コンピュータ犯罪 (コンピュータハンザイ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コンピュータ犯罪 (コンピュータハンザイ) の読み方

日本語表記

コンピュータ犯罪 (コンピュータハンザイ)

英語表記

computer crime (コンピュータークライム)

コンピュータ犯罪 (コンピュータハンザイ) の意味や用語解説

コンピュータ犯罪とは、コンピュータや情報通信ネットワークを介して行われる、あるいはそれらを標的とする犯罪行為の総称である。情報システムが社会インフラの基盤となり利用が広がる現代において、コンピュータ犯罪は個人や企業、社会に深刻な影響を及ぼす。システムエンジニアを目指す者にとって、その多様な手口、影響、対策を理解することは、安全で信頼性の高いシステムを構築・運用するために不可欠な知識となる。 詳細にコンピュータ犯罪の形態を見ていく。主な類型は、コンピュータシステムやデータを直接標的とするもの、コンピュータやネットワークを犯罪の道具として利用するもの、そして特定のコンピュータ関連行為自体を違法とするものに分けられる。 コンピュータシステムやデータを直接標的とする犯罪の代表例は、不正アクセスである。これは、権限を持たない者が他人のIDやパスワードを不正利用したり、システムの脆弱性を突いたりして、コンピュータやネットワークに侵入する行為を指す。不正アクセスにより、機密情報の窃取、データの改ざん・破壊、システム乗っ取りなどが招かれる。マルウェア(ウイルス、ワーム、トロイの木馬など)の作成・散布もこれに含まれ、機能停止や情報漏洩を招く。DoS攻撃やDDoS攻撃も重要な類型で、サーバーやサービスに大量のアクセスを集中させ、過負荷でサービス停止や利用困難に陥らせる攻撃である。 次に、コンピュータやネットワークを犯罪の道具として利用するケースも多い。これには、インターネットバンキングの認証情報を騙し取るフィッシング詐欺や架空請求詐欺、オンラインショッピングを装った詐欺など、インターネットを利用した様々な形態の詐欺が含まれる。著作権を侵害する違法なコンテンツのダウンロードや共有、インターネット上での嫌がらせや監視行為であるサイバーストーキングもこの範疇に入る。匿名性が高く国境を越えて広がる特性から、被害特定や捜査が困難になることも多い。 さらに、日本の法律では特定のコンピュータ関連行為を犯罪と規定している。例えば、正当な理由なく他人のコンピュータ内のプログラムやデータを改ざん・破壊する行為は、電子計算機損壊等業務妨害罪や器物損壊罪に該当しうる。また、他人のコンピュータの動作を不正に妨害する目的で、ウイルスなどの不正なプログラムを作成、提供、または取得する行為は、不正指令電磁的記録に関する罪(通称:ウイルス作成罪)として罰せられる。これらの法規制は、情報社会の健全な発展を阻害する行為を取り締まる。 コンピュータ犯罪が引き起こす影響は多岐にわたる。企業にとっては、顧客情報の流出による社会的信用の失墜、事業活動の停止、復旧費用や訴訟費用といった経済的損失は計り知れない。個人にとっても、プライバシー侵害、金銭的被害、精神的苦痛は深刻である。システムエンジニアは、これらの脅威からシステムと利用者を守る重要な役割を担う。「セキュリティ・バイ・デザイン」に基づき、脆弱性のないシステム構築、適切なアクセス制御、データの暗号化、セキュリティパッチ適用などを実施する。また、インシデント発生時には迅速かつ適切に対応できる体制を整え、常に最新の脅威動向、セキュリティ技術、関連法規を学び続けることが、信頼されるシステムエンジニアとして不可欠な責務である。

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