情報コンセント (ジョウホウコンセント) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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情報コンセント (ジョウホウコンセント) の読み方

日本語表記

情報コンセント (ジョウホウコンセント)

英語表記

information outlet (インフォメーション・アウトレット)

情報コンセント (ジョウホウコンセント) の意味や用語解説

情報コンセントとは、壁や床、天井などに設置される、コンピューターやネットワーク機器を社内ネットワークやインターネットに有線で接続するための差し込み口のことである。外観は電源用のコンセントと似ているが、その役割は電力ではなく情報、つまりデータ通信の経路を提供することにある。オフィスや家庭の壁に埋め込まれた四角いプレートに、LANケーブルの先端にあるコネクタ(RJ-45)を差し込むためのポートが一つまたは複数設けられているのが一般的な形状である。この情報コンセントは、安定性や通信速度、セキュリティの面で優れる有線LAN接続を実現するための、ネットワークインフラストラクチャにおける末端の接続点として極めて重要な役割を担っている。普段はあまり意識されることのない設備であるが、システムエンジニア、特にインフラを担当する者にとっては、その構造と役割を深く理解しておく必要がある。 情報コンセントの構造は、ユーザーが直接目にする表面のフェースプレートと、その内側にあるモジュラージャックから構成される。モジュラージャックの内部には、壁の中を配線されてきたLANケーブルを接続するための端子がある。この壁内配線用のLANケーブルは、通常、固い一本の銅線で構成される単線ケーブルが用いられ、専門の作業者がパンチダウンツールという専用工具を用いて、ケーブルの心線を一本ずつモジュラージャックの端子に確実に結線する。この作業により、壁の内部の配線と、ユーザーが利用する差し込み口が物理的に接続される。情報コンセントや使用されるLANケーブルには、通信速度や周波数帯域を定めた「カテゴリ」という規格が存在する。例えば、カテゴリ5e(Cat5e)、カテゴリ6(Cat6)、カテゴリ6A(Cat6A)などがあり、数字が大きいほど高速なデータ通信に対応できる。ネットワークシステムを設計・構築する際には、要求される通信速度に応じて適切なカテゴリの製品を選定することが不可欠である。 情報コンセントからの配線は、壁や天井裏、OAフロアの床下などを通り、最終的に一か所に集約される。オフィスビルなどでは、この集約場所をMDF(Main Distribution Frame:主配線盤)室やIDF(Intermediate Distribution Frame:中間配線盤)室と呼ぶ。これらの部屋には、各所の情報コンセントから延びてきた大量のLANケーブルを整理し、管理しやすくするための中継盤である「パッチパネル」が設置されている。壁内を通ってきたLANケーブルは、このパッチパネルの背面に結線される。そして、パッチパネルの前面のポートと、スイッチングハブなどのネットワーク機器とを、パッチケーブルと呼ばれる短いLANケーブルで接続する。これにより、ユーザーのコンピューターから情報コンセント、壁内配線、パッチパネル、スイッチングハブという一連の物理的な通信経路が確立され、ネットワーク全体へとデータが流れていく。 システムエンジニアにとって情報コンセントは、様々な業務フェーズで関わる対象となる。オフィスの新設やレイアウト変更といったネットワーク設計の段階では、デスクの配置や将来的な人員増、プリンタや無線LANアクセスポイントの設置場所などを考慮し、どこに、何口の情報コンセントを設置するかを決定する。運用・保守のフェーズでは、ネットワークトラブルの切り分けにおいて最初の確認ポイントとなる。「ネットワークに接続できない」という申告があった場合、問題がソフトウェアに起因するのか、物理的な接続に起因するのかを判断するために、まずPCと情報コンセントを接続しているLANケーブルの断線や抜け、情報コンセント自体の故障、さらにはその先のパッチパネルでの接続ミスなどを疑い、順を追って調査を行う。 近年、無線LAN(Wi-Fi)の普及により、有線接続の必要性が薄れているように思われるかもしれない。しかし、情報コンセントとそれを利用した有線LAN接続は、依然として重要な役割を担っている。有線接続は、無線と比べて通信が安定しており、電波干渉や物理的な障害物の影響を受けにくい。また、一般的に高速な通信速度を維持でき、物理的な接続がなければ通信を傍受されにくいため、セキュリティ面でも優れている。そのため、企業の基幹サーバーや、大容量のデータを扱うデスクトップPC、安定した通信が不可欠なIP電話などでは、現在も有線接続が標準的に利用される。さらに、オフィスで利用される無線LANアクセスポイントも、それ自体は情報コンセントに有線で接続され、ネットワークに接続すると同時に、PoE(Power over Ethernet)という技術を用いてLANケーブル経由で電力供給を受けていることが多い。つまり、快適な無線LAN環境を構築するためにも、その土台として情報コンセントという物理的なインフラが不可欠なのである。このように、情報コンセントはネットワークの物理層を構成する基本的な要素であり、安定した情報通信網を支える縁の下の力持ちと言える存在である。

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