固定長配列 (コテイチョウハイレット) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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固定長配列 (コテイチョウハイレット) の読み方

日本語表記

固定長配列 (コテイチョウハイレツ)

英語表記

fixed-length array (フィックスドレングスアレイ)

固定長配列 (コテイチョウハイレット) の意味や用語解説

固定長配列とは、プログラミングにおいて、あらかじめ要素数(配列の長さ)が決定されており、プログラムの実行中にその要素数を変更できない配列のことである。配列とは、同じ種類のデータを複数まとめて、メモリ上の連続した領域に格納し、それぞれに割り当てられた数値(インデックスや添字と呼ばれる)を用いて個々のデータにアクセスするデータ構造を指す。固定長配列は、この配列の基本的な形態の一つであり、多くのプログラミング言語で利用できる最も単純で効率的なデータ構造の一つとして広く認識されている。その特徴は、一度宣言されると、格納できるデータの最大数が固定される点にある。これにより、メモリの確保が効率的に行われ、データの読み書きも高速に実行されるという利点を持つ。しかし、一方で、後から要素数を増減させる必要が生じた場合には、柔軟に対応できないという制約も存在する。 固定長配列を使用する際には、まずその型と要素数を指定して宣言する。例えば、整数を10個格納する固定長配列を宣言する場合、プログラミング言語によって記法は異なるが、「整数型で要素数10の配列」といった形式で記述する。この宣言が行われると、指定された型(例えば整数型なら4バイトなど)が要素数分(10個なら40バイト)確保され、そのメモリ領域が連続してプログラムに割り当てられる。メモリ上のデータが連続しているため、特定のインデックスにあるデータへアクセスする際には、配列の先頭アドレスからインデックスに型のサイズを掛けた分だけオフセットを計算するだけで、目的のデータのアドレスを直接特定できる。この特性により、固定長配列内の任意の要素へのアクセスは、配列のサイズやデータの位置に関わらず常に一定の時間(O(1)のオーダー)で完了するため、非常に高速であるというメリットがある。これをランダムアクセスと呼ぶ。 固定長配列の主な利点は、この高速なデータアクセス性能に加え、メモリ効率の良さにある。要素数を事前に把握できるため、必要なメモリだけを正確に確保し、余分なオーバーヘッド(例えば、要素の追加・削除に対応するためのポインタや管理情報など)が少ない。これにより、システムのメモリ使用量を予測しやすく、限られたリソースの中で効率的なプログラミングが可能となる。組み込みシステムやリアルタイム処理が求められるアプリケーションなど、メモリ管理が厳密に要求される環境では特に重宝される。 しかし、固定長配列にはいくつかの明確な欠点も存在する。最大のものは、一度宣言した要素数を実行時に変更できないという制約である。もし、事前に想定したよりも多くのデータを格納する必要が生じた場合、既存の固定長配列を拡張することはできない。この場合、より大きな新しい固定長配列を確保し、既存のデータをすべて新しい配列にコピーし直すという手間とコストのかかる処理が必要となる。これは、大量のデータが含まれる場合に特にパフォーマンスの低下を招く可能性がある。また、逆に確保した要素数に対して実際に格納するデータが少ない場合、未使用のメモリ領域が発生し、メモリの無駄が生じることにもなる。さらに、固定長配列の中間に新しい要素を挿入したり、既存の要素を削除したりする場合、その位置より後ろにあるすべての要素を一つずつずらす操作が必要となり、これも効率が悪い処理となる。 これらの特性から、固定長配列は、データの数が事前に明確に決まっている場合や、データの追加・削除がほとんど発生せず、高速な読み取りアクセスが主となる場面で特に有効なデータ構造である。例えば、曜日のリスト、月のリスト、HTTPステータスコードのような変更されない定数データ群、あるいは画像処理におけるピクセルデータのバッファ、ネットワーク通信における固定サイズのパケットデータなど、多岐にわたるシステムで利用されている。可変長配列(動的配列やリストと呼ばれることもある)が実行時にサイズを柔軟に変更できるのに対し、固定長配列はその堅牢性と高速性、予測可能なメモリ使用量という点で異なる役割を果たす。システム開発において、データの特性と要件を考慮し、適切な配列の種類を選択することが重要である。

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