コンパクトディスク (コンパクトディスク) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コンパクトディスク (コンパクトディスク) の読み方

日本語表記

コンパクトディスク (コンパクトディスク)

英語表記

Compact Disc (コンパクトディスク)

コンパクトディスク (コンパクトディスク) の意味や用語解説

コンパクトディスクは、デジタルデータを記録し、再生するための光ディスクの一種である。主に「CD」という略称で広く知られており、かつては音楽を聴くためのメディアとして、またコンピュータのソフトウェアやデータを配布するための媒体として、世界中で普及した。直径は約12cm、厚さ1.2mm程度の円盤状をしており、デジタルデータを光の原理を用いて記録、読み出しを行う。その登場は、それまでのアナログ記録媒体であったレコードやカセットテープに比べて、音質の向上、耐久性の強化、そしてランダムアクセスによる利便性の大幅な改善をもたらした。デジタルデータが物理的な媒体に記録され、非接触で読み出されるという基本原理は、その後の多くのデータ保存技術の基礎となった。 コンパクトディスクにデータが記録される仕組みは、非常に微細な技術に基づいている。ディスクの表面には、肉眼では見えないほどの「ピット」と呼ばれる凹みと、「ランド」と呼ばれる平らな部分がらせん状に並んでいる。これらのピットとランドの並びがデジタルデータの「0」と「1」を表現している。データを読み出す際には、CDドライブ内のレーザー光がディスクの表面に照射される。ピットの部分に当たったレーザー光は散乱し、ランドの部分に当たったレーザー光はきれいに反射する。この反射率の違いを光検出器が捉えることで、デジタルデータが復元される。この非接触による読み出し方式は、媒体の摩耗を防ぎ、データの耐久性を高めるという大きな利点があった。ディスクは通常、透明なポリカーボネート基板の上に反射膜(アルミニウムなど)、その上に保護膜が形成されている。 コンパクトディスクには、記録されるデータの内容や記録方法によっていくつかの種類が存在する。最も代表的なものは、音楽が記録された「CD-DA(Compact Disc Digital Audio)」であり、これは一般的に音楽CDと呼ばれるものである。次に、コンピュータのデータが記録された「CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)」がある。これは一度工場でプレス製造されると、ユーザーがデータを書き換えたり追加したりすることはできない読み出し専用のメディアであり、オペレーティングシステムやアプリケーションソフトウェアの配布、電子書籍などのデータ配布に広く利用された。 さらに、ユーザーが一度だけデータを書き込める「CD-R(Compact Disc Recordable)」が登場した。これはポリカーボネート基板上に色素層を持ち、記録時にレーザー光を照射することで色素層に物理的・化学的変化を起こさせ、ピットと同様の反射率変化を生じさせることでデータを記録する。一度書き込んだデータは消去できないが、空き容量があれば追加で書き込む(追記する)ことは可能だった。そして、複数回のデータの書き込みと消去が可能な「CD-RW(Compact Disc ReWritable)」も開発された。CD-RWは、相変化記録技術という原理を用いており、レーザーの熱によって記録層の結晶状態と非結晶状態を変化させることでデータを記録・消去する。これにより、フロッピーディスクやMOディスクのように繰り返し使用できる利便性を提供した。 コンパクトディスクのデータ容量は、CD-ROMの場合、一般的に約650MBから700MB程度である。これは当時のハードディスクドライブの容量と比較してもかなりの大容量であり、多くのソフトウェアやマルチメディアデータを収録することが可能だった。音声データの場合、CD-DAは約74分から80分のステレオ音声を高品質で記録できる。データ転送速度は、初期のCD-ROMドライブでは「1倍速」と呼ばれ、毎秒約150KBのデータを転送できた。その後、技術の進歩により「52倍速」など、より高速なドライブが登場し、データ読み出しの効率が飛躍的に向上した。 コンパクトディスクは、その登場によってデジタルデータの物理的な配布方法に革命をもたらし、コンピュータとマルチメディアコンテンツの普及に大きく貢献した。ソフトウェアの流通コスト削減や、個人が手軽にデータをバックアップ・共有できる環境を整えた功績は大きい。しかし、DVD、Blu-ray Discといったさらに大容量の光ディスクや、USBメモリ、SDカードのようなフラッシュメモリ、さらにはインターネットを介したクラウドストレージの普及により、主要なデータ記録媒体としての役割は徐々に低下していった。それでも、光ディスク技術の基礎を築き、現在のデジタルデータ流通のあり方に大きな影響を与えた歴史的に重要な技術であることに変わりはない。システムエンジニアを目指す上で、過去の主要なデータ保存技術を理解することは、現在の技術の選択や未来の技術の発展を予測する上で貴重な知見となる。コンパクトディスクは、デジタルデータの物理的な表現と読み出しの原理を学ぶ上で、非常に良い事例を提供する。

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