クラスタ化 (クラスタカ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
クラスタ化 (クラスタカ) の読み方
日本語表記
クラスタ化 (クラスタカ)
英語表記
Clustering (クラスタリング)
クラスタ化 (クラスタカ) の意味や用語解説
クラスタ化とは、複数のコンピュータを連携させ、あたかも1つのシステムとして動作させる技術のことだ。これにより、システムの可用性向上や処理能力の向上を図ることができる。主にサーバシステムで用いられることが多い。 クラスタ化の目的は大きく分けて2つある。1つは高可用性(High Availability:HA)の実現だ。これは、システムの一部に障害が発生した場合でも、システム全体を停止させることなく、処理を継続できるようにすることを目指す。もう1つは、高性能化だ。複数のコンピュータで処理を分担することで、単一のコンピュータでは実現できないような高い処理能力を得ることができる。 高可用性を実現するためのクラスタ化は、フェイルオーバークラスタと呼ばれることが多い。フェイルオーバーとは、障害が発生した際に、別のコンピュータが自動的に処理を引き継ぐことを意味する。フェイルオーバークラスタでは、通常、複数のコンピュータが同じデータを共有し、常に互いの状態を監視している。もし、いずれかのコンピュータに障害が発生した場合、残りのコンピュータが自動的に処理を引き継ぎ、サービスの停止時間を最小限に抑える。フェイルオーバーの方法としては、アクティブ/スタンバイ方式とアクティブ/アクティブ方式がある。アクティブ/スタンバイ方式では、通常時は1台のコンピュータが処理を行い、もう1台は待機状態にある。障害発生時に待機系がアクティブ系に切り替わる。アクティブ/アクティブ方式では、複数のコンピュータが常に処理を行い、負荷を分散している。いずれかのコンピュータに障害が発生した場合は、残りのコンピュータで負荷を分担する。 高性能化を目的としたクラスタ化は、並列処理クラスタと呼ばれることが多い。並列処理クラスタでは、複数のコンピュータが協調して、単一のタスクを高速に処理する。例えば、大規模なデータの分析や科学技術計算など、高い処理能力を必要とする場合に用いられる。並列処理クラスタでは、タスクを複数の小さなタスクに分割し、それぞれのコンピュータに割り当てる。各コンピュータは、割り当てられたタスクを並行して処理し、最後に結果を統合する。並列処理クラスタの構成方式としては、共有メモリ型と分散メモリ型がある。共有メモリ型では、複数のコンピュータが共通のメモリ空間を共有し、データ交換を高速に行う。分散メモリ型では、各コンピュータが独立したメモリ空間を持ち、メッセージパッシングなどの手法でデータ交換を行う。 クラスタ化を実現するためのソフトウェアとしては、LinuxのPacemakerやWindows Server Failover Clusteringなどがある。これらのソフトウェアは、クラスタの構成管理、障害検知、フェイルオーバーなどの機能を提供する。クラスタ化を導入する際には、システムの要件に合わせて適切なソフトウェアを選択する必要がある。また、クラスタ化されたシステムを運用するためには、専門的な知識やスキルが必要となる。 クラスタ化は、システムの可用性や処理能力を向上させるための有効な手段だが、導入や運用にはコストがかかる。システムの要件を十分に検討し、費用対効果を考慮した上で、クラスタ化を導入するかどうかを判断する必要がある。近年では、クラウド環境におけるクラスタリングサービスも提供されており、より手軽にクラスタ化されたシステムを構築することも可能になっている。クラウドプロバイダーが提供するマネージドサービスを利用することで、運用コストを抑えつつ、高い可用性や処理能力を実現することができる。