完全外部結合 (カンゼンガイブケツゴウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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完全外部結合 (カンゼンガイブケツゴウ) の読み方

日本語表記

完全外部結合 (カンゼンガイブケツゴウ)

英語表記

FULL OUTER JOIN (フルアウタージョイン)

完全外部結合 (カンゼンガイブケツゴウ) の意味や用語解説

完全外部結合は、リレーショナルデータベースにおけるテーブル結合の一種であり、二つのテーブルから関連するデータを一つにまとめる際に、どちらかのテーブルにしか存在しないデータも漏らさずに結果に含める方法を指す。これは、左右外部結合(LEFT OUTER JOINやRIGHT OUTER JOIN)がそれぞれ左または右のテーブルの全行を保持しつつ、対応する行を結合するのに対し、完全外部結合は、結合対象となる両方のテーブルの全ての行を保持するという点で異なる。具体的には、結合条件に一致する行はもちろんのこと、左側のテーブルにのみ存在する行も、右側のテーブルにのみ存在する行も、どちらも結果セットに含める。これにより、データに欠落がないことを確認したり、関連性のないデータも全て含めた上で全体像を把握したい場合に非常に有効な手段となる。 詳細を述べると、データベースにおいてテーブルを結合する操作は、異なるテーブルに分散して格納されている関連情報を組み合わせて、一つの意味のあるまとまったデータセットを作成するために不可欠な機能である。この結合方法にはいくつか種類があり、その中でも「内部結合(INNER JOIN)」が最も一般的である。内部結合は、二つのテーブル間で結合条件に一致する行のみを抽出し、それらを結合する。つまり、両方のテーブルに共通して存在するデータだけが結果として得られる。しかし、時には共通のデータだけでなく、どちらかのテーブルにしか存在しないデータも確認したい場合がある。このような状況で用いられるのが外部結合であり、その中でも完全外部結合は最も包括的な結合方法と言える。 完全外部結合は、`FULL OUTER JOIN`というSQL構文で記述される。この結合処理では、まず結合条件(通常は共通の列の値が等しいこと)に基づいて両方のテーブルの行を突き合わせる。結合条件に一致する行が見つかった場合、それらの行は通常通り結合され、一つの結果行として出力される。次に、左側のテーブルに着目する。もし左側のテーブルのある行が、右側のテーブルのどの行とも結合条件を満たさなかった場合、その左側の行は結果セットにそのまま含まれる。ただし、右側のテーブルから来るはずの列の値は全て「NULL」として扱われる。NULLは、「データが存在しない」「値が不明」といった状態を示す特殊な値である。同様に、右側のテーブルに着目し、もし右側のテーブルのある行が、左側のテーブルのどの行とも結合条件を満たさなかった場合、その右側の行も結果セットにそのまま含まれる。そして、左側のテーブルから来るはずの列の値は全てNULLとして扱われる。このようにして、左右どちらかのテーブルにしか存在しない行も、NULL値を補完することで結果セットに含められるため、結果として両方のテーブルの全ての行が、何らかの形で結合結果に含まれることになる。 例えば、顧客情報が格納された「顧客テーブル」と、注文履歴が格納された「注文テーブル」があるとする。顧客テーブルには全ての顧客が登録されているが、一部の顧客はまだ一度も注文をしていないかもしれない。また、何らかの理由で注文テーブルに顧客情報のない注文が記録されている可能性もゼロではない。このような状況で内部結合を行うと、注文履歴のある顧客の情報と、その注文履歴だけが得られる。顧客情報はあるが注文がない顧客や、注文情報はあるが顧客情報がないデータは結果に含まれない。そこで完全外部結合を用いると、注文履歴のある顧客とその注文履歴、注文履歴はないが顧客情報はある顧客(注文に関する列はNULL)、そして顧客情報はないが注文情報はあるデータ(顧客に関する列はNULL)が、全て一つの結果セットとして得られる。これにより、未注文の顧客を特定したり、データの不整合(顧客情報のない注文)を発見したり、あるいは両方のテーブルを網羅した包括的なレポートを作成したりすることが可能となる。 このように、完全外部結合は、関連するテーブル間でデータの欠損や不整合を特定したい場合、あるいは特定の条件に一致しないデータも含めて全体像を把握したい場合に非常に強力なツールとなる。特に、データ品質のチェック、システム間のデータ連携における差異分析、またはあらゆる種類のデータが存在するかどうかを網羅的に確認する必要があるレポート作成などでその真価を発揮する。ただし、完全外部結合の結果セットは、左右外部結合や内部結合と比較して大きくなる傾向があるため、大量のデータを扱う際には、その処理性能やメモリ使用量に注意を払う必要がある。不要なデータまで取得すると、クエリの実行時間が長くなったり、システムリソースを過剰に消費したりする可能性があるため、利用目的を明確にし、必要に応じて適切な結合方法を選択することが重要である。

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