オートスケール(オートスケール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

オートスケール(オートスケール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

オートスケール (オートスケール)

英語表記

Autoscale (オートスケール)

用語解説

オートスケールとは、システムに掛かる負荷に応じて、自動的にサーバーなどのリソースを増減させる仕組みのことだ。近年、クラウドサービスの普及に伴い、多くのシステムで導入されている。

オートスケールを理解するためには、まずシステムの「スケール」について知っておく必要がある。システムにおけるスケールには、大きく分けて「スケールアップ(垂直スケーリング)」と「スケールアウト(水平スケーリング)」の2種類が存在する。スケールアップは、既存のサーバーの性能を向上させることでシステムの処理能力を上げる方法だ。例えば、サーバーのCPUを高性能なものに交換したり、メモリを増設したりすることが該当する。一方、スケールアウトは、サーバーの台数を増やすことでシステムの処理能力を上げる方法だ。複数台のサーバーで処理を分担することで、全体としての処理能力を向上させる。オートスケールは、このスケールアウトを自動的に行う仕組みと捉えることができる。

オートスケールを導入する主なメリットは、以下の3点だ。

1点目は、コスト最適化だ。システムへの負荷が低い時間帯には、サーバーの台数を減らすことで、クラウドサービスの利用料金を抑えることができる。必要な時に必要な分だけリソースを確保するため、無駄なコストを削減できる。

2点目は、可用性の向上だ。急激なアクセス増加など、予期せぬ負荷の増大が発生した場合でも、自動的にサーバーを増やすことで、システムダウンを防ぎ、安定したサービス提供を維持できる。ユーザーは快適にサービスを利用し続けることが可能になる。

3点目は、運用負荷の軽減だ。手動でサーバーの増減を行う必要がなくなるため、システム管理者の負担を大幅に軽減できる。管理者は、より戦略的な業務に集中することができる。

オートスケールを実現するためには、いくつかの要素が必要となる。

まず、負荷を監視する仕組みが必要だ。CPU使用率、メモリ使用量、ネットワークトラフィック量など、様々な指標を監視し、システム全体の負荷状況を把握する。

次に、スケールアウトの判断基準となる閾値を設定する必要がある。例えば、「CPU使用率が70%を超えたらサーバーを1台追加する」といったルールを定義する。

そして、自動的にサーバーを増減させる仕組みが必要だ。クラウドサービスでは、APIなどを利用して、プログラムからサーバーの起動や停止を制御することができる。

オートスケールには、いくつか種類がある。

1つは、予測型オートスケールだ。過去のデータに基づいて、将来の負荷を予測し、事前にリソースを増減させる。例えば、週末にアクセスが増加することが予想される場合、金曜日の夜に自動的にサーバーを増やすといった設定が可能だ。

もう1つは、リアクティブ型オートスケールだ。リアルタイムの負荷状況に応じて、動的にリソースを増減させる。例えば、急なアクセス集中が発生した場合、即座にサーバーを増やすといった対応が可能だ。

近年では、これらの2つの方式を組み合わせた、より高度なオートスケールも登場している。

オートスケールを導入する際には、いくつかの注意点がある。

まず、適切な閾値を設定することが重要だ。閾値が低すぎると、頻繁にサーバーが増減し、コストが増加してしまう可能性がある。逆に、閾値が高すぎると、負荷が集中した場合に、システムダウンが発生するリスクがある。

次に、スケールアウトにかかる時間を考慮する必要がある。サーバーの起動やアプリケーションのデプロイには時間がかかるため、負荷の増大に対応できるまでに時間がかかる場合がある。

そして、オートスケールによって増加したサーバーの監視も重要だ。増加したサーバーに問題が発生した場合、迅速に対応する必要がある。

オートスケールは、システムの可用性、コスト効率、運用効率を向上させるための強力なツールだ。クラウドサービスを利用する際には、積極的に活用を検討すると良いだろう。ただし、導入には適切な計画と設定が必要となるため、事前に十分な検討を行うことが重要だ。