コール (コール) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

作成日: 更新日:

コール (コール) の読み方

日本語表記

コール (コール)

英語表記

call (コール)

コール (コール) の意味や用語解説

IT分野における「コール」とは、英語の「Call(呼び出す)」が語源であり、プログラムやシステムにおいて、特定の機能や処理を実行するように命令することを指す最も基本的な概念である。プログラミングの文脈では、あらかじめ定義された一連の処理のまとまりである「関数」や「メソッド」、「プロシージャ」などを、必要な場所から呼び出して実行させる行為を指すことが多い。プログラムは膨大な命令の集まりで構成されるが、同じような処理が何度も登場する場合、その都度同じコードを記述するのは非効率であり、間違いの原因にもなる。そこで、共通する処理を一つの部品として切り出し、名前を付けておく。そして、その処理が必要になった時に、名前を指定して「コール」することで、その部品を何度でも再利用できる。これにより、プログラムの構造が整理され、可読性や保守性が向上する。この「呼び出して使ってもらう」という基本的な考え方が、様々な技術領域で応用されている。 コールについてより深く理解するため、具体的な使われ方を見ていく。最も基本的なのは、先述した「関数コール」または「メソッドコール」である。プログラムがある関数をコールすると、実行の流れ、すなわち制御は一時的に呼び出し元の場所から、呼び出された関数の中へと移動する。このとき、関数が処理を行う上で必要とするデータがあれば、「引数(ひきすう)」として渡すことができる。関数は受け取った引数を使って内部の処理を実行し、処理が完了すると、その結果を「戻り値」として呼び出し元の場所に返す。そして、実行の流れも呼び出し元に戻り、コールした箇所の次の処理が続けられる。この一連の流れは、コンピュータのメモリ上にある「コールスタック」という特別なデータ構造で管理されており、どの関数がどの関数を呼び出したのか、どこに戻ればよいのかといった情報が順番に記録されることで、複雑な関数の呼び出し関係が正しく処理される仕組みとなっている。 次に「システムコール」について解説する。これは、アプリケーションプログラムが、OS(オペレーティングシステム)が提供する機能を利用するためにOSを呼び出す行為である。現代のコンピュータでは、アプリケーションがメモリやハードディスク、ネットワーク機器といったハードウェア資源を直接操作することは、セキュリティや安定性の観点から原則として許可されていない。すべてのハードウェア資源はOSが一元的に管理している。そのため、アプリケーションがファイルの読み書き、新しいプロセスの生成、ネットワーク通信など、ハードウェアへのアクセスを伴う処理を行いたい場合は、OSに対して「この処理をお願いします」と依頼する必要がある。この依頼の仕組みがシステムコールである。アプリケーションはシステムコールを発行することで、実行モードがユーザーモードからカーネルモードという特権的な状態に切り替わり、OSの保護された機能を安全に利用することができる。つまり、システムコールはアプリケーションとOSの間の公式な窓口として機能し、システムの安定性を保ちながらアプリケーションに必要な機能を提供するための重要な仕組みである。 さらに現代的なアプリケーション開発で頻繁に登場するのが「APIコール」である。API(Application Programming Interface)とは、あるソフトウェアやWebサービスが、その機能の一部を外部のプログラムから利用できるように提供するインターフェース(接続仕様)のことである。APIコールとは、このAPIの仕様に従って、外部の機能を呼び出すことを指す。特にWeb APIの文脈でよく使われ、HTTPやHTTPSといったプロトコルを通じて、インターネット上の別のサーバーにあるプログラムの機能を呼び出すことが一般的である。例えば、地図サービスが提供するAPIをコールすれば、自分のアプリケーションに地図表示機能を組み込むことができる。また、決済サービスやSNSのAPIをコールすることで、それらの機能を自社のサービスに連携させることが可能になる。この際、リクエストには認証情報や必要なパラメータを含め、レスポンスとしてJSONやXMLといった標準的なデータ形式で処理結果を受け取ることが多い。APIコールは、既存の優れたサービスを組み合わせることで、迅速かつ効率的に高度なアプリケーションを開発するための現代の開発において不可欠な技術となっている。 APIコールと類似した概念に「リモートプロシージャコール(RPC)」がある。これは、ネットワークで接続された他のコンピュータ上にある手続き(プロシージャや関数)を、あたかも自分のコンピュータ内にあるローカルな関数を呼び出すかのように実行できる技術である。APIコールが主にHTTPをベースとした疎結合な連携に用いられるのに対し、RPCはよりプログラムの内部的な処理に近く、ネットワーク通信の詳細をプログラマから隠蔽することで、分散したシステムを一つの大きなシステムのように扱うことを容易にする。特に、多数の小さなサービスが連携して動作するマイクロサービスアーキテクチャなどで、サービス間の高速な通信を実現するために活用されている。 このように、「コール」という言葉は、関数コール、システムコール、APIコール、RPCといった異なる階層や文脈で使われるが、その根底には「自分以外の誰か(別のプログラム、OS、外部サービスなど)が持つ機能や処理を、定められた仕様に則って呼び出し、実行を依頼する」という共通の概念が存在する。システムエンジニアを目指す上で、どのレベルの「コール」について話しているのかを文脈から正確に読み取り、それぞれの仕組みの違いを理解することは、プログラムの動作原理やシステム全体の構造を把握するために不可欠な知識である。

コール (コール) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説