コリジョンドメイン (コリジョン ドメイン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
コリジョンドメイン (コリジョン ドメイン) の読み方
日本語表記
コリジョンドメイン (コリジョン ドメイン)
英語表記
collision domain (コリジョン ドメイン)
コリジョンドメイン (コリジョン ドメイン) の意味や用語解説
コリジョンドメインとは、ネットワークにおいて、データ送信の際にデータの衝突(コリジョン)が発生する可能性のある範囲のことである。ネットワークを理解する上で非常に重要な概念であり、ネットワークの効率やパフォーマンスに大きく影響する。 コリジョンドメインの概要を説明する。初期のネットワーク、特にイーサネット環境では、複数の機器が同じ通信路を共有していた。そのため、同時に複数の機器がデータを送信しようとすると、データが衝突し、正常に通信できなくなるという問題が発生した。この衝突が発生する範囲がコリジョンドメインである。コリジョンドメインが大きいほど、衝突が発生する可能性が高くなり、ネットワーク全体のパフォーマンスが低下する。 コリジョンドメインを理解するために、より詳細な説明を加える。初期のイーサネットでは、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)という方式が採用されていた。これは、機器がデータを送信する前に、通信路が空いているかどうかを確認し、空いていればデータを送信するというものである。しかし、複数の機器がほぼ同時に通信路が空いていることを検知し、同時にデータを送信してしまうと、衝突が発生する。衝突が発生した場合、送信していた機器はそれを検知し、送信を停止して、ランダムな時間待機した後、再度送信を試みる。 コリジョンドメインのサイズは、ネットワークの構成要素によって異なる。初期のハブを用いたネットワークでは、全てのポートが同じコリジョンドメインに属していた。つまり、ハブに接続された全ての機器が、一つの大きなコリジョンドメインを共有していたことになる。このため、ハブを用いたネットワークでは、接続する機器の数が増えるほど、衝突の可能性が高くなり、パフォーマンスが低下する。 一方、スイッチは、コリジョンドメインを分割する役割を果たす。スイッチは、受信したデータを宛先に基づいて特定のポートにのみ転送するため、異なるポートに接続された機器同士は、直接衝突を起こさない。つまり、スイッチは、各ポートを個別のコリジョンドメインに分割することで、衝突の可能性を減らし、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させる。最近のネットワークでは、スイッチが主流であり、ハブはほとんど使用されていない。これは、スイッチがコリジョンドメインを分割し、効率的な通信を実現できるためである。 さらに、フルデュープレックス通信という技術も、コリジョンドメインの概念に影響を与えている。フルデュープレックス通信では、機器が同時に送受信を行うことができる。この方式では、コリジョンが発生しないため、コリジョンドメインという概念自体が意味を持たなくなる。現在のスイッチングハブは、基本的にフルデュープレックス通信に対応しており、各ポートが独立したコリジョンドメインを持つと同時に、コリジョン自体が発生しないため、より効率的な通信が可能になっている。 コリジョンドメインの理解は、ネットワーク設計やトラブルシューティングにおいて非常に重要である。例えば、ネットワークのパフォーマンスが低い場合、コリジョンドメインが大きすぎることが原因である可能性がある。このような場合、スイッチを導入してコリジョンドメインを分割することで、パフォーマンスを改善することができる。また、ネットワークのトラブルシューティングを行う際には、コリジョンドメインを意識することで、問題の発生箇所を特定しやすくなる。 ネットワークエンジニアを目指す上で、コリジョンドメインの概念をしっかりと理解しておくことは、非常に重要である。コリジョンドメインは、ネットワークの基本的な概念であり、その理解は、より高度なネットワーク技術を学ぶための基礎となる。