インクルードファイル(インクルードファイル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

インクルードファイル(インクルードファイル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

インクルードファイル (インクルードファイル)

英語表記

include file (インクルードファイル)

用語解説

インクルードファイルとは、プログラミングにおいて、ソースコードの中に別のファイルの内容を埋め込むための仕組み、またはその埋め込まれるファイルを指す。特にCやC++といったコンパイル言語でよく用いられる。

概要としては、プログラムを構成するコードを複数のファイルに分割し、その一部を別のファイルから取り込んで利用する際に使用する。これにより、コードの再利用性向上、可読性の向上、保守性の向上といったメリットが得られる。例えば、複数のプログラムで共通して使用する関数や変数の定義をインクルードファイルにまとめておけば、それぞれのプログラムで同じコードを記述する必要がなくなり、修正が必要になった場合もインクルードファイルを修正するだけで済む。

詳細について説明する。インクルードファイルは、通常、ヘッダファイルと呼ばれる拡張子「.h」を持つファイルとして作成されることが多い。ヘッダファイルには、関数や変数の宣言、構造体やクラスの定義、マクロ定義などが記述される。宣言とは、関数や変数の名前、型、引数などをコンパイラに知らせることで、定義とは、具体的な処理内容やメモリ領域の確保などを記述することである。インクルードファイルには宣言のみを記述し、定義は別のソースファイルに記述するのが一般的である。

インクルードを行うには、ソースコード中にプリプロセッサ指令と呼ばれる特別な命令を記述する。C/C++では、#includeというプリプロセッサ指令が用いられる。#includeには、インクルードするファイル名を指定する方法が2種類ある。

  1. #include <ファイル名>: この形式は、システムが提供する標準的なヘッダファイルをインクルードする場合に用いられる。コンパイラは、通常、システムが定めた特定のディレクトリ(インクルードパス)の中から指定されたファイルを検索する。例えば、標準入出力を行うための関数が定義されているstdio.hや、文字列操作を行うための関数が定義されているstring.hなどが該当する。

  2. #include "ファイル名": この形式は、自分で作成したヘッダファイルをインクルードする場合に用いられる。コンパイラは、まずソースコードが置かれているディレクトリ(またはプロジェクトの設定で指定されたディレクトリ)の中から指定されたファイルを検索し、見つからなければシステムが定めたインクルードパスを検索する。

インクルードファイルを使用する際の注意点として、多重インクルードの問題がある。これは、同じヘッダファイルが複数の場所からインクルードされてしまうことで、コンパイルエラーが発生する可能性がある。例えば、あるヘッダファイルAが、別のヘッダファイルBとCの両方からインクルードされており、かつその両方が同じソースファイルからインクルードされている場合、Aの内容が二重に定義されてしまうことになる。

この問題を解決するために、インクルードガードと呼ばれるテクニックが用いられる。インクルードガードは、ヘッダファイルの中でプリプロセッサの条件付きコンパイル機能を利用して、そのファイルが一度しかインクルードされないようにする仕組みである。具体的には、以下のようなコードをヘッダファイルの先頭と末尾に記述する。

1#ifndef HEADER_FILE_NAME_H
2#define HEADER_FILE_NAME_H
3
4// ヘッダファイルの内容
5
6#endif

ここで、HEADER_FILE_NAME_Hは、ヘッダファイルごとに一意な名前を付ける必要があるマクロ名である。最初にこのヘッダファイルがインクルードされると、HEADER_FILE_NAME_Hが定義されていなければ、#ifndefの条件が成立し、#defineによってHEADER_FILE_NAME_Hが定義される。そして、ヘッダファイルの内容がコンパイルされる。次に同じヘッダファイルがインクルードされた場合、#ifndefの条件は成立しなくなるため、ヘッダファイルの内容はコンパイルされなくなる。

インクルードファイルは、大規模なプログラム開発において、コードの整理、再利用性の向上、保守性の向上に不可欠なツールである。適切に活用することで、効率的で高品質なプログラム開発が可能になる。