クラス図 (クラスズ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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クラス図 (クラスズ) の読み方

日本語表記

クラス図 (クラスズ)

英語表記

Class Diagram (クラスダイアグラム)

クラス図 (クラスズ) の意味や用語解説

クラス図は、オブジェクト指向設計において中心的な役割を果たすUML(Unified Modeling Language)の図の一つだ。システムの構造を静的に表現し、クラス、属性、操作、そしてクラス間の関係性を視覚的に示すことで、システムの設計、開発、保守を円滑に進めるための設計図として機能する。 クラス図の主な目的は、システムの構成要素であるクラスを定義し、それらのクラスがどのように相互作用するかを明確にすることだ。これにより、開発者はシステムの全体像を把握しやすくなり、より効率的にコードを記述し、バグの少ない、堅牢なシステムを構築できるようになる。 クラス図は、クラス、属性、操作、関係という4つの主要な要素で構成されている。 クラスは、システム内のオブジェクトの設計図であり、同じ性質を持つオブジェクトの集合を抽象化したものだ。クラスは通常、長方形で表現され、上部にクラス名、中央に属性、下部に操作が記述される。例えば、「顧客」クラスは、顧客の名前、住所、電話番号といった属性を持ち、注文する、支払いを行うといった操作を持つかもしれない。 属性は、クラスが持つデータの特徴を表す。各属性は、名前とデータ型を持つ。例えば、「顧客」クラスの「名前」属性は、文字列型(String)を持つかもしれない。属性は、クラスの状態を定義するために使用される。 操作は、クラスが実行できる処理を表す。操作は、名前、引数リスト、戻り値の型を持つ。例えば、「顧客」クラスの「注文する」操作は、注文内容を引数として受け取り、注文IDを戻り値として返すかもしれない。操作は、クラスの振る舞いを定義するために使用される。 関係は、クラス間の繋がりを表す。クラス間の関係には、関連、集約、コンポジション、汎化、実現などがある。 関連は、2つのクラスが何らかの形で関連付けられていることを示す。例えば、「顧客」クラスと「注文」クラスは、顧客が注文を行うという形で関連付けられる。「顧客」は「注文」を知っている必要がある。 集約は、全体と部分の関係を表す。全体は部分を所有するが、部分が全体なしに存在できる場合に使用される。例えば、「大学」クラスは「学部」クラスを集約する。大学は学部を所有するが、学部は大学がなくても存在できる。 コンポジションは、集約と同様に全体と部分の関係を表すが、全体が部分を強く所有し、部分が全体なしに存在できない場合に使用される。例えば、「自動車」クラスは「エンジン」クラスをコンポジションする。自動車はエンジンを所有し、エンジンは自動車なしに存在できない。 汎化は、継承関係を表す。スーパークラス(親クラス)とサブクラス(子クラス)の関係を示す。サブクラスは、スーパークラスの属性と操作を継承し、独自の属性と操作を追加できる。例えば、「普通自動車」クラスは「自動車」クラスを汎化する。普通自動車は自動車の機能を継承し、独自の機能(例えば、排気量)を追加できる。 実現は、インターフェースの実装関係を表す。クラスが特定のインターフェースを実装することを示す。例えば、「プリンター」クラスは「印刷可能」インターフェースを実現する。プリンターは印刷可能インターフェースで定義されたメソッドを実装する必要がある。 クラス図を作成する際には、まずシステムの要件を分析し、必要なクラスを特定する。次に、各クラスの属性と操作を定義し、クラス間の関係を明確にする。最後に、図を作成し、関係を適切な記号で表現する。 クラス図は、設計段階だけでなく、開発、テスト、保守の各段階でも参照される重要なドキュメントだ。適切なクラス図を作成することで、開発チーム全体のコミュニケーションを円滑にし、システムの品質向上に貢献することができる。 近年では、クラス図を作成するための様々なツールが存在する。これらのツールを使用することで、より効率的にクラス図を作成し、管理することができる。代表的なツールとしては、Enterprise Architect、Astah*、Visual Paradigmなどがある。これらのツールは、クラス図の作成だけでなく、他のUML図の作成や、コード生成、リバースエンジニアリングなどの機能も提供している。

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