高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 (コウドジョウホウツウシンネットワークシャカイケイセイキホンホウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 (コウドジョウホウツウシンネットワークシャカイケイセイキホンホウ) の読み方
日本語表記
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 (コウドジョウホウツウシンネットワークシャカイケイセイキホンホウ)
英語表記
Basic Act for the Promotion of Advanced Information and Telecommunications Network Society (ベーシックアクトフォアザプロモーションオブアドバンストインフォメーションアンドテレコミュニケーションズネットワークソサエティ)
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法 (コウドジョウホウツウシンネットワークシャカイケイセイキホンホウ) の意味や用語解説
高度情報通信ネットワーク社会形成基本法、通称「IT基本法」は、日本における情報化社会の推進を目的として、2000年12月に施行された法律である。システムエンジニアを目指す者にとって、この法律の背景や目的、具体的な内容を理解することは、今後のキャリアを考える上で非常に重要となる。なぜなら、IT基本法は、政府が情報技術をどのように活用し、社会全体をどのように変革していくかという大きな方向性を示すものであり、その方向性に沿って様々な政策やプロジェクトが推進されるからだ。 IT基本法の制定以前、日本は欧米諸国に比べて情報技術の活用が遅れているという認識があった。インターネットの普及は始まったものの、企業や行政機関におけるIT導入は十分ではなく、国民生活への浸透も限定的だった。そこで、ITを国家戦略の柱として位置づけ、社会全体の情報化を加速させるために、IT基本法が制定された。 この法律の目的は、高度情報通信ネットワーク社会、すなわちITが高度に活用された社会を形成することである。具体的には、国民がITを容易に利用できる環境を整備し、産業の国際競争力を強化し、国民生活の向上を図ることを目指している。そのため、IT基本法は、単に技術的な側面だけでなく、経済、教育、行政など、社会のあらゆる分野におけるITの活用を促進する包括的な法律となっている。 IT基本法の具体的な内容としては、まず、「基本理念」が定められている。これは、情報技術の活用に関する基本的な考え方を示すものであり、国民が安全かつ安心してITを利用できる環境を整備すること、多様な主体がITを活用して創造性を発揮できる社会を実現すること、国際的な連携を強化することなどが掲げられている。 次に、「国の責務」が定められている。これは、国がIT基本法の目的を達成するためにどのような役割を担うべきかを示すものであり、情報通信基盤の整備、人材の育成、研究開発の推進、国際協力の推進などが挙げられている。国はこれらの責務を果たすために、様々な政策や施策を講じる必要がある。 さらに、IT基本法は、「重点施策」を定めている。これは、特に重点的に取り組むべき施策を示すものであり、以下の5つが挙げられている。 1. 超高速ネットワークの早期実現と利用促進:光ファイバーなどの超高速通信インフラを整備し、国民が高速なインターネットを利用できる環境を整備する。 2. 教育・人材育成の推進:ITスキルを持つ人材を育成するために、学校教育や職業訓練を充実させる。 3. 電子商取引等の促進:企業がインターネットを活用してビジネスを行うことを促進するために、法制度や環境を整備する。 4. 行政の情報化の推進:行政機関がITを活用して業務を効率化し、国民へのサービスを向上させる。 5. 情報セキュリティの確保:国民が安心してITを利用できるよう、情報セキュリティ対策を強化する。 これらの重点施策に基づいて、政府は毎年「IT戦略本部」を中心に、具体的な政策や目標を定めた「重点計画」を策定し、実行している。システムエンジニアは、これらの政策や計画を理解することで、政府がどのような分野に力を入れているのか、どのような技術が求められているのかを知ることができる。 IT基本法は、制定後も社会の変化に合わせて改正されている。例えば、近年では、ビッグデータやAIなどの新たな技術の活用を促進するために、関連する条文が追加されたり、改正されたりしている。また、サイバーセキュリティ対策の強化や、個人情報保護の強化なども重要な改正点である。 システムエンジニアとして、IT基本法を理解することは、技術的な知識だけでなく、社会全体におけるITの役割や責任を理解することにも繋がる。IT基本法は、単なる法律ではなく、日本の未来を形作るための羅針盤のような存在である。常に最新の情報を把握し、自身のキャリアに活かしていくことが重要だ。