コンバージドインフラストラクチャ (コンバージドインフラストラクチャ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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コンバージドインフラストラクチャ (コンバージドインフラストラクチャ) の読み方

日本語表記

コンバージドインフラ (コンバージドインフラ)

英語表記

converged infrastructure (コンバージドインフラストラクチャ)

コンバージドインフラストラクチャ (コンバージドインフラストラクチャ) の意味や用語解説

コンバージドインフラストラクチャとは、データセンターや企業の情報システムを構築する際に必要となる、サーバー、ストレージ、ネットワークといった主要なITインフラ要素を物理的かつ論理的に統合し、単一のシステムとして提供する形態を指す。これは、それぞれのコンポーネントを個別に調達、構築、管理する従来の方式とは異なり、導入から運用、保守までを簡素化し、効率を高めることを目的としている。 従来のITインフラストラクチャでは、サーバーはサーバーベンダー、ストレージはストレージベンダー、ネットワーク機器はネットワークベンダーといったように、異なるベンダーから個別に購入し、それぞれを組み合わせてシステムを構築していた。この方法では、各コンポーネントの選定、互換性の検証、導入作業、そして運用中の監視や保守がそれぞれ独立して行われるため、多くの時間と手間がかかっていた。特に、システム全体の性能が低下した場合や、障害が発生した場合の原因特定には、複数の専門知識を持つ担当者が連携し、複雑な切り分け作業を行う必要があり、運用コストの増大やシステムの停止時間の長期化といった課題を抱えていた。また、異なるベンダーの製品を組み合わせることで、互換性問題が発生したり、サポート窓口が分散したりすることも少なくなかった。システムの拡張が必要になった際にも、それぞれのコンポーネントを個別に計画し、増設する必要があり、柔軟性に欠ける側面があった。 これに対し、コンバージドインフラストラクチャは、これらの課題を解決するために登場した。コンバージドインフラストラクチャの主な特徴は、サーバー、ストレージ、ネットワーク機器が単一のベンダーによって事前に設計、検証、統合された状態で提供される点にある。これにより、ユーザーは各コンポーネントの組み合わせや互換性を個別に検討する必要がなくなり、システム全体の導入作業が大幅に簡素化される。物理的には、これら統合されたコンポーネントは、一つのラックやシャーシ内に収められることが多い。さらに、これらの統合されたハードウェアリソースを一元的に管理するための統合管理ソフトウェアが提供されるため、システム全体の監視、プロビジョニング(リソースの割り当て)、更新作業なども単一のインターフェースから行うことが可能となる。この統合管理によって、IT管理者は特定のコンポーネントの専門知識がなくても、システム全体を効率的に運用できるようになる。 コンバージドインフラストラクチャの導入には、いくつかの明確なメリットがある。まず、導入期間の大幅な短縮が挙げられる。事前に検証済みの構成で提供されるため、セットアップにかかる時間が短縮され、ビジネス要件への迅速な対応が可能となる。次に、運用管理の簡素化である。統合された管理ツールにより、日々の運用作業が効率化され、IT管理者の負担が軽減される。これにより、IT部門はインフラの維持管理ではなく、より戦略的な業務にリソースを集中させることができる。コスト面では、導入コストだけでなく、運用コストや電力・冷却コストの削減にも寄与する。複数のベンダーと個別に契約する必要がなくなり、サポート窓口も一元化されるため、トラブルシューティングも迅速化される。信頼性の向上も大きなメリットである。事前検証済みの構成と単一ベンダーによるサポートにより、コンポーネント間の互換性問題が減少し、システムの安定性が高まる。また、モジュール式の設計により、ビジネスの成長に合わせてコンピューティングリソースやストレージ容量を容易に追加できるなど、優れた拡張性も備えている。 一方で、コンバージドインフラストラクチャには考慮すべきデメリットも存在する。最も顕著なのが「ベンダーロックイン」のリスクである。特定のベンダーの製品に依存することになるため、一度導入すると、その後の拡張や更新も同じベンダーの製品を選ぶ傾向が強くなる。これにより、他のベンダーの優れた技術やコスト効率の高い製品を選択する機会が失われる可能性がある。また、初期投資が高額になる傾向がある。コンポーネントを個別に購入する場合と比べて、統合されたシステムとして一括購入するため、まとまった費用が必要になる。システムの柔軟性にも一定の制約がある。個別のコンポーネントを自由に選択・変更する柔軟性は低く、特定の用途に特化した最適化を行うことが難しい場合もある。 コンバージドインフラストラクチャと混同されやすい概念に「ハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)」がある。両者はインフラ統合を目指す点では共通しているものの、その実現アプローチは大きく異なる。コンバージドインフラストラクチャが、サーバー、ストレージ、ネットワークといった物理的なコンポーネントを統合し、それらを管理するソフトウェアも統合する「物理的な統合」を主体とするのに対し、ハイパーコンバージドインフラストラクチャは、ソフトウェア定義型インフラストラクチャ(SDI)の考え方を基盤としている。HCIでは、汎用的なサーバーのローカルディスクを仮想的に統合し、ソフトウェアによってストレージ機能を提供することで、コンピューティングリソースとストレージリソースを単一のノードに集約する。さらに、ネットワーク機能もソフトウェアで定義・管理される。つまり、CIが個別の物理コンポーネントを「箱」として統合管理するのに対し、HCIはサーバー仮想化技術を最大限に活用し、ソフトウェアの力でインフラ機能全体を統合・抽象化している点で明確な違いがある。HCIはより高い柔軟性と拡張性、そしてクラウド環境との親和性を持ち、コンバージドインフラストラクチャの進化形ともいえる。 このように、コンバージドインフラストラクチャは、従来の複雑なITインフラ構築・運用に課題を感じている企業にとって、その簡素化と効率化を実現する強力なソリューションとなる。システムエンジニアを目指す上では、このインフラ統合の概念を理解し、そのメリットとデメリット、そして類似技術との違いを把握することが非常に重要である。

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