エクサ(エクサ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

エクサ(エクサ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

エクサ (エクサ)

英語表記

exa (エクサ)

用語解説

「エクサ」は、国際単位系(SI)で定められたSI接頭辞の一つであり、10の18乗、すなわち100京という極めて大きな数値を表す単位である。IT分野において、データ容量や計算能力といった非常に巨大なスケールを表現する際に広く用いられる。身近な単位であるキロ(10の3乗)、メガ(10の6乗)、ギガ(10の9乗)、テラ(10の12乗)、ペタ(10の15乗)のさらに上位に位置し、現代の情報社会における膨大なデータ量や高性能なコンピュータの能力を示す上で不可欠な概念となっている。

システムエンジニアを目指す上で、「エクサ」がどのようなスケールの量を示すのかを理解することは、現在のITインフラや将来の技術動向を把握するために重要である。例えば、一般的なパーソナルコンピュータのストレージが数テラバイト(TB)のオーダーであるのに対し、1エクサバイト(EB)は1,000ペタバイト(PB)、1,000,000テラバイト(TB)、つまり100万台分のPCのストレージ容量に匹敵する。このような途方もない量を扱う必要性が、ビッグデータ、クラウドコンピューティング、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった分野の発展と共に高まっている。

エクサが用いられる具体的な場面は主に二つある。一つはデータストレージの容量を示す「エクサバイト(EB)」、もう一つは計算能力を示す「エクサフロップス(EFLOPS)」である。

エクサバイトは、世界のデジタルデータ総量や大規模なデータセンターのストレージ容量を表す際に用いられる。インターネットの普及、スマートフォンの爆発的な普及、ソーシャルメディアの利用拡大、そしてIoTデバイスからのセンサーデータなど、日々生成されるデータの量は指数関数的に増加している。これらのデータは、企業活動の意思決定、科学研究、社会インフラの最適化など、様々な分野で活用されており、その蓄積量もエクサバイト単位で語られることが一般的になっている。クラウドストレージサービスでは、世界中のユーザーが利用するデータの総量がすでにエクサバイト規模に達している場合が多く、その管理や運用には高度な技術と広大なストレージインフラが必要となる。

エクサフロップスは、スーパーコンピュータの計算性能を示す単位であり、1秒間に10の18乗回の浮動小数点演算(FPO)を実行できる能力を意味する。スーパーコンピュータは、気象予報や気候変動シミュレーション、新素材開発、創薬、核融合研究、宇宙物理学といった科学技術計算だけでなく、AIの深層学習モデルの訓練など、極めて複雑で大量の計算を必要とする分野で活用される。エクサフロップス級の計算能力を持つスーパーコンピュータは「エクサスケールコンピュータ」と呼ばれ、その実現は世界の科学技術競争における重要な目標とされている。2020年代に入り、複数の国で実際にエクサフロップス級の性能を持つスーパーコンピュータが登場し、その計算能力によってこれまで不可能であったシミュレーションや解析が可能になりつつある。これにより、より精度の高い予測や、より効率的な開発プロセスが実現され、社会課題の解決に大きく貢献することが期待されている。

なお、コンピュータの世界では、10の倍数で定義されるSI接頭辞の他に、2の累乗を基にしたバイナリ接頭辞も存在する。例えば、キロバイト(KB)は10の3乗バイト(1000バイト)を示すSI接頭辞として使われることが多いが、コンピュータの内部処理では2の10乗バイト(1024バイト)を指すこともある。同様に、エクサバイト(EB)も厳密には10の18乗バイトと、2の60乗バイト(エクスビバイト:EiB)という二つの意味合いで使われる場合がある。しかし、一般的な文脈やIT業界での慣習においては、SI接頭辞の「エクサ」は10の18乗を示すものとして理解されており、その巨大なデータ量や計算能力を表現するための共通の尺度として機能している。

このように「エクサ」は、現代そして未来のITを理解する上で避けて通れない非常に大きなスケールを表す言葉である。システムエンジニアとして、日々進化する情報技術の最前線に触れるためには、このエクサスケールの概念をしっかりと把握しておくことが重要となる。ビッグデータ解析、高性能コンピューティング、クラウドインフラの設計・運用など、様々な分野でこの巨大な単位が日常的に使われるようになる中で、その意味するところを正確に理解し、技術の動向を見極める能力が求められる。データの増加と計算需要は今後も加速する傾向にあり、エクサのさらに上位であるゼタ(10の21乗)やヨタ(10の24乗)といった単位も、近い将来、より身近なものとなる可能性を秘めている。