グローバル一意識別子 (グローバルイッシキイシキシ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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グローバル一意識別子 (グローバルイッシキイシキシ) の読み方

日本語表記

グローバル一意識別子 (グローバルイッシキベツシ)

英語表記

global unique identifier (グローバルユニークアイデンティファイア)

グローバル一意識別子 (グローバルイッシキイシキシ) の意味や用語解説

グローバル一意識別子とは、情報システムにおいて、世界中のあらゆる場所や時間において、他に重複する可能性が極めて低い識別子として利用される文字列である。一般的にはGUID(Globally Unique Identifier)またはUUID(Universally Unique Identifier)と呼ばれる。この識別子は128ビットの数値で表現され、通常は32桁の16進数文字をハイフンで区切り、さらに波括弧で囲んだ「{XXXXXXXX-XXXX-XXXX-XXXX-XXXXXXXXXXXX}」のような形式で表現される。その主要な目的は、分散システムや大規模なデータ環境において、個々のリソースやデータレコードを一意に識別し、識別子の衝突を回避することにある。単純な連番やシーケンシャルIDとは異なり、中央集権的な管理システムがなくても各システムが独立して重複しない識別子を生成できる点が、グローバル一意識別子の最大の特徴であり、分散コンピューティング環境における必須の要素となっている。 グローバル一意識別子の生成メカニズムにはいくつかのバージョンが存在するが、主に利用されるのはバージョン1(V1)とバージョン4(V4)である。バージョン1のグローバル一意識別子は、生成時のタイムスタンプ、クロックシーケンス、そして生成元のネットワークカードのMACアドレス(ノードID)を組み合わせて生成される。この方式は、MACアドレスが一意である限り、異なるシステム間で識別子が重複する可能性が非常に低いという利点を持つ。しかし、MACアドレスが公開されることでプライバシー上の懸念が生じる可能性や、仮想環境においてMACアドレスが重複するケースが存在する可能性が指摘されることもある。一方、バージョン4のグローバル一意識別子は、主に疑似乱数発生器を用いてランダムな数値を生成することで作成される。この方式は、MACアドレスのような特定のハードウェア情報を利用しないため、プライバシー上の問題が少なく、広く利用されている。純粋な乱数に基づいているため、識別子の重複は統計的に極めて低い確率でしか発生しないとされている。他のバージョンとして、名前空間と名前のハッシュ値から生成されるバージョン3やバージョン5も存在するが、これらは特定の情報源から一貫した識別子を生成する用途に用いられ、一般的にランダムな一意性が必要な場面ではV1やV4が主流となる。 グローバル一意識別子の特性として重要なのは、その「グローバルな一意性」と「中央管理の不要性」である。世界中のどのシステムがどのタイミングで生成しても、他の識別子と重複する可能性が統計的に無視できるほど低いという保証があるため、異なるシステム間でデータを統合したり、メッセージを交換したりする際に、識別子の衝突による問題が発生しない。また、識別子の生成に際して、中央のデータベースや管理サーバに問い合わせる必要がないため、システムのパフォーマンスが向上し、スケーラビリティが確保される。一度生成されたグローバル一意識別子は、通常、その対象が存続する限り変更されない「不変性」を持つ。これにより、識別子を参照する他のシステムやデータとの整合性を保つことができる。また、グローバル一意識別子は一般的にその識別子自体に意味を持たない「不透明性」を持つ。これは、識別子から対象の情報を推測されることがないというセキュリティ上の利点がある一方で、人間にとっては読みにくく、記憶しにくいという欠点も持つ。 グローバル一意識別子は、様々なシステムで活用されている。例えば、データベースの主キーとして利用することで、複数のデータベースを統合する際にキーの衝突を回避できる。分散型ファイルシステムやオブジェクトストレージでは、ファイルやオブジェクトの識別子として用いられ、広大なストレージ空間内での一意性を保証する。また、メッセージキューシステムでは、各メッセージにグローバル一意識別子を付与することで、メッセージの追跡や重複処理の防止に役立てられる。ウェブアプリケーションにおけるセッションIDや、分散トランザクションにおけるトランザクションIDなど、広範囲な分野でその特性が重宝されている。 しかし、グローバル一意識別子を利用する上での考慮点も存在する。データベースのインデックスとして利用する場合、そのランダム性(特にV4)ゆえに、データの物理的な配置順序とインデックスの論理的な順序が一致せず、ディスクアクセス性能に影響を与える可能性がある。これは、インデックスの再構築やデータの整理(クラスタリング)によって軽減される場合もある。また、文字列としての表現が36文字と長いため、整数型の識別子と比較してストレージ容量を消費し、ネットワーク転送時のデータ量も増加する。加えて、グローバル一意識別子自体は予測困難性を有するが、安易な方法で生成されたり、他の情報と組み合わされたりすると、識別子が推測可能になり、セキュリティ上の脆弱性につながる可能性もあるため、標準的な生成アルゴリズムに準拠することが重要である。これらの利点と欠点を理解し、システムの要件に合わせて適切に採用することが、システム設計において求められる。

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