開発(カイハツ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

開発(カイハツ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

開発 (カイハツ)

英語表記

development (ディベロップメント)

用語解説

開発とは、IT分野において、特定の目的を達成するために新しいシステムやソフトウェア、サービスなどを創り出す一連の活動全般を指す言葉である。これは単にプログラムコードを記述することだけを意味するのではなく、企画から設計、実装、テスト、そして運用に至るまで、広範な工程を含む概念である。企業や組織が抱える課題を解決するため、あるいは新たなビジネス価値を創造するために、既存の仕組みを改善したり、全く新しいものを生み出したりすることが「開発」の主要な目的となる。例えば、日々の業務を効率化するための社内システム、消費者が利用するスマートフォンアプリ、ウェブサイト、クラウドサービスなど、我々の身の回りにある多くのITプロダクトが開発によって生み出されている。

システム開発やソフトウェア開発は、多くの場合、以下の基本的なプロセスを経て進行する。まず、開発の出発点となるのが「企画・要件定義」である。この段階では、何を作るのか、誰が使うのか、どのような機能が必要なのか、といったシステムの目的や要件を明確にする。ユーザーや顧客の要望を詳細にヒアリングし、システムの全体像を具体化する作業が中心となる。例えば、「顧客管理の効率化」という目標に対し、「顧客情報の一元管理機能」「購買履歴の検索機能」といった具体的な要求を洗い出す。

次に、「設計」フェーズへ移行する。要件定義で明確になった内容に基づき、システムがどのように動作するか、どのような構造を持つかを具体的に計画する。設計は大きく分けて「外部設計」と「内部設計」がある。外部設計では、ユーザーインターフェース(画面のレイアウトや操作方法)やシステム全体の機能構成など、ユーザーから見える部分の設計を行う。内部設計では、プログラムのモジュール構成、データベースの構造、データ連携の方法など、システム内部の具体的な動作や構造を詳細に設計する。この段階で作成される設計書は、後の実装作業の指針となる重要なドキュメントである。

設計が完了すると、「実装」(プログラミング)フェーズに入る。ここでは、設計書に基づいて実際にプログラムコードを記述する作業が行われる。プログラミング言語(Java、Python、JavaScriptなど)や開発フレームワーク、各種開発ツールを駆使し、機能ごとにモジュールを作成し、それらを統合していく。この工程が、一般的に「ものづくり」としてイメージされる開発作業の中心部分であり、プログラマーが主要な役割を担う。

実装されたプログラムは、「テスト」フェーズでその品質が検証される。テストの目的は、システムが要件定義通りに動作するか、不具合や欠陥がないかを確認することである。単体テスト、結合テスト、システムテスト、受け入れテストなど、様々なレベルのテストが実施される。例えば、個々の機能が正しく動作するかを確認する単体テスト、複数の機能が連携して期待通りに動くかを確認する結合テスト、そしてシステム全体がユーザーの要求を満たしているかを確認するシステムテストや受け入れテストがある。徹底したテストにより、システムのリスクを低減し、安定稼働を保証する。

テストを経て品質が確認されたシステムは、「導入・運用」フェーズへと進む。これは、開発したシステムを実際にユーザーが利用できる環境に設置し、稼働させる段階である。システムが稼働した後は、予期せぬトラブルへの対応、定期的なメンテナンス、利用状況に応じた機能改善やアップデートなど、継続的な運用保守が必要となる。この運用段階でのフィードバックが、次の改善や追加開発へとつながることも多い。

開発プロセスには、ウォーターフォールモデルやアジャイル開発など、いくつかの主要な開発手法が存在する。ウォーターフォールモデルは、上述したように「企画→要件定義→設計→実装→テスト→運用」といった工程を順序立てて進める伝統的な手法で、工程の後戻りが少ないため大規模な開発や要件が明確な場合に適している。一方で、アジャイル開発は、短い期間(イテレーション)で開発とテストを繰り返しながら、柔軟に要件変更に対応していく手法である。市場の変化が速く、初期段階で要件が完全に固まらないようなプロジェクトで特に有効とされる。どちらの手法を用いるかは、プロジェクトの性質、予算、期間、チームの特性などによって総合的に判断される。

開発に携わる役割も多岐にわたる。プロジェクト全体を統括し、進捗管理やリソース管理を行う「プロジェクトマネージャー」、顧客との折衝を通じて要件をまとめ、システム全体の設計を担う「システムエンジニア」、設計に基づいてプログラミングを行う「プログラマー」、システムの品質を検証する「テスター」などが主な役割である。これらの専門家たちが協力し合うことで、一つのシステムが完成する。

今日の開発環境は、急速な技術進歩により多様化している。クラウドコンピューティングの普及により、物理的なサーバーを準備することなく開発・運用が可能になったり、AIや機械学習といった最先端技術を組み込むことで、より高度な機能を持つシステムが開発されたりしている。また、各種開発ツール(IDE、バージョン管理システム、CI/CDツールなど)の進化も、開発効率と品質の向上に大きく貢献している。

「開発」は、単に技術的な作業に留まらない。ユーザーの課題を理解し、それを解決するための最適なITソリューションを提供することに本質がある。そのためには、技術力だけでなく、コミュニケーション能力、問題解決能力、そして常に新しい知識を学び続ける姿勢が求められる。システムエンジニアを目指す者にとって、開発プロセス全体を理解し、各工程の重要性を認識することは、将来のキャリアを築く上で不可欠な基礎知識となる。