グローバルユニキャストアドレス (グローバルユニキャストアドレス) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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グローバルユニキャストアドレス (グローバルユニキャストアドレス) の読み方

日本語表記

グローバルユニキャストアドレス (グローバルユニキャストアドレス)

英語表記

global unicast address (グローバルユニキャストアドレス)

グローバルユニキャストアドレス (グローバルユニキャストアドレス) の意味や用語解説

グローバルユニキャストアドレスは、インターネットプロトコルバージョン6(IPv6)において、特定のホスト(デバイス)をインターネット上で一意に識別し、世界中のどこからでも到達可能にするために使用されるアドレスである。これは、1対1の通信(ユニキャスト)をグローバルな範囲で実現するための基盤となる。IPv4アドレスの枯渇問題が深刻化する中で導入されたIPv6では、膨大な数のデバイスがインターネットに接続できるよう、このグローバルユニキャストアドレスが中心的な役割を担う。 まず、ユニキャストアドレスとは、特定の単一のネットワークインターフェース(デバイス)を宛先とするアドレスを指す。これにより、データは送信元から指定された一台のデバイスにのみ届けられる。これに対し、複数のデバイスに同時にデータを送るマルチキャストや、ネットワーク内の全デバイスに送るブロードキャストといった通信方式が存在するが、グローバルユニキャストアドレスは、特定の唯一のデバイスを対象とした通信に用いられる。 「グローバル」という言葉は、そのアドレスがインターネット全体で通用し、ルーティング可能な範囲を示す。つまり、世界中のどのネットワークからでも、このグローバルユニキャストアドレスを持つデバイスに対してデータを送信できるという意味である。これと対比されるものとして、組織内などの限定されたネットワークでのみ使用されるプライベートアドレスや、同一リンク内でのみ有効なリンクローカルアドレスがあるが、グローバルユニキャストアドレスは、それらとは異なり、文字通り地球規模での通信を可能にする。 IPv6では、アドレス空間が2の128乗という極めて広大な範囲に拡張された。この広大なアドレス空間のほとんどは、グローバルユニキャストアドレスとして利用され、これにより、地球上のあらゆるデバイスに一意なアドレスを割り当てることが可能になった。IPv4では、グローバルアドレスが不足し、NAT(ネットワークアドレス変換)などの技術を用いてアドレスを節約していたが、IPv6のグローバルユニキャストアドレスは、そのような制約なしにエンドツーエンドの通信を再確立する。 IPv6のグローバルユニキャストアドレスは、一般的に「プレフィックス」と「インターフェースID」の二つの部分から構成される128ビットのアドレスである。 プレフィックスは、ネットワーク部分を識別する。これはさらに「グローバルルーティングプレフィックス」と「サブネットID」に分かれることが多い。 * グローバルルーティングプレフィックスは、インターネットサービスプロバイダ(ISP)などの大規模なネットワークに割り当てられる部分で、通常は上位48ビットが使われる。国際的なアドレス管理機関(IANA)から地域インターネットレジストリ(RIR)へ、そしてRIRからISPへと段階的に割り当てられる。この部分が、インターネット上のルータがパケットをどのISPのネットワークへ送るべきかを判断するための情報となる。 * サブネットIDは、組織内のネットワークをさらに小さなサブネットに分割するために使用される部分で、通常は16ビットが使われる。企業やデータセンターなどの組織は、このサブネットIDを用いて、社内の異なる部門や物理的な場所に応じてネットワークを論理的に分割し、管理の効率化を図る。これにより、大規模なネットワークであっても、それぞれのサブネットに対して個別のIPv6アドレス空間を割り当てることができる。 インターフェースIDは、ネットワーク内の個々のデバイス(ホスト)を識別する部分であり、通常は下位64ビットが使われる。このインターフェースIDは、いくつかの方法で生成される。 * EUI-64形式は、デバイスのMACアドレス(物理アドレス)を基に生成される。MACアドレスが48ビットであるため、中央に「FFFE」を挿入し、特定のビットを反転させることで64ビットのインターフェースIDを作成する。これにより、MACアドレスから一意なインターフェースIDが生成される。 * ランダム生成は、プライバシー保護の観点からMACアドレスの使用を避けるために導入された方法である。一時的にランダムなインターフェースIDを生成し、定期的に変更することで、デバイスの追跡を困難にする。これはプライバシー拡張機能(Privacy Extensions)として知られる。 * DHCPv6によってサーバから割り当てられる場合もある。 グローバルユニキャストアドレスの割り当てと利用は、主に二つの方法で行われる。一つはステートレスアドレス自動設定(SLAAC)である。これは、ルータから送信されるルータ広告メッセージに含まれるネットワークプレフィックス情報と、デバイス自身で生成したインターフェースIDを組み合わせて、デバイスが自動的にグローバルユニキャストアドレスを設定する方法である。この方式は、設定の手間が少なく、サーバを必要としないため、手軽にIPv6環境を構築できる利点がある。もう一つは、DHCPv6(Dynamic Host Configuration Protocol for IPv6)を使用する方法である。これは、DHCPv6サーバがデバイスに対してグローバルユニキャストアドレスだけでなく、DNSサーバのアドレスなどの追加設定情報も提供する。SLAACと異なり、DHCPv6サーバがアドレスの管理を行うため、より厳密なアドレス管理が必要な大規模ネットワークで利用されることが多い。 インターネット上では、これらのグローバルユニキャストアドレスを用いて、ルータがパケットの経路を制御し、最終的な宛先デバイスまでデータを転送する。各ルータは、受信したパケットの宛先グローバルユニキャストアドレスを見て、最も効率的な経路を選択し、次のルータへとパケットを転送していく。この連鎖によって、世界中のどこからでも、特定の一台のデバイスにデータを確実に届けることが可能となる。 グローバルユニキャストアドレスは、インターネット上のあらゆる場所から到達可能であるという点で、他のIPv6アドレスとは明確に区別される。例えば、リンクローカルアドレスは、同一の物理リンク(同じLANセグメントなど)内でのみ有効であり、ルータを超えてルーティングされることはない。また、ユニークローカルアドレスは、組織内のプライベートネットワークでのみ有効であり、インターネットにルーティングされることは意図されていない。これに対し、グローバルユニキャストアドレスは、正にインターネットそのものを通じて通信を行うためのアドレスであり、IPv6におけるインターネットの接続性と到達性の核心をなすものと言える。 このように、グローバルユニキャストアドレスは、IPv6ネットワークにおいてデバイスがインターネット上で自身を識別し、世界中の他のデバイスと1対1で通信するための不可欠な要素である。その広大なアドレス空間と柔軟な設定方法により、現代のインターネット通信の基盤を支え、未来のネットワーク環境の拡張性を保証している。

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