制御構造 (セイギョコウゾウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
制御構造 (セイギョコウゾウ) の読み方
日本語表記
制御構造 (セイギョコウゾウ)
英語表記
control structure (コントロールストラクチャ)
制御構造 (セイギョコウゾウ) の意味や用語解説
制御構造とは、コンピュータプログラムにおける処理の実行順序を制御するための基本的な仕組みである。プログラムは、記述された命令を単に上から下へ順番に実行するだけではない。特定の条件が満たされたときにだけ実行する処理を分けたり、同じ処理を何度も繰り返したりする必要がある。このような、処理の流れを意図通りにコントロールする枠組み全体を制御構造と呼ぶ。アルゴリズムをプログラムとして具体的に表現するための根幹をなす概念であり、ほとんど全てのプログラミング言語に共通して存在する。この制御構造を理解することは、論理的な思考に基づいてソフトウェアを設計し、開発するための第一歩となる。制御構造は、大きく分けて「順次構造」「選択構造」「反復構造」の三つに分類される。 順次構造は、最も単純で基本的な制御構造である。これは、プログラムに記述された命令を、上から下へ、書かれた順序通りに一つずつ実行していく処理の流れを指す。例えば、「変数Aに10を代入する」「変数Bに20を代入する」「変数Aと変数Bを足し算し、その結果を変数Cに代入する」「変数Cの値を出力する」といった一連の命令は、この順次構造に従って実行される。特別な条件分岐や繰り返しを含まない、直線的な処理の流れであり、他の複雑な制御構造の基礎となる部分である。 選択構造は、ある条件を満たすか満たさないかによって、次に実行する処理を分岐させるための構造である。これは条件分岐とも呼ばれ、プログラムに判断能力を持たせ、状況に応じた柔軟な動作をさせるために不可欠である。代表的な命令として`if`文がある。「もし(if)条件が真(正しい)ならば、処理Aを実行する」というのが最も基本的な形である。さらに、「もし条件が真ならば処理Aを、偽(間違い)ならば(else)処理Bを実行する」というように、条件が満たされなかった場合の処理も記述できる。また、「もし条件1が真ならば処理Aを、そうでなくもし(else if)条件2が真ならば処理Bを、いずれでもなければ処理Cを実行する」といった形で、複数の条件によって処理を多岐に分岐させることも可能である。もう一つの代表的な選択構造として`switch`文(または`case`文)がある。これは、一つの変数の値に応じて、多数の選択肢の中から実行する処理を一つだけ選び出す場合に用いられ、`if`文を多数連ねるよりもコードが簡潔になることがある。例えば、ユーザーの入力値が1であれば処理1、2であれば処理2、といったように、特定の値に対応する処理を実行する場合に有効である。 反復構造は、特定の条件が満たされている間、同じ処理ブロックを繰り返し実行するための構造である。ループ構造とも呼ばれ、大量のデータを効率的に扱ったり、特定の状態になるまで処理を継続したりする場合に用いられる。反復構造には、主に繰り返しの条件を指定する方法によっていくつかの種類が存在する。代表的なものの一つが`for`文である。`for`文は、主に繰り返す回数が事前に決まっている場合に適している。例えば、「1から100までの数値を順番に足し合わせる」や「配列の全ての要素に対して同じ処理を適用する」といった処理で使用される。カウンタ変数の初期化、繰り返しを継続する条件、カウンタ変数の更新をまとめて記述するため、処理の開始と終了が明確になる。もう一つの代表的なものが`while`文である。`while`文は、「指定した条件が真である間、処理を繰り返す」という制御を行う。こちらは繰り返す回数が事前に定まっておらず、ある状態になるまで処理を続けたい場合に適している。例えば、「ユーザーが特定のキーワードを入力するまで、入力を促し続ける」や「ファイルの終端に達するまで、データを一行ずつ読み込む」といった処理で使用される。`while`文と似たものに`do-while`文がある。これは、`while`文が最初に条件を評価するのに対し、`do-while`文はまず一度処理を実行してから条件を評価する点が異なる。そのため、最低でも一回は処理を実行させたい場合に用いられる。 これら「順次」「選択」「反復」という三つの基本的な制御構造を適切に組み合わせることによって、どれほど複雑なロジックを持つプログラムであっても構築することが可能である。この考え方は構造化プログラミングの基本原則であり、可読性や保守性の高いソフトウェアを開発するための重要な指針となっている。システムエンジニアを目指す者にとって、これらの制御構造の役割と使い方を正確に理解することは、特定のプログラミング言語の文法を覚える以前に必須となる、普遍的かつ fundamental な知識であると言える。