エンベデッドシステム(エンベデッドシステム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
エンベデッドシステム(エンベデッドシステム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
組込みシステム (クミコミシステム)
英語表記
embedded system (エンベデッドシステム)
用語解説
エンベデッドシステムとは、特定の機能を実現するために、機器に組み込まれたコンピュータシステムのことだ。日本語では「組み込みシステム」と呼ばれることもある。冷蔵庫や洗濯機といった家電製品、自動車、産業用ロボット、医療機器など、私たちの身の回りのあらゆる場所に存在し、社会を支える重要な役割を担っている。
エンベデッドシステムは、汎用的なコンピュータシステム(例えば、パソコンやスマートフォン)とは異なり、特定の用途に特化して設計されている点が大きな特徴だ。パソコンは、文書作成、Web閲覧、ゲームなど、様々な用途に利用できるが、エンベデッドシステムは、例えば、自動車のエンジン制御、洗濯機の運転制御、医療機器の画像処理など、特定のタスクを実行するために最適化されている。
エンベデッドシステムの構成要素は、主にハードウェアとソフトウェアに分けられる。ハードウェアは、CPU(中央処理装置)、メモリ、入出力インターフェースなどで構成される。CPUは、プログラムを実行し、システムの動作を制御する。メモリは、プログラムやデータを一時的に、または永続的に保存する。入出力インターフェースは、センサーからの情報を受け取ったり、モーターを制御したりするなど、外部の機器との間でデータのやり取りを行う役割を担う。
ソフトウェアは、エンベデッドシステムを動作させるためのプログラムで、ファームウェアと呼ばれることが多い。ファームウェアは、リアルタイムOS(RTOS)や、特定の処理を行うためのアプリケーションプログラムなどで構成される。リアルタイムOSは、決められた時間内に処理を完了させることを保証するOSで、自動車のエンジン制御や産業用ロボットなど、高い信頼性とリアルタイム性が求められるシステムで利用される。アプリケーションプログラムは、特定の機能を実行するためのプログラムで、例えば、洗濯機の運転コースを制御するプログラムや、医療機器の画像処理を行うプログラムなどがある。
エンベデッドシステムを開発する際には、いくつかの考慮すべき点がある。まず、リソース制約だ。エンベデッドシステムは、多くの場合、小型化、低消費電力化、低コスト化が求められるため、CPUの処理能力やメモリ容量などのリソースが限られている。そのため、効率的なプログラム開発が重要となる。次に、リアルタイム性だ。エンベデッドシステムの中には、決められた時間内に処理を完了させる必要があるものがある。例えば、自動車のブレーキ制御システムでは、ブレーキを踏んでから実際にブレーキがかかるまでの時間を最小限に抑える必要がある。そのため、リアルタイム性を考慮した設計が重要となる。さらに、信頼性だ。エンベデッドシステムは、故障すると人命に関わるような重要なシステムに組み込まれている場合がある。そのため、高い信頼性を確保するための設計とテストが重要となる。
エンベデッドシステムの開発には、C言語やC++などのプログラミング言語がよく用いられる。近年では、Pythonなどのスクリプト言語も、開発効率の向上を目的に利用されることが増えている。開発環境としては、統合開発環境(IDE)やデバッガなどが利用される。IDEは、プログラムの作成、コンパイル、デバッグなどの作業を効率的に行うためのツールで、デバッガは、プログラムのバグを見つけ、修正するためのツールだ。
エンベデッドシステムの分野は、IoT(Internet of Things)の普及とともに、ますます重要性を増している。IoTとは、様々なモノをインターネットに接続し、相互に通信することで、より高度なサービスを提供するという概念だ。エンベデッドシステムは、IoTデバイスの中核を担っており、センサーからデータを収集したり、ネットワーク経由でデータを送受信したりする役割を担っている。
エンベデッドシステムの将来性は非常に高く、様々な分野での応用が期待されている。例えば、自動車分野では、自動運転技術の開発が進んでおり、エンベデッドシステムがその中核を担っている。医療分野では、遠隔医療や手術支援ロボットなどの開発が進んでおり、エンベデッドシステムがこれらの技術を支えている。産業分野では、工場の自動化や省力化が進んでおり、エンベデッドシステムがこれらの技術を実現している。
システムエンジニアを目指す人がエンベデッドシステムについて学ぶことは、今後のキャリアにおいて非常に有利になるだろう。エンベデッドシステムの知識は、IoT、AI、ロボティクスなど、様々な分野で応用できるため、活躍の場が広がる可能性が高い。