拡張現実感(カクチョウゲンジツカン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

拡張現実感(カクチョウゲンジツカン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

拡張現実感 (カクチョウゲンジツカン)

英語表記

Augmented Reality (オーグメンテッドリアリティ)

用語解説

拡張現実感(AR: Augmented Reality)とは、現実世界の情報にコンピュータが生成した情報を重ねて表示することで、現実世界を拡張する技術のことである。単なる情報提示に留まらず、現実世界と仮想世界をインタラクティブに結びつけることで、ユーザー体験を豊かにし、様々な分野で革新的な応用を可能にする。

ARの基本的な仕組みは、現実世界の映像をカメラで取得し、その映像をコンピュータが解析することから始まる。コンピュータは、画像認識技術や位置情報技術などを用いて、映像内の特定の位置や物体を認識し、その位置や物体に合わせて、事前に用意された3Dモデルやテキスト情報、音声情報などのデジタルコンテンツを現実世界の映像に重ねて表示する。

ARを実現するための主要な技術要素としては、まず、現実世界の情報を取得するセンサー技術が挙げられる。これには、カメラ、GPS、加速度センサー、ジャイロセンサーなどが含まれる。カメラは、現実世界の映像を取得するために使用され、GPSは、ユーザーの位置情報を特定するために使用される。加速度センサーとジャイロセンサーは、デバイスの動きや傾きを検出するために使用される。これらのセンサーからの情報を組み合わせることで、ARシステムは、ユーザーの周囲の環境を正確に把握することができる。

次に、取得した情報を処理し、デジタルコンテンツを生成・表示するコンピュータ技術が重要となる。高性能なプロセッサやGPU(Graphics Processing Unit)は、リアルタイムで映像を処理し、3Dモデルなどのデジタルコンテンツをレンダリングするために必要不可欠である。また、ARアプリケーションの開発には、UnityやUnreal Engineなどのゲームエンジンが利用されることが多い。これらのゲームエンジンは、ARコンテンツの作成に必要な様々な機能を提供し、開発効率を向上させる。

さらに、現実世界と仮想世界を正確に重ね合わせるためのトラッキング技術も重要な要素である。トラッキング技術には、マーカーベースとマーカーレスの2種類がある。マーカーベースのトラッキングは、事前に用意された特定のマーカー(QRコードなど)をカメラで認識し、そのマーカーの位置と向きを基準にして、デジタルコンテンツを重ね合わせる方法である。一方、マーカーレスのトラッキングは、現実世界の映像から特徴点を抽出し、それらの特徴点を追跡することで、デバイスの位置と向きを推定する方法である。マーカーレスのトラッキングは、マーカーを必要としないため、より自然なAR体験を提供することができる。

ARの応用分野は非常に多岐にわたる。例えば、教育分野では、ARを用いて、教科書の内容を3Dモデルで表示したり、歴史的な建造物を再現したりすることで、学習効果を高めることができる。医療分野では、ARを用いて、手術のシミュレーションを行ったり、患者の体内に血管や臓器の情報を重ねて表示したりすることで、手術の精度を向上させることができる。製造業分野では、ARを用いて、製品の組み立て手順を指示したり、設備のメンテナンス情報を表示したりすることで、作業効率を向上させることができる。

エンターテインメント分野では、ARゲームやARライブなどが人気を集めている。ARゲームは、現実世界を舞台に、デジタルキャラクターが登場するゲームであり、ポケモンGOなどがその代表例である。ARライブは、現実のライブ会場に、デジタルキャラクターが登場するライブであり、臨場感あふれる体験を提供することができる。

ARは、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスだけでなく、ARグラスやヘッドマウントディスプレイなどの専用デバイスでも利用可能である。ARグラスは、メガネ型のウェアラブルデバイスであり、現実世界の映像にデジタルコンテンツを重ねて表示することができる。ヘッドマウントディスプレイは、頭部に装着するディスプレイであり、より没入感の高いAR体験を提供することができる。

AR技術は、今後ますます発展していくことが予想される。5Gなどの高速通信技術の普及により、より高品質なARコンテンツをリアルタイムで配信することが可能になる。また、AI(人工知能)技術の進化により、より高度な画像認識や物体認識が可能になり、より自然でインタラクティブなAR体験を提供することができるようになる。さらに、ARクラウドと呼ばれる、現実世界の3Dマップを共有するプラットフォームの登場により、複数人で同じAR体験を共有したり、ARコンテンツをより簡単に作成・配信したりすることが可能になる。

ARは、私たちの生活や仕事のあり方を大きく変える可能性を秘めた技術であり、今後、様々な分野で革新的な応用が進んでいくことが期待される。