外字(ガイジ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

外字(ガイジ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

外字 (ガイジ)

英語表記

External characters (エクスターナル キャラクターズ)

用語解説

「外字」とは、一般的な文字コードセットには含まれない、ユーザーや特定のシステムが独自に定義・作成した文字のことである。JISコードやUnicodeといった標準的な文字セットでは表現できない特殊な文字、例えば特定の地名、人名、企業名、記号、あるいは旧字体などをコンピューター上で表示したり印刷したりするために用いられる。システム固有の文字であり、その性質上、異なるコンピューター環境間での互換性が問題となることが多い。

外字の作成方法はいくつか存在する。一つは、オペレーティングシステム(OS)やアプリケーションが提供する外字エディタなどの専用ツールを用いて、文字のグリフ(形)をドットや線でデザインする方法である。これにより、全く新しい文字を定義することが可能となる。もう一つは、既存の文字コードセットに存在するが、通常は使用されない「プライベートユース領域(Private Use Area, PUA)」と呼ばれる領域に、外字のグリフ情報を割り当てる方法である。UnicodeにおいてもPUAが存在し、ここに企業や組織が独自に文字を定義することが可能だが、この領域にどのような文字を割り当てるかは利用側が自由に決められるため、異なる環境間での互換性は保証されない。

作成された外字は、通常、専用のフォントファイルとして格納される。例えば、Windows環境では「.TTE」や「.TTF」といった形式のフォントファイルに外字データが保存され、これをシステムにインストールすることで、アプリケーションからその外字を利用できるようになる。また、OSのレジストリに外字に関する情報が登録される場合もある。外字の種類としては、OSが提供する機能で管理される「OS標準外字」、特定のアプリケーション(例えば基幹業務システムやワープロソフト)が独自に管理する「アプリケーション外字」、そして複数のクライアントPCで共通して利用できるようサーバー側で一元管理される「共通外字」などがある。

外字の利用には、いくつかの重大な課題や問題点が付随する。最も大きな問題は、その「環境依存性」である。外字は特定のコンピューターやOS、アプリケーション環境に紐付いて定義されているため、外字がインストールされていない別のPCやシステムにデータを移動したり、異なるアプリケーション間でデータを受け渡したりすると、その外字は正しく表示されず、「文字化け」や「〓(げた記号)」などの代替文字で表示されてしまう。これは、データ自体には文字コード情報が含まれていても、そのコードに対応するグリフ情報(文字の形)が受け渡し先の環境に存在しないためである。したがって、外字を含むデータを共有する際には、外字データ自体も一緒に配布し、受け渡し先の全ての環境にインストールする手間が生じる。この「互換性の欠如」は、システム間の連携やデータ移行における大きな障壁となる。

さらに、外字の数が増えれば増えるほど、その管理コストも増大する。新規作成、既存の修正、複数システムへの配布、バージョン管理、バックアップといった作業には、人的・時間的コストがかかる。特に大規模なシステムや長期にわたる運用では、この管理コストが無視できないほどになる場合がある。

現代において、Unicodeが広く普及したことにより、世界の主要な言語のほとんどの文字が標準的な文字コードで表現できるようになった。これにより、従来外字として扱われていた多くの文字がUnicodeの範囲内に含まれるようになり、外字の必要性は以前に比べて減少している。しかし、それでもなお、極めて特殊な記号、古文書にのみ見られる旧字体、特定の業界でしか使われない特殊な表記など、Unicodeでもカバーしきれない文字が存在する場合がある。また、長年にわたり外字を利用してきた古いシステムとの互換性を維持するため、あるいは業務フローの変更が困難なケースなど、依然として外字が利用される場面は存在する。

システムを設計する際には、可能な限り標準的なUnicodeなどの文字コードで表現することを最優先すべきである。外字の使用は、真にやむを得ない場合の最終手段と位置づけるべきだ。もし外字の使用が避けられない場合は、その管理方法、配布方法、そして互換性に関するリスクを設計段階で十分に考慮し、システム全体としてどのように対処するかを明確にする必要がある。具体的には、外字の登録ルールを厳格化する、外字の数を最小限に抑える、将来的な標準コードへの移行計画を立てる、などの対策が考えられる。外字は便利である反面、システムの保守性や拡張性を著しく低下させる可能性があるため、慎重な判断が求められる。