十六進数 (じゅうろくしんすう) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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十六進数 (じゅうろくしんすう) の読み方

日本語表記

じゅうろくしんすう (ジュウロクシン スウ)

英語表記

hexadecimal (ヘキサデシマル)

十六進数 (じゅうろくしんすう) の意味や用語解説

十六進数とは、16を基数とする数値表現方法である。私たちが日常生活で最も一般的に使用する十進数が0から9までの10種類の数字を用いて数を表現するのに対し、十六進数は0から9、そしてAからFまでの合計16種類の記号を用いて数を表現する。コンピュータの内部ではすべての情報が二進数、つまり0と1の組み合わせで表現されるが、二進数は桁数が多くなりがちで、人間が直接読み書きするには非常に不便である。そのため、二進数で表現された情報を人間にとって読みやすく、かつコンピュータの処理に適した形で簡潔に表現するために、十六進数がIT分野で広く利用されている。 十六進数における各桁は、16のべき乗を重みとして持つ。例えば、十進数で「123」という数値が1×10の2乗 + 2×10の1乗 + 3×10の0乗と表現されるのと同様に、十六進数で「123」と書かれた場合、これは1×16の2乗 + 2×16の1乗 + 3×16の0乗を意味する。各桁の記号は、0から9までは十進数と同じ値を表し、アルファベットのAが十進数の10、Bが11、Cが12、Dが13、Eが14、そしてFが15を表す。これにより、十六進数の1桁で0から15までの値を表現できるため、より少ない桁数で大きな数を表現することが可能となる。 十六進数がIT分野で特に重宝される最大の理由は、二進数との非常に高い親和性にある。十六進数の1桁は、ちょうど二進数の4桁に相当する。これは、基数である16が2の4乗(2^4 = 16)であるためである。この関係性により、二進数の並びを十六進数に変換することで、表現が大幅に短縮され、人間が視覚的に認識しやすくなる。例えば、8ビット(1バイト)の二進数は「11010010」のように8桁になるが、これを十六進数では「D2」というたった2桁で表現できる。この簡潔さは、コンピュータのメモリアドレスやデータの内容、プログラムの機械語コードなどを確認する際に非常に有用である。 二進数から十六進数への変換は非常に直接的で、二進数の並びを右から4桁ずつ区切り、それぞれの4桁の二進数を対応する十六進数1桁に置き換えるだけで行える。例えば、二進数の「10110011」は、右から4桁ずつ区切ると「1011」と「0011」になり、「1011」は十六進数の「B」に、「0011」は「3」に対応するため、「B3」となる。逆も同様に、十六進数の各桁を対応する4桁の二進数に置き換えれば良い。例えば、十六進数の「A5」を二進数に変換する場合、「A」は二進数の「1010」に対応し、「5」は「0101」に対応するため、「A5」は二進数の「10100101」となる。この変換の容易さが、開発者やシステム管理者にとって大きな利点となる。 十六進数は、システムエンジニアが扱う様々な場面で頻繁に登場する。代表的な利用例として、まずメモリアドレスの表現が挙げられる。コンピュータのメモリは膨大な数の記憶場所から成り、それぞれのアドレスは一意の数値で識別される。これらのアドレスは非常に大きな数値になるため、十六進数で表現されることが一般的である。これにより、例えば「0xFFFFFFFF」といった形式で、特定のアドレス範囲や最大値を簡潔に示すことができる。 次に、色の指定がある。Webデザインやグラフィックプログラミングにおいて、色は赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三原色の組み合わせで表現されることが多い。それぞれの色の強度は0から255までの数値で指定されるが、この256種類の強度は十六進数で00からFFの2桁で表現できる。例えば、真っ赤な色は「#FF0000」、純粋な緑色は「#00FF00」、純粋な青色は「#0000FF」のように、先頭に「#」を付けて6桁の十六進数で表現される。これは直感的で、かつデータ量を抑えるメリットがある。 さらに、ネットワーク機器のMACアドレスも十六進数で表記される。MACアドレスは、ネットワーク上の各デバイスに割り当てられる物理アドレスであり、「00:1A:2B:3C:4D:5E」のように、通常はコロンやハイフンで区切られた6組の2桁の十六進数で表現される。 データダンプ、すなわちメモリやファイルの生データを表示することにおいても、十六進数は不可欠である。プログラムが予期せぬ動作をしたりクラッシュしたりした際に、その原因を特定するためにメモリの内容を直接確認することがある。その際、生の二進数データを人間が解読することは困難なため、十六進数に変換して表示されるのが一般的である。これにより、データの内容や特定のバイト列のパターンを把握しやすくなる。 文字コードの表現も十六進数を用いる代表的な例である。Unicodeのような国際的な文字コード体系では、世界中の文字一つ一つに一意の数値が割り当てられている。これらのコードポイントは、「U+0041」(英大文字Aに対応)のように、U+の後に十六進数で表現されることが多い。 システムエンジニアを目指す上で、十六進数を理解し、十進数や二進数との変換をスムーズに行える能力は必須である。これは単なる数値表現の知識に留まらず、コンピュータがどのようにデータを扱い、メモリを管理し、ネットワーク通信を行うかといった、より深いコンピュータサイエンスの基礎を理解するための土台となる。実際にプログラムをデバッグする際や、低レベルなシステム設定を行う際など、様々な場面で十六進数の知識が直接的に役立つため、その仕組みと利用例をしっかりと身につけることが、キャリアを積む上で非常に重要となる。

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