アノマリ(アノマリ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アノマリ(アノマリ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

アノマリ (アノマリ)

英語表記

anomaly (アノマリ)

用語解説

アノマリとは、一般的に「異常」や「例外」を意味する言葉だが、IT分野においては、システムやデータにおいて、通常の状態や期待されるパターンから逸脱した状態を指す。具体的には、数値の急激な変化、予期せぬエラーの発生、アクセス数の異常な増加などがアノマリとして検出される。アノマリは、システム障害の前兆であったり、セキュリティ侵害の兆候であったりするため、早期発見と対応が重要となる。

アノマリ検知は、システム運用における重要なタスクの一つだ。正常な状態を学習し、それと異なる状態を自動的に検知する技術が用いられることが多い。検知方法としては、統計的な手法、機械学習の手法、ルールベースの手法など、様々なものが存在する。

統計的な手法は、過去のデータに基づいて、平均値や標準偏差といった統計量を算出し、現在のデータがその範囲から大きく外れている場合にアノマリと判断する。例えば、Webサイトのアクセス数がある時間帯に大きく変動した場合、過去のデータと比較して標準偏差の何倍も外れていれば、アノマリとして検知される。この手法は、計算が比較的容易で、リアルタイムな検知に適しているという利点がある。しかし、データの分布が複雑な場合や、季節変動など、時間的な変動パターンがある場合には、誤検知が多くなる可能性がある。

機械学習の手法は、大量の正常なデータを用いてモデルを学習させ、学習したモデルに基づいてアノマリを検知する。教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習など、様々なアプローチが存在する。教師あり学習では、正常なデータと異常なデータの両方を用いてモデルを学習させるため、高い精度での検知が期待できる。しかし、異常なデータの収集が困難であるという課題がある。教師なし学習では、正常なデータのみを用いてモデルを学習させるため、異常なデータの収集は不要だが、教師あり学習に比べて精度が低くなる傾向がある。代表的なアルゴリズムとしては、One-Class SVM、Isolation Forest、Autoencoderなどがある。One-Class SVMは、正常なデータが集中する領域を学習し、その領域から外れたデータをアノマリと判断する。Isolation Forestは、データをランダムに分割し、少ない分割回数で分離できるデータをアノマリと判断する。Autoencoderは、入力データを圧縮し、再構成するニューラルネットワークであり、正常なデータであれば誤差が少なく、異常なデータであれば誤差が大きくなることを利用してアノマリを検知する。

ルールベースの手法は、事前に定義されたルールに基づいてアノマリを検知する。例えば、「CPU使用率が90%を超えた場合」や「特定のIPアドレスからのアクセスが集中した場合」といったルールを定義し、これらのルールに違反する状態が発生した場合にアノマリとして検知する。この手法は、特定の異常パターンを確実に検知できるという利点があるが、未知の異常パターンには対応できないという欠点がある。

アノマリ検知の結果は、アラートとして通知されることが一般的だ。アラートは、システム管理者や運用担当者に通知され、迅速な対応を促す。アラートの通知方法としては、メール、Slackなどのチャットツール、専用の監視ツールなど、様々なものが利用される。アラートが発生した場合、システム管理者は、アラートの内容を調査し、原因を特定する必要がある。原因が特定されたら、適切な対策を講じる。例えば、システム障害が原因であれば、システムの復旧作業を行う。セキュリティ侵害が原因であれば、セキュリティ対策を強化する。

アノマリ検知は、システムの安定稼働を維持するために不可欠な技術だ。適切なアノマリ検知システムを導入し、運用することで、システム障害やセキュリティ侵害を未然に防ぐことができる。システムエンジニアを目指す上で、アノマリとその検知技術に関する知識は非常に重要となる。様々な検知手法の特徴を理解し、システムに最適な手法を選択できるようになることが望ましい。