グラフィック (グラフィック) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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グラフィック (グラフィック) の読み方

日本語表記

グラフィック (グラフィック)

英語表記

graphic (グラフィック)

グラフィック (グラフィック) の意味や用語解説

コンピュータにおける「グラフィック」とは、画像、図形、映像など、視覚的な情報を総称する言葉である。我々がコンピュータの画面上で目にする文字以外の要素、例えばアイコン、ウィンドウ、写真、動画、ゲームのキャラクターなどはすべてグラフィックに含まれる。システム開発においてグラフィックは、ユーザーインターフェース(UI)の設計から、データの可視化、シミュレーション、エンターテイメントまで、非常に幅広い領域で利用される重要な技術要素である。コンピュータがグラフィックを扱う際には、その情報をデジタルデータとして表現し、処理する必要がある。このデータ表現の方法や処理の仕組みを理解することは、システムエンジニアにとって不可欠な知識となる。 コンピュータグラフィックスは、そのデータの持ち方によって主に二つの形式に大別される。それがラスターグラフィックスとベクターグラフィックスである。ラスターグラフィックスは、ピクセル(画素)と呼ばれる非常に小さな色の点の集合体として画像を表現する方式であり、ビットマップ画像とも呼ばれる。デジタルカメラで撮影した写真や、スキャナで取り込んだ画像などがこの形式にあたる。各ピクセルが特定の色情報を持つことで、全体として一枚の画像を形成する。この方式の長所は、写真のような複雑な色の階調や微細な濃淡を忠実に表現できる点にある。一方で、画像を拡大するとピクセルの一つ一つが目立つようになり、輪郭がギザギザに見える「ジャギー」と呼ばれる現象が発生し、画質が劣化するという短所を持つ。代表的なファイル形式には、JPEG、PNG、GIFなどがある。もう一方のベクターグラフィックスは、画像を点、線、曲線、多角形といった図形要素の数学的な情報(座標、角度、半径、色など)の組み合わせとして表現する方式である。例えば、円は中心点の座標と半径、線の色や太さといった情報で記録される。この方式の最大の長所は、画像の拡大や縮小を行っても、コンピュータがその都度数式を再計算して描画するため、画質が全く劣化しない点にある。そのため、会社のロゴやアイコン、図面など、サイズ変更が頻繁に発生する用途に適している。また、写真のような複雑な表現に比べてデータ量を小さく抑えられる傾向があるが、写実的で複雑な階調を持つ画像の表現は不得手である。代表的なファイル形式には、SVGやAIなどがある。 また、グラフィックは表現される空間の次元によって2Dと3Dに分類される。2Dグラフィックス(2次元グラフィックス)は、高さと幅の2つの軸で構成される平面的なグラフィックを指す。Webサイトのレイアウト、アプリケーションのGUI部品(ボタンやアイコン)、文書内の図表などがこれに該当し、ラスター形式とベクター形式の両方が用途に応じて使い分けられる。それに対して3Dグラフィックス(3次元グラフィックス)は、高さ、幅、奥行きの3つの軸を持つ立体的な空間内のオブジェクトを表現するグラフィックである。まず、コンピュータ内部の仮想3D空間に、頂点、辺、面といった要素から成る物体の形状データ(モデル)を作成する。次に、そのモデルの表面に質感を与えるための画像(テクスチャ)を貼り付けたり、光源(ライト)を設定して陰影を計算したりする。最終的に、この3D空間内のある視点から見た映像を計算し、ディスプレイに表示するための2D画像として出力する。この一連の処理をレンダリングと呼ぶ。3Dグラフィックスは、コンピュータゲーム、映画のVFX(視覚効果)、建築物の完成予想図など、高度な表現力が求められる分野で広く活用されている。 これらの高精細なグラフィックを高速に処理するためには、専用のハードウェアが重要な役割を担う。その中心となるのがGPU(Graphics Processing Unit)である。GPUはグラフィック描画に関する計算を専門に実行するためのプロセッサで、単純な計算を同時に大量に実行する並列処理に特化している。ピクセルごとの色計算や3Dモデルの座標変換など、膨大な量の並列計算が要求されるグラフィック処理において、その性能を最大限に発揮する。また、VRAM(Video RAM)はGPU専用の高速なメモリであり、描画に必要なテクスチャデータやレンダリング途中の画像データなどを一時的に格納するために使用され、高速な描画処理を実現する。 さらに、ソフトウェア開発者がGPUなどのハードウェアを効率的に利用するため、グラフィックスAPI(Application Programming Interface)が存在する。これはアプリケーションがOSを介してGPUの機能を利用するための標準的な命令セットやライブラリのことで、代表的なものにDirectXやOpenGL、Vulkanなどがある。開発者はこれらのAPIを使用することで、特定のハードウェアの仕様を意識することなく、高度なグラフィック処理を自身のプログラムに組み込むことが可能になる。このように、グラフィック技術は単純な画像の表示だけでなく、そのデータの表現形式、次元の概念、そしてそれを支えるハードウェアとソフトウェアが複雑に連携し合うことで成り立っている。

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