コールドスタンバイ (コールドスタンバイ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
コールドスタンバイ (コールドスタンバイ) の読み方
日本語表記
コールドスタンバイ (コールドスタンバイ)
英語表記
cold standby (コールドスタンバイ)
コールドスタンバイ (コールドスタンバイ) の意味や用語解説
コールドスタンバイとは、システム障害に備えるための冗長化構成の一種である。平時時は待機システムを停止させておき、障害発生時に手動または自動で待機システムを起動し、本番システムを代替する方式を指す。 コールドスタンバイの最大の特徴は、待機システムが通常時は停止している点にある。これは、ホットスタンバイやウォームスタンバイといった他の冗長化方式とは大きく異なる。ホットスタンバイでは、待機システムは常に稼働しており、本番システムのデータをリアルタイムで同期している。ウォームスタンバイでは、待機システムは稼働しているものの、データの同期頻度はホットスタンバイほど高くない。 コールドスタンバイのメリットは、コストを抑えられる点にある。待機システムが停止しているため、電力消費やハードウェアの維持費を最小限に抑えることができる。また、ソフトウェアライセンスの費用も、待機システムが稼働していない間は発生しない場合がある。さらに、待機システムが停止しているため、セキュリティリスクを低減できる。 一方、デメリットは、障害発生からシステム復旧までの時間が長くなる点にある。待機システムを起動し、データを復旧し、システムを切り替える必要があるため、ダウンタイムが発生する。このダウンタイムは、システムの重要度や業務への影響を考慮して許容範囲内であるか検討する必要がある。また、手動で切り替えを行う場合は、担当者のスキルや経験に依存するため、人的な要因による復旧遅延のリスクも存在する。 コールドスタンバイを導入する際には、以下の点を考慮する必要がある。まず、目標復旧時間(RTO)を明確に設定すること。RTOとは、障害発生からシステムが復旧するまでの目標時間のことである。RTOを設定することで、コールドスタンバイが適切な冗長化方式であるかどうかを判断できる。次に、データバックアップの方法と頻度を決定すること。障害発生時に迅速にデータを復旧できるように、定期的なバックアップが不可欠である。バックアップデータは、本番システムとは異なる場所に保管し、物理的な災害からも保護する必要がある。さらに、システム切り替えの手順を明確化し、定期的に切り替えテストを実施すること。切り替え手順が曖昧だと、障害発生時に混乱を招き、復旧が遅れる可能性がある。切り替えテストを実施することで、手順の妥当性や担当者のスキルを確認できる。最後に、システムの監視体制を構築すること。本番システムの障害を早期に検知し、待機システムの起動を迅速に行えるように、監視体制を整える必要がある。監視ツールを導入したり、担当者を配置したりするなど、適切な監視体制を構築することが重要である。 コールドスタンバイは、一般的に、システムへの要求可用性がそれほど高くない場合や、RTOに比較的余裕がある場合に選択される。例えば、開発環境やテスト環境、あるいは、基幹業務ではないシステムなどに適している。また、予算が限られている場合にも、コストパフォーマンスの高い冗長化方式として有効である。 近年では、クラウド環境の普及により、コールドスタンバイの導入が容易になっている。クラウドプロバイダーが提供するバックアップサービスやディザスタリカバリサービスを利用することで、手軽にコールドスタンバイ環境を構築できる。また、クラウド環境では、必要な時に必要なリソースをオンデマンドで利用できるため、コストを最適化しやすいというメリットもある。 コールドスタンバイは、障害に備えるための基本的な冗長化方式の一つである。システムの特性や要件を考慮し、適切な冗長化方式を選択することが重要である。