ゲートウェイ (ゲートウェイ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ゲートウェイ (ゲートウェイ) の読み方

日本語表記

ゲートウェイ (ゲートウェイ)

英語表記

gateway (ゲートウェイ)

ゲートウェイ (ゲートウェイ) の意味や用語解説

ゲートウェイは、コンピュータネットワークにおいて、プロトコルが異なる二つ以上のネットワーク間を接続し、通信を中継する役割を担う機器やソフトウェアの総称である。プロトコルとは、コンピュータ同士が通信する際に使用する共通の言語や手順のことであり、これが異なると、ネットワーク同士は直接データを交換することができない。ゲートウェイは、この異なるプロトコルを相互に変換する「翻訳者」として機能し、スムーズな通信を実現する。例えば、私たちが家庭やオフィスで利用しているコンピュータは、通常LAN(Local Area Network)と呼ばれる内部ネットワークに接続されている。このLANからインターネットという巨大な外部ネットワークに接続する際に、その境界に設置されるルーターがゲートウェイの最も身近な例である。ゲートウェイは、このように性質の異なるネットワークの出入り口、すなわち「門(ゲート)」としての役割を果たす。 ゲートウェイの最も重要な機能は、プロトコル変換である。この変換は、通信の機能を7つの階層に分けて定義したOSI参照モデルにおける、物理層からアプリケーション層までの全ての階層で実行される可能性がある。例えば、ネットワーク層(レイヤー3)で動作するルーターは、異なるIPネットワークアドレスを持つネットワーク間を接続し、IPパケットの転送を行う。これは、異なるネットワーク間での通信を可能にするための基本的なゲートウェイ機能である。さらに上位のアプリケーション層(レイヤー7)で動作するゲートウェイも存在する。これは、例えば電子メールのプロトコルであるSMTPと、別のメッセージングシステムのプロトコルとの間でデータを変換したり、WebアクセスのプロトコルであるHTTPと、ファイル転送のプロトコルであるFTPとの間で通信を中継したりする。このように、ゲートウェイは単純なデータの転送だけでなく、データ形式や通信手順そのものを変換する複雑な処理も行う。 プロトコル変換に加えて、ゲートウェイはアドレス変換機能も提供する。代表的なものがNAT(Network Address Translation)やNAPT(Network Address Port Translation、IPマスカレードとも呼ばれる)である。内部ネットワークでは、プライベートIPアドレスという限られた範囲でのみ通用するアドレスが使用されることが多い。しかし、インターネット上では、世界中で一意に識別されるグローバルIPアドレスが必要となる。ゲートウェイは、内部ネットワークから外部へデータが出ていく際にプライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換し、外部からデータが戻ってくる際にはその逆の変換を行う。これにより、一つのグローバルIPアドレスを複数の端末で共有することが可能になり、IPアドレスの枯渇問題を緩和するとともに、外部から内部ネットワークへ直接アクセスされることを防ぐため、セキュリティの向上にも寄与する。 また、コンピュータが通信を行う際、宛先が自身の所属するネットワーク内にない場合、どの機器にデータを送ればよいかを判断する必要がある。このとき、とりあえずデータを送るべきデフォルトの出口として設定されるのが「デフォルトゲートウェイ」である。通常、これはネットワークの出入り口に設置されたルーターのアドレスが指定される。コンピュータは、通信したい相手のIPアドレスが自身のネットワーク範囲外であると判断すると、全てのデータをまずデフォルトゲートウェイに転送する。デフォルトゲートウェイはそのデータを受け取り、宛先に届くための最適な経路を判断して、次のルーターへと転送していく。この仕組みにより、個々のコンピュータはインターネット全体の複雑な経路を知らなくても、外部と通信することができる。 ゲートウェイは、その役割や動作する階層によって様々な種類に分類される。前述のルーターはネットワーク層のゲートウェイであり、最も一般的なものである。プロキシサーバーもゲートウェイの一種で、内部のコンピュータに代わってインターネット上のサーバーと通信を行う。これにより、アクセスの制御、通信内容の検査、データのキャッシュによる高速化などを実現する。近年では、マイクロサービスアーキテクチャの普及に伴い、複数のサービスへの入り口を一つに集約し、認証や流量制御などの共通機能を提供するAPIゲートウェイも重要性を増している。その他にも、IP電話網と公衆交換電話網を接続するVoIPゲートウェイや、オンプレミスのシステムとクラウドストレージを連携させるクラウドストレージゲートウェイなど、特定の用途に特化したゲートウェイも存在する。このように、ゲートウェイという言葉は、特定の製品を指すのではなく、異なるシステム間の境界で通信を仲介し、円滑な連携を実現するための機能的な役割を指す概念であると理解することが重要である。システムエンジニアは、ネットワークの設計やトラブルシューティングを行う上で、このゲートウェイの役割と動作を正確に理解しておく必要がある。

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