥を見つけ出すことを目的とする。
具体的には、テスト対象の機能が持つ複数のパラメータ(入力項目)について、それぞれのパラメータが取りうる値を網羅的に組み合わせるのではなく、パラメータの各値のペアが少なくとも一度はテストされるようにテストケースを設計する。
例えば、あるECサイトの購入機能において、支払い方法(クレジットカード、銀行振込、コンビニ払い)と配送方法(宅配便、メール便、店頭受取)という2つのパラメータが存在するとする。この場合、考えられるすべての組み合わせは、支払い方法3種類 × 配送方法3種類 = 9通りとなる。
しかし、オールペア法を用いると、以下のようなテストケースで、すべてのペアを網羅できる。
- テストケース1:クレジットカード、宅配便
- テストケース2:銀行振込、メール便
- テストケース3:コンビニ払い、店頭受取
- テストケース4:クレジットカード、メール便
- テストケース5:銀行振込、店頭受取
- テストケース6:コンビニ払い、宅配便
上記のように、6つのテストケースで、すべてのパラメータ値のペア(クレジットカード&宅配便、クレジットカード&メール便、クレジットカード&店頭受取、銀行振込&宅配便、銀行振込&メール便、銀行振込&店頭受取、コンビニ払い&宅配便、コンビニ払い&メール便、コンビニ払い&店頭受取)が網羅されていることがわかる。
オールペア法は、2つのパラメータ間の相互作用に起因する欠陥を発見するのに特に有効。実際、多くのソフトウェアの欠陥は、少数のパラメータ間の相互作用によって発生すると言われている。そのため、すべての組み合わせをテストしなくても、オールペア法を用いることで、高い確率で重要な欠陥を見つけ出すことができる。
オールペア法を適用する際には、まずテスト対象となる機能を分析し、パラメータとその取りうる値を明確にする必要がある。次に、オールペア法に基づいたテストケースを生成する。テストケースの生成には、専用のツールやアルゴリズムを利用することが一般的。代表的なツールとしては、「PictMaster」「Allpairs」などがある。これらのツールを使用することで、パラメータ数や値の数が多い場合でも、効率的にテストケースを生成することが可能。
オールペア法は、テストケース数を削減できる一方で、すべての組み合わせをテストするわけではないため、特定の条件下でのみ発生するような、複雑な相互作用に起因する欠陥を見逃す可能性もある。そのため、オールペア法は、リスクアセスメントの結果や、テスト対象の機能の重要度などを考慮して、適切なテスト戦略の一部として適用する必要がある。また、オールペア法で抽出されたテストケースだけでなく、境界値分析や同値分割などの他のテスト技法と組み合わせることで、より効果的なテストを実施することができる。
オールペア法は、ソフトウェアテストの効率化と品質向上に貢献する強力なツール。特に、パラメータ数が多い複雑なシステムにおいて、その効果を発揮する。システムエンジニアを目指す上で、ぜひ理解しておきたいテスト技法のひとつと言えるだろう。