コネクションレス型通信 (コネクションレスガタツウシン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コネクションレス型通信 (コネクションレスガタツウシン) の読み方

日本語表記

コネクションレス型通信 (コネクションレスガタツウシン)

英語表記

connectionless communication (コネクションレスコミュニケーション)

コネクションレス型通信 (コネクションレスガタツウシン) の意味や用語解説

コネクションレス型通信は、ネットワーク上でデータを送受信する際の通信方式の一つである。この方式の最大の特徴は、データを送る前に送信側と受信側の間で事前の接続確立(コネクション確立)を行わない点にある。送信側は、送りたいデータと宛先情報を一つのまとまりであるパケットに含め、ネットワークに一方的に送り出す。受信側は、そのパケットを単独で受け取る。このように、個々のパケットがそれぞれ独立して扱われ、通信路の確立や終了といった手間がかからないため、シンプルで高速なデータ転送が可能となる。対照的な通信方式としてコネクション指向型通信があり、これはデータを送る前に必ず接続を確立し、通信路を維持しながらデータを送受信する。 コネクションレス型通信におけるデータ送信の仕組みは、手紙を送る行為によく似ている。手紙を送る際には、事前に相手と電話などで「今から手紙を送ります」といった合意形成は不要であり、ただ手紙に宛先を書いてポストに投函するだけである。この方式では、送信側が送りたいデータをパケットに分割し、それぞれのパケットに宛先(IPアドレスやポート番号など)の情報を含める。そして、これらのパケットをネットワークに対して送り出すと、パケットはそれぞれ独立した経路をたどり、宛先に到達しようとする。送信側は、パケットが宛先に確実に届いたか、正しい順序で届いたかといった確認は行わない。また、受信側がパケットを受信したことを送信側に通知することもない。パケットがネットワークの途中で紛失したり、複数のパケットが異なる経路をたどって順序が入れ替わったり、あるいは重複して届いたりする可能性もあるが、コネクションレス型のプロトコル自身はこれらの事象に対して何も保証しない。 この通信方式の最大の利点は、その効率性と低オーバーヘッドにある。事前の接続確立や通信状態の維持、送達確認といった処理が不要なため、通信にかかる時間やネットワークリソースの消費が最小限に抑えられる。特に、一度に送るデータ量が少ない場合や、多数のクライアントからのリクエストを同時に処理する必要があるサーバーシステムにおいて、この特性は非常に有利に働く。例えば、Webサーバーが数多くのクライアントからのリクエストを処理する際、各クライアントとの接続状態を維持する必要がないため、サーバー側の負荷が軽減され、高いスケーラビリティ(拡張性)を実現しやすい。また、リアルタイム性が重視される通信、例えば音声や動画のストリーミング、オンラインゲームなどで、多少のパケット紛失は許容できるが、遅延は避けたいといったケースにも適している。プロトコルの実装が比較的シンプルであるため、開発コストの削減にも寄与する場合がある。 一方で、コネクションレス型通信には信頼性の欠如という明確なデメリットが存在する。前述の通り、パケットの到達保証、順序保証、重複排除といった機能が提供されないため、重要なデータや正確な順序が求められるデータ転送には不向きである。もしこれらの信頼性が必要な場合は、アプリケーション層など、より上位のプロトコルで独自に信頼性確保の仕組みを実装する必要がある。例えば、受信側でパケットの到着順序を並び替えたり、失われたパケットの再送を要求したりといった処理が考えられる。これは、プロトコルの設計を複雑にする可能性があり、場合によってはコネクション指向型通信を利用するよりも全体の効率が悪くなることもある。また、送信側はパケットを送り続けるだけで、受信側の処理能力を超過して大量のパケットを送りつけてしまう、いわゆる輻輳(ふくそう)制御がプロトコルレベルでは行われないため、ネットワーク全体のパフォーマンスに悪影響を与える可能性もある。 コネクションレス型通信の代表的なプロトコルとしては、インターネットの基盤プロトコルの一つであるUDP(User Datagram Protocol)が挙げられる。UDPは、そのシンプルさと高速性から様々なサービスで利用されている。例えば、DNS(Domain Name System)はドメイン名とIPアドレスの変換を行うサービスであり、非常に短いデータ(クエリと応答)を高速にやり取りする必要があるため、UDPが適している。また、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)によるIPアドレスの自動割り当てや、NTP(Network Time Protocol)による時刻同期などもUDPを利用する。さらに、IoTデバイスからのセンサーデータの収集など、少量かつ頻繁なデータ送信が求められ、多少のデータ欠落は許容されるようなユースケースでも、コネクションレス型通信は有効な選択肢となる。 このように、コネクションレス型通信は、その特性を理解し、適切な場面で活用することが重要である。信頼性よりも速度、効率、リアルタイム性が優先される場面や、上位のアプリケーション層で信頼性確保の仕組みを独自に実装できる場合に特に力を発揮する。システムを設計する際には、通信の要件に応じてコネクションレス型とコネクション指向型、それぞれの特性を比較検討し、最適なプロトコルを選択することが求められる。

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