外部ライブラリ(ガイブルライブラリ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

外部ライブラリ(ガイブルライブラリ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

外部ライブラリ (ガイブリライブラリ)

英語表記

external library (エクスターナルライブラリ)

用語解説

外部ライブラリとは、自分で開発するプログラム(アプリケーション)において、特定の機能を実現するために、他の開発者や組織によって作成され、一般に公開されているコードの集合体である。これは、プログラムを構成する部品のようなもので、様々な種類の機能を提供する。例えば、日付や時刻の計算、画像処理、データベースへの接続、ネットワーク通信、データの暗号化、ユーザーインターフェースの描画など、多岐にわたる。自分でゼロからすべてのコードを書く代わりに、これらの既に準備された部品を組み込むことで、効率的にアプリケーションを開発できる。システムエンジニアを目指す上で、外部ライブラリの概念とその利用は、現代のソフトウェア開発において不可欠な知識である。

外部ライブラリを利用する最大のメリットは、開発時間の劇的な短縮と品質の向上にある。例えば、Webアプリケーションでユーザーのログイン機能を実装する場合を考えてみよう。セキュリティを考慮したパスワードのハッシュ化、セッション管理、認証処理など、多くの専門的な知識と実装が必要となる。これらをすべて自力で実装しようとすると、膨大な時間と労力がかかり、さらにセキュリティ上の脆弱性を作り込んでしまうリスクも高まる。しかし、既存の認証ライブラリを利用すれば、信頼性の高い実装を少ないコード量で素早く組み込むことが可能となる。これは、開発者が本来注力すべきアプリケーションの核となる機能開発に集中できることを意味する。

また、外部ライブラリは多くの開発者によって利用され、継続的にテストされているため、バグが少なく、高い信頼性を持っている。開発コミュニティによって定期的に改善やセキュリティパッチが適用されることも多く、常に最新の技術やセキュリティ基準に対応できる点も大きな利点である。特定の技術分野の専門知識がない開発者でも、その分野のライブラリを利用することで、高度な機能を自分のアプリケーションに組み込むことができる。例えば、複雑なデータ解析を行う場合でも、統計解析ライブラリを使えば、専門的な統計学の知識がなくても、高度なデータ処理を実現できる。これにより、開発の敷居が下がり、より多くのアイデアがソフトウェアとして具現化される土壌が形成される。さらに、標準的なライブラリを使用することは、コードの可読性と保守性を高める効果もある。他の開発者がそのコードを見た際にも、使われているライブラリが広く知られていれば、処理の内容を理解しやすくなるからだ。

外部ライブラリを利用する基本的な流れは、まず必要な機能を提供するライブラリを選定することから始まる。次に、選定したライブラリを自分のプロジェクトに組み込む作業を行う。多くのプログラミング言語には、この組み込み作業を簡単に行うための「パッケージマネージャー」や「依存関係管理ツール」と呼ばれる仕組みが用意されている。例えば、Pythonにおけるpip、JavaScriptにおけるnpm、JavaにおけるMavenやGradleなどがこれに該当する。これらのツールを使えば、コマンド一つでライブラリのダウンロードや、ライブラリがさらに依存している他のライブラリ(推移的依存関係)の解決を自動的に行ってくれる。組み込みが完了したら、自分のプログラムコード内でそのライブラリを「インポート」し、提供されている関数やクラスを呼び出して利用する。

しかし、外部ライブラリの利用にはいくつかの注意点も存在する。第一に、依存性の管理が挙げられる。多数のライブラリを利用すると、それらのライブラリ同士のバージョン間の競合や、予期せぬ動作を引き起こす可能性がある。これは「依存性の地獄」と呼ばれることもあり、問題解決に時間と労力を要する場合がある。パッケージマネージャーはこのような問題をある程度軽減してくれるが、完全に防ぐものではない。第二に、セキュリティリスクがある。提供元が不明確なライブラリや、長期間更新されていないライブラリには、悪意のあるコードが含まれていたり、既知の脆弱性が修正されていなかったりする可能性がある。そのため、信頼できる提供元のライブラリを選び、定期的にアップデートを行うことが重要である。

第三に、ライブラリの学習コストも考慮すべき点だ。特定のライブラリを効果的に利用するためには、その機能、使い方、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を理解する必要がある。これは新たな技術を学ぶのと同等の労力を要することもある。第四に、ライセンスの問題がある。外部ライブラリには、MITライセンス、Apacheライセンス、GPL(GNU General Public License)など、様々な種類のライセンスが適用されている。これらのライセンスは、そのライブラリを自分のアプリケーションに組み込んで配布・販売する際の条件(例:商用利用の可否、ソースコード公開の義務など)を規定しているため、利用前に必ず確認し、遵守する必要がある。ライセンス違反は法的な問題に発展する可能性もある。

第五に、不要な機能によるコードサイズの増加がある。汎用的に作られたライブラリは、必ずしも自分のアプリケーションに必要な機能だけを提供しているわけではない。不必要な機能まで含めてしまうと、アプリケーションの実行ファイルサイズが大きくなったり、起動時間が長くなったりする原因となることもある。第六に、開発の停止リスクである。いくら優れたライブラリであっても、その開発が何らかの理由で停止してしまうと、将来的なバグ修正や新機能追加、最新環境への対応が行われなくなる。これは長期的なプロジェクトにとって大きなリスクとなり得る。

最後に、外部ライブラリと対比される概念として「内部ライブラリ」がある。内部ライブラリとは、特定のプロジェクトや企業内で、複数のアプリケーションやモジュールから共通して利用される目的で、その組織自身が開発・管理するコードの集合体を指す。これに対し、外部ライブラリは、自社の開発チームの外部、つまり他の開発者や企業、オープンソースコミュニティによって開発され、一般に公開されているものを指す。両者ともにコードの再利用を促進する点では共通するが、開発・管理主体が異なる。システム開発において、これらの外部ライブラリを適切に活用し、そのメリットとデメリットを理解することは、効率的かつ堅牢なシステムを構築するために不可欠なスキルとなる。