イーサチャネル(イーサチャネル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

イーサチャネル(イーサチャネル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

イーサチャネル (イーサチャネル)

英語表記

EtherChannel (イーサチャネル)

用語解説

イーサチャネルは、複数の物理的なイーサネット回線を束ねて、論理的に1本の高速な回線として扱う技術のこと。ネットワークの帯域幅を拡張し、冗長性を提供するために利用される。

具体的には、複数の物理ポートをまとめて1つの論理的なポートとして扱うことで、リンクアグリゲーションとも呼ばれる。これにより、単一のリンクの帯域幅制限を超えた通信が可能になる。たとえば、1Gbpsのイーサネット回線が4本あれば、理論上は4Gbpsの帯域幅を持つ1本の回線として利用できる。

イーサチャネルの仕組みは、IEEE 802.3adという規格で標準化されている。この規格では、LACP(Link Aggregation Control Protocol)というプロトコルが定義されており、ネットワーク機器間でリンクアグリゲーションの設定や管理を自動的に行うことができる。LACPを使用することで、手動設定のミスを減らし、動的なリンクの追加や削除に対応することが可能になる。

イーサチャネルの動作原理は、まず複数の物理リンクをグループ化することから始まる。このグループは「ポートチャネル」または「リンクアグリゲーショングループ(LAG)」と呼ばれる。データフレームは、このLAG内のいずれかの物理リンクを通じて送信される。どのリンクを使用するかは、ハッシュアルゴリズムによって決定される。このハッシュアルゴリズムは、送信元MACアドレス、宛先MACアドレス、送信元IPアドレス、宛先IPアドレスなど、フレームに含まれる情報に基づいて、特定のリンクを選択する。重要なのは、同一の通信フロー(同じ送信元と宛先の組み合わせ)は、常に同じリンクを使用するように設計されている点である。これにより、フレームの順序が保証され、データの整合性が保たれる。

イーサチャネルのメリットは主に3つ挙げられる。

1つ目は、帯域幅の拡張である。複数の回線を束ねることで、単一の回線では実現できない高速な通信が可能になる。これは、大容量のデータを扱うサーバーや、トラフィックの多いネットワーク環境において特に有効である。

2つ目は、冗長性の向上である。LAG内のいずれかのリンクに障害が発生した場合でも、他のリンクが自動的にトラフィックを引き継ぐため、通信が途絶えることがない。これにより、ネットワークの可用性を高めることができる。

3つ目は、負荷分散である。複数のリンクにトラフィックを分散することで、特定のリンクへの負荷集中を避けることができる。これにより、ネットワーク全体のパフォーマンスを向上させることができる。

一方、イーサチャネルのデメリットとしては、設定の複雑さが挙げられる。特に、LACPを使用せずに手動で設定する場合、設定ミスが発生しやすく、トラブルシューティングも困難になる可能性がある。また、全てのネットワーク機器がイーサチャネルに対応しているわけではないため、導入前に互換性を確認する必要がある。さらに、物理的な配線が増えるため、ケーブルの管理が煩雑になる場合もある。

イーサチャネルの設定は、ネットワーク機器のベンダーによって異なる。一般的には、コマンドラインインターフェース(CLI)やWebベースの管理インターフェースを使用して設定を行う。設定の際には、LAGの作成、物理ポートのLAGへの追加、LACPの有効化などの手順が必要になる。

イーサチャネルは、大規模なネットワークや、高い可用性が求められる環境において、非常に有効な技術である。しかし、導入にあたっては、事前に十分な計画と検証を行い、ネットワーク環境に最適な設定を選択することが重要である。また、設定ミスによるトラブルを避けるため、LACPの利用を推奨する。

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