コンカレントエンジニアリング (コンカレントエンジニアリング) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

コンカレントエンジニアリング (コンカレントエンジニアリング) の読み方

日本語表記

コンカレントエンジニアリング (コンカレントエンジニアリング)

英語表記

Concurrent Engineering (コンカレントエンジニアリング)

コンカレントエンジニアリング (コンカレントエンジニアリング) の意味や用語解説

コンカレントエンジニアリングとは、製品開発プロセスにおいて、従来は順を追って行われていた複数の工程を同時並行的に進める手法のことである。日本語では「同時並行開発」や「並行エンジニアリング」とも呼ばれる。 従来の製品開発は、まず企画部門が製品のコンセプトや仕様を決定し、次に設計部門が詳細な設計を行い、その後、製造部門が設計図に基づいて製品を製造するという流れが一般的だった。この方式では、各部門が前の部門の作業が終わるまで次の作業に取り掛かることができないため、開発期間が長期化しやすいという課題があった。また、後工程で問題が発覚した場合、前工程に遡って修正する必要が生じ、さらに開発期間が延びる可能性もあった。 コンカレントエンジニアリングは、これらの問題を解決するために生まれた。各部門がそれぞれの専門知識を持ち寄り、初期段階から共同で製品開発に取り組むことで、設計段階で製造上の問題点やコストの問題点を早期に発見し、対応することが可能となる。例えば、設計部門が設計を行う際に、製造部門からのフィードバックを取り入れることで、製造しやすい設計に修正したり、コストダウンに繋がる部品の選定を行ったりすることができる。 コンカレントエンジニアリングの具体的な進め方としては、まず、製品開発に関わる全ての部門の担当者からなるチームを編成する。このチームは、企画、設計、製造、品質保証、マーケティングなど、様々な分野の専門家で構成される。次に、チーム全体で製品のコンセプトや仕様、目標などを共有し、共通認識を持つ。そして、各部門がそれぞれの担当分野について、同時並行的に作業を進めていく。 作業を進める中で、各部門は互いに情報を共有し、密接に連携を取り合う必要がある。定期的な会議や進捗報告会などを開催し、進捗状況や問題点などを共有することで、チーム全体で問題を解決し、より良い製品開発を目指す。また、設計段階においては、3D CADやCAE（Computer Aided Engineering）などのツールを活用することで、設計の妥当性を検証したり、シミュレーションを行ったりすることが有効である。これらのツールを活用することで、試作段階での手戻りを減らし、開発期間を短縮することができる。 コンカレントエンジニアリングの導入には、いくつかの注意点がある。まず、各部門間のコミュニケーションを密にすることが重要である。情報共有の遅れや認識のずれは、手戻りの原因となり、コンカレントエンジニアリングの効果を損なう可能性がある。そのため、情報共有のためのツールや仕組みを導入したり、定期的な会議を開催したりするなど、コミュニケーションを円滑にするための工夫が必要となる。 次に、各部門の担当者の役割と責任を明確にすることが重要である。誰が何を担当し、どのような責任を負うのかを明確にすることで、責任の所在を明確にし、スムーズな意思決定を促すことができる。また、各部門の担当者が、他の部門の業務内容や課題を理解することも重要である。これにより、部門間の協力体制を強化し、より効果的なコンカレントエンジニアリングを実現することができる。 コンカレントエンジニアリングは、製品開発期間の短縮、コスト削減、品質向上など、様々なメリットをもたらす。しかし、導入には十分な準備と計画が必要となる。各部門間の連携を強化し、情報共有を円滑にすることで、コンカレントエンジニアリングの効果を最大限に引き出すことができる。システムエンジニアとしては、開発プロセス全体を俯瞰し、各部門が連携しやすいようなシステム構築や情報共有基盤の整備に貢献することが求められる。