インラインブロック要素(インラインブロックヨウソ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
インラインブロック要素(インラインブロックヨウソ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
インラインブロック要素 (インラインブロックヨウソ)
英語表記
inline-block (インラインブロック)
用語解説
HTML要素の表示形式には、大きく分けて「ブロック要素」と「インライン要素」の二つがある。ブロック要素は常に新しい行から始まり、親要素の利用可能な幅いっぱいに広がる性質を持つ。一方でインライン要素はテキストの一部のように扱われ、前後の要素と同じ行に並び、内容の幅だけを占める性質を持つ。インラインブロック要素は、これらブロック要素とインライン要素の双方の特性を併せ持つ特別な表示形式である。具体的には、テキストの流れの中で他の要素と同じ行に配置される「インライン」の特性を持ちながら、幅や高さ、上下のマージン(外側の余白)やパディング(内側の余白)を設定できる「ブロック」の特性も兼ね備えている。これにより、要素を横に並べつつ、個々の要素のサイズや間隔を自由に調整したい場合に非常に有用な概念となる。
HTMLの要素は、ウェブページ上での表示のされ方を決定する「display」プロパティによってその振る舞いが定義される。デフォルトで多くのHTML要素には特定のdisplayプロパティが設定されており、それがブロック要素、インライン要素、そしてインラインブロック要素といった表示形式を決定している。
まず、ブロック要素についてもう少し詳しく見てみよう。代表的なブロック要素には<div>や<p>、<h1>などがある。これらの要素は、ブラウザによって常に新しい行から表示され、デフォルトでは親要素のコンテンツ領域の利用可能な幅をすべて占有する。このため、複数のブロック要素を連続して配置すると、それらは縦方向に積み重なるように表示される。ブロック要素の最大の特徴は、CSSのwidth(幅)やheight(高さ)プロパティを使って要素の寸法を自由に設定できる点にある。また、margin(外側の余白)やpadding(内側の余白)プロパティも上下左右すべてにおいて期待通りに適用され、要素間の間隔や要素内部の余白を細かく制御できる。これによって、レイアウトの骨格を構築する際に多用される。
次にインライン要素についてである。<a>(リンク)、<span>(汎用インラインコンテナ)、<strong>(強調)などが代表的なインライン要素である。これらの要素は、テキストの流れの中に埋め込まれるように表示され、新しい行を開始しない。複数のインライン要素を連続して配置すると、それらは横方向に並んで表示される。インライン要素の幅や高さは内容物のサイズによって決まり、CSSでwidthやheightプロパティを設定しても、通常は無視されてしまう。また、marginやpaddingプロパティも、左右方向は適用されるが、上下方向は他の行の要素に影響を与えたり、期待通りに適用されなかったりすることが多い。インライン要素は主に、文章中の特定のテキストにスタイルを適用したり、リンクを設定したりする目的で使用される。
そして、インラインブロック要素が持つ独自の強みがここにある。インラインブロック要素は、その名の通り「インライン」と「ブロック」両方の特性を良いとこ取りした表示形式である。インラインブロック要素は、CSSでdisplay: inline-block;と指定することで任意の要素に適用できる。
インラインブロックとしての「インライン」の特性とは、主に次の点である。要素がテキストの流れの中に配置され、前後の要素と同じ行に表示されようとすること。つまり、複数のインラインブロック要素を連続して配置すると、利用可能なスペースが許す限り、それらは横方向に並んで表示される。これにより、複数の要素を整列させて配置したい場合に非常に便利である。
一方、インラインブロックとしての「ブロック」の特性とは、インライン要素ではできなかった様々なCSSプロパティの制御が可能になる点である。具体的には、widthプロパティで要素の幅を、heightプロパティで要素の高さを自由に設定できる。これにより、各要素のサイズを均一にしたり、特定の比率で表示させたりすることが容易になる。また、marginやpaddingプロパティも、上下左右すべてにおいてブロック要素と同様に完全に機能する。これにより、要素間の間隔や内部の余白を正確に調整することが可能になる。さらに、text-alignプロパティによる内部コンテンツの水平方向の配置や、vertical-alignプロパティによる兄弟要素間での垂直方向の整列も有効に機能する。
インラインブロック要素が特に力を発揮するのは、ウェブサイトのレイアウトを構築する場面である。例えば、ナビゲーションメニューの各項目を横並びにしたいが、それぞれに特定の幅を持たせたい場合や、アイコンとテキストの組み合わせを複数横に並べたい場合などである。また、複数の商品カードや記事のサムネイルをグリッド状に並べたい場合にも、インラインブロック要素は有力な選択肢となる。これにより、柔軟なレイアウトをCSSのみで実現することが可能となる。
ただし、インラインブロック要素を使用する際にはいくつかの注意点もある。最もよく知られているのは、複数のインラインブロック要素を横並びに配置した際に、それらの要素間に意図しない隙間(ホワイトスペース)が生じることがある点である。この隙間は、HTMLソースコード上での要素間の改行や半角スペースがテキストノードとして認識されることによって発生する。この問題を解決するには、CSSのfont-sizeプロパティを親要素に0を設定し、子要素で再度適切なサイズに戻す方法や、HTMLのコメントアウトを使って要素間の空白をなくす方法、あるいは要素間に負のマージンを設定する方法など、いくつかのテクニックが存在する。初心者にとっては少し複雑に感じるかもしれないが、ウェブデザインの現場では頻繁に遭遇する問題の一つであるため、意識しておくと良い。
また、異なる高さのインラインブロック要素を横並びにした際に、それらの垂直方向の配置がずれて見えることがある。このような場合には、vertical-alignプロパティを使用することで、要素を上揃え、中央揃え、下揃えなど、目的に合わせて調整できる。vertical-alignプロパティはインラインレベルの要素(インライン要素やインラインブロック要素)に対してのみ有効であるため、インラインブロック要素の配置を微調整する上で重要な役割を果たす。
インラインブロック要素は、現代のウェブデザインにおいて非常に重要な概念であり、複雑なレイアウトを柔軟に実現するための基本的なツールの一つである。ブロック要素のように個々の要素を制御したいが、インライン要素のように横に並べたい、というニーズに応える表示形式として、その特性を理解し使いこなすことは、システムエンジニアとしてウェブフロントエンド開発に携わる上で不可欠な知識であると言える。適切に活用することで、より美しく、より機能的なウェブページを作成できるようになるだろう。