カーソルブラウズ(カーソルブラウズ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

カーソルブラウズ(カーソルブラウズ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

カーソルブラウズ (カーソルブラウズ)

英語表記

cursor browse (カーソルブラウズ)

用語解説

カーソルブラウズとは、ウェブページをあたかもワープロソフトやテキストエディタの文書であるかのように、キーボードのカーソルキー(矢印キー)やその他の操作キーを用いてページ内を移動し、テキストを選択・コピーできる機能のことである。主にInternet Explorerにおいて「キャレットブラウズ」という名称で提供され、特定のショートカットキーを押すことで有効化・無効化が切り替えられた。通常のウェブブラウジングでは、マウスを使用してスクロールしたりリンクをクリックしたりすることが一般的だが、カーソルブラウズを有効にすると、ページ上にテキスト入力時と同様の点滅するカーソル(キャレット)が表示され、キーボード操作のみでページ内の任意のテキストへと移動し、それを精密に選択できるようになる。

この機能は、特に大量のテキスト情報が含まれるウェブページから特定の情報を正確に抽出したい場合や、マウス操作が困難な状況でキーボード操作だけでコンテンツを読み進めたい場合に非常に有効であった。例えば、ウェブページの特定の段落全体を選択してコピーしたり、表形式で表示されたデータの中から特定のセル内のテキストだけを選択したりする際に、マウスでドラッグするよりも正確かつ効率的に操作できる利点があった。具体的には、通常F7キーを押すことでこの機能が有効になり、ページ上にキャレットが出現する。その後、上下左右の矢印キーを使ってキャレットを移動させることができ、Shiftキーを押しながら矢印キーを操作することで、テキスト入力時と同様にテキストを選択範囲としてハイライト表示させることが可能になる。また、HomeキーやEndキー、Page UpキーやPage Downキーなども利用でき、これらを組み合わせることで、マウスを使わずともウェブページ内の広範囲を迅速に移動し、必要なテキストをピンポイントで選択できる柔軟な操作性を提供した。

カーソルブラウズの背後にある基本的な考え方は、ウェブブラウザがウェブページのコンテンツを単なる表示領域としてではなく、編集可能なテキストドキュメントに近い形で扱う点にある。これにより、ユーザーはより精度の高いテキスト操作を行うことができ、特にアクセシビリティの観点からも価値のある機能であった。視覚的な障がいを持つユーザーや、一時的・恒常的にマウス操作が難しいユーザーにとって、キーボードのみでウェブページ内の情報を詳細に探索し、必要なテキストをコピーできることは、情報へのアクセス性を大きく向上させる。今日のモダンなウェブブラウザでは、通常はウェブページ全体をコピー&ペーストするか、マウスでドラッグして選択する方式が主流であり、このような「キャレットブラウズ」機能は標準では提供されていないことが多い。しかし、一部のブラウザ拡張機能や特定のアクセシビリティツールを通じて、同様の操作性を提供するものも存在する。

カーソルブラウズは、ウェブコンテンツが比較的静的でテキスト中心であった時代のニーズに応える形で広く利用された。現代のウェブページはJavaScriptなどを多用した動的な要素や複雑なレイアウトが一般的であり、必ずしもすべてのページでカーソルブラウズが期待通りに機能するとは限らない。例えば、インタラクティブなアプリケーションや、テキストではなく画像として表示される情報が多いページでは、この機能の恩恵を受けにくい場合がある。しかし、学術論文やニュース記事、マニュアルなどのテキストコンテンツが主体のウェブページにおいては、現在でもその操作性が有効な場面は多い。ウェブブラウジングにおけるテキスト選択とナビゲーションの歴史を語る上で、カーソルブラウズはキーボードを主体とした効率的かつ精密な操作を可能にした重要な機能の一つとして位置づけられる。