実体関連モデル (ジッタイカンレンモデル) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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実体関連モデル (ジッタイカンレンモデル) の読み方

日本語表記

実体関連モデル (ジッタイカンレンモデル)

英語表記

Entity-Relationship Model (エンティティ・リレーションシップ・モデル)

実体関連モデル (ジッタイカンレンモデル) の意味や用語解説

実体関連モデル(ERモデル)とは、システムで扱うデータ構造を視覚的に表現するための設計手法の一つ。特にデータベース設計において、データを「実体」、実体間の関係を「関連」として捉え、それらを図で表現することで、システム全体のデータ構造を明確化し、関係者間の共通認識を醸成する役割を果たす。ERモデルは、概念設計段階で利用されることが多く、具体的なデータベースの実装に先立って、必要なデータとその関連性を洗い出すために不可欠なツールと言える。 ERモデルは、主に「実体」「属性」「関連」の3つの要素で構成される。 実体とは、システムで管理する対象となる具体的なモノや概念のこと。例えば、顧客管理システムであれば「顧客」、商品販売システムであれば「商品」などが実体となる。ER図では、実体は長方形で表現され、長方形の中に実体の名前を記述する。実体は、他の実体と区別できる必要があり、それぞれが一意な識別子を持つことが望ましい。 属性とは、実体が持つ特性や性質のこと。例えば、「顧客」という実体であれば、「顧客ID」「氏名」「住所」「電話番号」などが属性となる。ER図では、属性は楕円で表現され、楕円の中に属性の名前を記述する。楕円は、対応する実体と線で結ばれる。属性には、値を一意に定める「主キー」や、他の実体の属性を参照する「外部キー」など、様々な種類がある。主キーは、実体内のレコードを識別するために使用され、外部キーは、実体間の関連を表現するために使用される。 関連とは、実体と実体の間の関係性のこと。例えば、「顧客」が「商品」を「購入する」という関係や、「従業員」が「部署」に「所属する」という関係などが関連となる。ER図では、関連は菱形で表現され、菱形の中に関連の名前を記述する。菱形は、関連する実体と線で結ばれる。関連には、関連する実体の数によって、「1対1」「1対多」「多対多」の3つの種類がある。 1対1の関連は、一方の実体の1つのインスタンスが、もう一方の実体の1つのインスタンスと関連する場合に用いられる。例えば、「国民」と「パスポート」の関係がこれに該当する。 1対多の関連は、一方の実体の1つのインスタンスが、もう一方の実体の複数のインスタンスと関連する場合に用いられる。例えば、「顧客」と「注文」の関係がこれに該当する。1人の顧客が複数の注文をすることができる。 多対多の関連は、一方の実体の複数のインスタンスが、もう一方の実体の複数のインスタンスと関連する場合に用いられる。例えば、「学生」と「講義」の関係がこれに該当する。1人の学生が複数の講義を受講し、1つの講義を複数の学生が受講することができる。多対多の関連は、中間テーブルを作成することで、1対多の関連に分解されることが多い。例えば、「学生」と「講義」の間に、「履修」という中間テーブルを作成し、「学生」と「履修」が1対多、「講義」と「履修」が1対多となるように設計する。 ERモデルを作成する際には、まずシステムで管理する実体を洗い出し、それぞれの実体が持つ属性を定義する。次に、実体間の関連性を明らかにし、関連の種類を決定する。ER図を作成する際には、これらの情報を基に、長方形、楕円、菱形を用いて、視覚的に分かりやすい図を作成することが重要となる。ERモデルは、データベース設計の初期段階で作成されることが多く、後のデータベースの実装に大きな影響を与えるため、正確かつ丁寧に作成する必要がある。ERモデルを適切に作成することで、データベースの整合性を保ち、データの重複や矛盾を防ぐことができる。また、ERモデルは、システム開発に関わる様々な関係者間のコミュニケーションを円滑にするための共通言語としても機能する。

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