個人番号 (コジンバンゴウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
個人番号 (コジンバンゴウ) の読み方
日本語表記
個人番号 (コジンバンゴウ)
英語表記
Individual Identification Number (インディビデュアル・アイデンティフィケーション・ナンバー)
個人番号 (コジンバンゴウ) の意味や用語解説
個人番号は、日本に住民票を有する全ての個人に対し、一人に一つ指定される12桁の識別番号である。行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律、通称「マイナンバー法」に基づき、社会保障、税、災害対策の三分野で利用される。2015年に国民への通知が始まり、2016年1月より本格的な利用が開始された。これは、行政機関や地方公共団体が国民の情報を効率的かつ正確に把握し、手続きを簡素化することで、国民の利便性向上と行政の効率化を図るための社会基盤として機能している。 この12桁の個人番号は、個人が特定できる情報とは直接紐づけられていない乱数として生成され、最後の1桁は誤りを検出するための検査用数字(チェックデジット)である。番号自体に性別や生年月日などの個人情報は含まれない。個人番号は、住民票コードを変換して生成されるものであり、原則として生涯にわたって変更されない。個人番号の通知は、かつて通知カードによって行われていたが、現在は廃止され、出生などで新たに個人番号が付番された場合には、個人番号通知書が送付される。さらに、希望者には顔写真付きの本人確認書類として「マイナンバーカード(個人番号カード)」が交付され、身分証明書や電子証明書としても利用可能である。 個人番号の利用範囲はマイナンバー法により厳格に限定されており、社会保障、税、災害対策の3分野に限定される。具体的には、年金、医療、介護、福祉、雇用保険などの社会保障関係の手続き、所得税、住民税、相続税などの税務関係の手続き、および被災者生活再建支援金の支給など、災害対策に関する手続きに利用される。この範囲を超えて個人番号を収集・利用することは法律で禁止されており、不必要な情報連携や個人情報の集積によるプライバシー侵害のリスクを最小限に抑えるための措置である。 個人番号制度の重要な機能の一つに「情報連携」がある。これは、行政機関の間で個人番号をキーとして必要な情報を相互にやり取りする仕組みである。例えば、住民が行政機関に申請を行う際に、これまで提出を求められていた住民票や課税証明書などの書類が、情報連携によって省略できるようになる。これにより、国民は添付書類の準備にかかる手間が省け、行政機関は書類確認の事務負担を軽減できる。情報連携は、専用の「情報提供ネットワークシステム」を通じて行われ、連携される情報の種類もマイナンバー法で定められたものに限定される。また、誰がいつ、どの情報を参照したかという記録(ログ)が厳密に管理され、不当な情報照会が行われていないか常時監視される。 システムエンジニアが個人番号を取り扱うシステムを構築・運用する際には、その特性と法規制を深く理解し、適切な安全管理措置を講じることが不可欠である。個人番号は「特定個人情報」として位置づけられ、個人情報保護法よりもさらに厳重な保護が求められる。具体的な安全管理措置としては、組織的、人的、物理的、技術的な観点からの対策が必要となる。 組織的安全管理措置としては、個人番号を取り扱う事務の範囲や責任体制の明確化、取扱規程等の策定、情報漏洩等事案が発生した場合の対応体制の整備、取扱状況の定期的な評価と見直しなどが挙げられる。人的安全管理措置としては、個人番号を取り扱う従業者への定期的な教育や監督が義務付けられる。物理的安全管理措置としては、個人番号を取り扱う区域への入退室管理、機器や書類の盗難防止措置などが求められる。 最も重要となる技術的安全管理措置としては、情報システムにおける個人番号のアクセス制御を徹底し、取扱担当者以外が個人番号にアクセスできないようにすること。また、個人番号を含む情報が外部に漏洩することを防ぐため、通信経路の暗号化やデータの暗号化を適用すること。不正アクセスや不正ソフトウェアからシステムを保護するための対策も必須である。さらに、個人番号の取扱状況(アクセスログ、操作ログなど)を記録し、定期的に監視・監査できるような仕組みを導入する必要がある。これらの技術的措置は、システム設計の段階から考慮され、実装されなければならない。 企業や組織が個人番号を取り扱う場合、個人番号の取得から利用、保管、廃棄に至る全てのプロセスにおいて、安全管理措置を講じることが義務付けられている。個人番号を収集する際には、利用目的を明確にし、本人確認を行う必要がある。保管する際は、必要な期間のみ安全に保管し、不要になった場合は復元不可能な方法で速やかに廃棄または削除しなければならない。また、個人番号を取り扱う事務を外部に委託する場合には、委託先に対して適切な監督を行う義務も生じる。 これらの厳格なルールは、個人番号が個人の重要な情報を紐づける基盤となるため、その不正利用や漏洩が社会に与える影響が極めて大きいことによる。システムエンジニアは、個人番号を安全に取り扱うためのシステム設計、開発、テスト、運用、保守の各フェーズにおいて、法的要件と技術的要件を遵守し、常に最新のセキュリティ対策を適用する責任を負う。個人番号を格納するデータベースの設計、アクセス権限の管理、ログ監視システムの構築、データ暗号化の実装など、多岐にわたる技術的側面でその専門性が問われることになる。