高級言語 (コウキュウゲンゴ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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高級言語 (コウキュウゲンゴ) の読み方

日本語表記

こうきゅうげんご (コウキュウゲンゴ)

英語表記

high-level language (ハイレベル ランゲージ)

高級言語 (コウキュウゲンゴ) の意味や用語解説

高級言語とは、プログラミング言語の一種であり、人間が理解しやすいように設計された言語の総称である。これは、コンピュータが直接理解する機械語や、それに近いアセンブリ言語といった「低級言語」とは対照的な位置づけを持つ。高級言語の主要な目的は、プログラミングの複雑さを抽象化し、開発者が効率的かつ直感的にソフトウェアを開発できるようにすることにある。開発者は、メモリの物理アドレスやCPUのレジスタ操作といった低レベルな詳細を意識することなく、より人間が理解しやすい「命令」や「概念」を用いてプログラムを記述できる。これにより、開発期間の短縮、保守性の向上、そしてプログラムの可読性の大幅な向上が期待できる。 高級言語の登場は、プログラミングの世界に大きな変革をもたらした。初期のコンピュータは、0と1の羅列である機械語、あるいはそれに1対1で対応するアセンブリ言語で直接プログラミングされていた。これらの言語はコンピュータが直接実行できるため、非常に高速に動作し、ハードウェアを細かく制御できるという利点があった。しかし、人間にとっては非常に読みにくく、記述ミスも多発し、デバッグが極めて困難であるという深刻な問題があった。さらに、特定のCPUアーキテクチャに強く依存するため、異なる種類のコンピュータに移植する際には、ほぼゼロから書き直す必要があった。このような課題を解決するために考案されたのが高級言語である。高級言語では、"print"(表示する)、"if"(もし~ならば)、"while"(~の間繰り返す)といった、自然言語に近いキーワードや構造が用いられる。これにより、プログラマはコンピュータの内部動作よりも、解決したい問題の論理構造に集中できるようになる。 高級言語で書かれたソースコードは、そのままではコンピュータが理解できない。そのため、これらのソースコードは、コンピュータが直接実行可能な機械語へと変換される必要がある。この変換を行うのが、「コンパイラ」あるいは「インタプリタ」と呼ばれる特別なプログラムである。コンパイラは、ソースコード全体を一度に機械語に変換し、実行可能なファイル(実行ファイル)を生成する。この実行ファイルは、その後、コンパイラがなくても単独で動作できる。一方、インタプリタは、ソースコードを一行ずつ読み込み、その場で機械語に変換しながら実行していく方式である。コンパイラ方式は一度コンパイルしてしまえば高速に実行できるという利点があるが、コンパイルに時間がかかる場合がある。インタプリタ方式は、プログラムの修正と実行のサイクルが速く、開発中に手軽に試せるという利点があるが、一般的にコンパイラ方式よりも実行速度は遅くなる傾向がある。多くの高級言語は、これらのどちらか、あるいは両方の仕組みを利用している。 高級言語の主な利点は多岐にわたる。まず、高い「生産性」が挙げられる。人間が理解しやすい記述であるため、コードを短時間で記述でき、複雑な処理も比較的少ない行数で表現できる。次に、「可読性」の向上がある。コードが自然言語に近いため、他のプログラマや将来の自分がプログラムを理解しやすくなり、チーム開発や長期的な保守作業において非常に有利となる。さらに、「移植性」の高さも重要な特徴である。高級言語の多くは、特定のハードウェアやオペレーティングシステムに依存しないように設計されており、異なる環境でも同じコードを少ない修正で再利用できる。これは、開発コストの削減と、より広い範囲でのソフトウェア展開を可能にする。また、「デバッグの容易性」も大きな利点である。高級言語には、エラーを特定しやすくするための機能やツールが豊富に用意されており、問題解決の時間を短縮できる。メモリ管理や型チェックといった機能も言語レベルでサポートされることが多く、プログラマが犯しやすいエラーを未然に防ぐ助けとなる。 しかし、高級言語にもいくつかの欠点が存在する。最も顕著なのは、「実行速度」である。コンパイラやインタプリタを介して機械語に変換されるため、低級言語で書かれたプログラムに比べて、純粋な実行速度では劣る場合がある。特に、リアルタイム処理が求められる組み込みシステムや、極限までパフォーマンスを追求する科学技術計算のような分野では、この速度差が問題となることもある。また、「ハードウェア制御の限界」も存在する。高級言語はハードウェアの詳細を抽象化するため、特定のレジスタを直接操作したり、厳密なタイミングでデバイスを制御したりするような低レベルな操作には向かない場合がある。このような場面では、部分的にアセンブリ言語を併用するなどの工夫が必要となることもある。さらに、生成されるプログラムの「リソース消費」が大きくなる可能性もある。抽象化のコストとして、低級言語で書かれた最適化されたプログラムよりも、メモリ使用量やディスク容量が大きくなることがある。 現在、世界中で数え切れないほどの高級言語が存在し、それぞれ異なる特性や得意分野を持っている。C言語やC++は、システムプログラミングや組み込み開発で高いパフォーマンスを要求される場面でよく用いられる。Javaは、その「一度書けばどこでも動く」という理念のもと、エンタープライズシステムやAndroidアプリ開発で広く利用されている。Pythonは、データサイエンス、機械学習、Web開発など、多様な分野でその高い生産性と豊富なライブラリが重宝されている。JavaScriptは、Webブラウザのフロントエンド開発に不可欠な言語であり、Node.jsの登場によりサーバーサイドでも利用が広がっている。その他にも、Ruby、PHP、Go、Swiftなど、目的やプラットフォームに応じて最適な高級言語が選択されている。 システムエンジニアを目指す者にとって、高級言語の理解は不可欠である。現代のほとんどのシステム開発は高級言語を用いて行われるため、その特性、利点、欠点を深く理解し、プロジェクトの要件や目的に応じて適切な言語を選択する能力が求められる。高級言語が提供する抽象化の恩恵を享受しつつも、その裏でコンピュータがどのように動作しているかという低レベルな仕組みに対する基本的な知識も持ち合わせることが、真に効果的なシステムを構築するためには重要となる。高級言語は、プログラマが複雑な問題解決に集中できる強力なツールであり、その進化は今後もプログラミングの世界を牽引し続けるだろう。

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