クリッピング (クリッピング) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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クリッピング (クリッピング) の読み方

日本語表記

クリッピング (クリッピング)

英語表記

clipping (クリッピング)

クリッピング (クリッピング) の意味や用語解説

クリッピングとは、コンピュータグラフィックスや画像処理において、画像や図形の一部を切り取る処理のことである。表示範囲外にある不要な部分を取り除くことで、描画効率を向上させたり、必要な情報だけを表示したりすることを目的とする。 クリッピングは、2次元グラフィックスだけでなく、3次元グラフィックスにおいても重要な技術である。3次元空間内のオブジェクトを2次元の画面に投影する際に、視点から見える範囲(視錐台)外にあるオブジェクトや、他のオブジェクトによって隠されている部分をクリッピングすることで、現実感のある映像を生成できる。 クリッピングの具体的な方法としては、いくつかの種類が存在する。最も基本的な方法は、境界線を用いたクリッピングです。これは、あらかじめ定義された矩形や多角形などの領域(クリッピング領域)を設定し、その領域外にある部分を削除する方法である。 2次元グラフィックスにおける代表的なクリッピングアルゴリズムとしては、Cohen-SutherlandアルゴリズムやLiang-Barskyアルゴリズムなどが挙げられる。Cohen-Sutherlandアルゴリズムは、線の両端点がクリッピング領域のどの位置にあるかをコード化し、そのコードに基づいて線のクリッピングを行う。Liang-Barskyアルゴリズムは、線のパラメータ表現を用いて、クリッピング領域との交点を効率的に計算する。 3次元グラフィックスにおけるクリッピングでは、通常、ビューボリューム(視錐台)と呼ばれる立体的な領域がクリッピング領域として用いられる。ビューボリュームは、視点、視野角、ニアクリップ面、ファークリップ面などによって定義される。ビューボリューム外にあるオブジェクトは、レンダリング処理の前にクリッピングされる。 3次元クリッピングのアルゴリズムとしては、視錐台カリングが一般的である。これは、オブジェクト全体がビューボリュームの外にあるかどうかを判定し、外にある場合はオブジェクト全体をレンダリング対象から除外する方法である。より細かいクリッピングを行う場合は、ポリゴン単位でクリッピングを行うこともできる。 クリッピングは、コンピュータゲーム、CAD/CAMシステム、画像編集ソフトウェアなど、様々な分野で利用されている。ゲームにおいては、プレイヤーが見えない部分をクリッピングすることで、処理負荷を軽減し、スムーズなゲームプレイを実現する。CAD/CAMシステムにおいては、設計図面の一部を拡大表示したり、断面を表示したりする際に、クリッピングが用いられる。画像編集ソフトウェアにおいては、画像の一部を切り抜いたり、特定の領域だけを加工したりする際に、クリッピングが利用される。 クリッピング処理は、ソフトウェアだけでなく、ハードウェアによっても実現されることがある。グラフィックボード(GPU)は、クリッピング処理を高速に行うための専用のハードウェア機能を搭載しており、CPUの負荷を軽減し、リアルタイム性の高いグラフィックス処理を可能にしている。 クリッピング処理の精度は、アプリケーションの要件によって異なる。例えば、医療画像処理など、精度が重要視される分野においては、サブピクセル単位での正確なクリッピングが求められる。一方、ゲームなど、リアルタイム性が重要視される分野においては、多少の誤差は許容される場合がある。 クリッピングは、コンピュータグラフィックスや画像処理において、基本的ながらも非常に重要な技術である。効率的な描画処理、必要な情報の抽出、リアルな映像生成など、様々な目的のために活用されており、システムエンジニアを目指す上で、理解しておくべき知識の一つと言える。

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