インプットデバイス(インプットデバイス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
インプットデバイス(インプットデバイス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
入力装置 (ニュウリョクソウチ)
英語表記
Input device (インプットデバイス)
用語解説
インプットデバイスとは、コンピュータや情報システムに対して、データや指示を入力するために使用される周辺機器の総称である。入力装置とも呼ばれる。コンピュータは内部で電気信号を処理して動作するが、人間が直接電気信号を操作することはできない。そのため、人間の意図する操作や情報をコンピュータが理解できる形式の電気信号に変換する役割を担うのがインプットデバイスである。これらは、人間とコンピュータとの間のインターフェースとして機能し、コンピュータを操作するための最も基本的な手段を提供する。代表的な例としてキーボードやマウスが挙げられるが、その種類は用途に応じて多岐にわたる。コンピュータから人間に対して情報を出力するディスプレイやプリンタなどのアウトプットデバイスとは対になる存在であり、両者が組み合わさることで、人間とコンピュータの対話的な操作が実現される。
インプットデバイスは、その機能や入力する情報の種類によって多様な形態を持つ。最も基本的なものの一つがキーボードである。キーボードは、文字、数字、記号、そして特定のコマンドを入力するために用いられる。キーを押下すると、そのキーに対応した固有の信号がコンピュータに送信され、文字として画面に表示されたり、プログラムの命令として実行されたりする。次に、グラフィカルなユーザーインターフェース(GUI)の操作に不可欠なのがポインティングデバイスである。代表例はマウスであり、本体を動かすことで画面上のポインタを移動させ、ボタンのクリックによって対象の選択や決定といった操作を行う。ノートパソコンでは、指で表面をなぞってポインタを操作するタッチパッドが標準的に搭載されている。その他にも、ボールを指で回転させて操作するトラックボールや、画面に直接触れて操作するタッチスクリーン、専用のペンで入力を行うスタイラスペンなどもポインティングデバイスの一種である。
現実世界の情報をデジタルデータとして取り込むためのインプットデバイスも数多く存在する。スキャナは、紙の文書や写真を光学的に読み取り、画像データに変換する装置である。デジタルカメラやスマートフォンのカメラも、レンズを通して捉えた光景を静止画や動画のデータとして記録するイメージングデバイスの一種と言える。Webカメラは、リアルタイムの映像を入力し、ビデオ会議などで活用される。音声を入力するためのデバイスとしてはマイクが挙げられる。マイクは、空気の振動である音を電気信号に変換し、録音、音声チャット、音声認識システムなどで利用される。
特定の業務や用途に特化したインプ-ットデバイスも存在する。例えば、小売店のレジや物流倉庫で広く使われるバーコードリーダーは、バーコードの情報を瞬時に読み取ってテキストデータとして入力する。これにより、手作業による入力ミスを防ぎ、業務効率を大幅に向上させる。また、イラスト制作や設計の分野では、ペンタブレットが利用される。これは、専用のペンでタブレット上をなぞることで、筆圧を含めた細やかな線の情報を入力できる装置である。ゲームの操作に特化したジョイスティックやゲームパッドも、方向やボタン操作といった情報を入力するための専用デバイスである。近年では、個人の識別とセキュリティ確保のために生体認証デバイスの利用も広がっている。指紋認証センサーや顔認証カメラは、個人の身体的特徴をデータとして読み取り、本人確認を行うためのインプットデバイスである。
システムエンジニアとしてシステムを設計・開発する上では、インプットデバイスの特性を深く理解することが極めて重要となる。どのようなインプットデバイスを前提とするかによって、システムのユーザーインターフェースや操作性、さらには業務フロー全体が大きく変わるからである。例えば、タッチスクリーンを主たる入力手段とするシステムでは、ボタンやアイコンを指で操作しやすいサイズや配置にする必要がある。工場のような特殊な環境で利用されるシステムでは、手袋を装着したままでも操作可能な物理ボタンや、音声認識による入力が有効な選択肢となる場合がある。また、入力されるデータの品質管理も重要な観点である。手入力では誤入力のリスクが避けられないが、バーコードリーダーやセンサーからの入力は機械的に行われるため、データの正確性が高い。システムは、どのようなインプットデバイスから、どのような形式のデータが入力されるかを想定し、必要に応じてデータの妥当性を検証する処理を組み込む必要がある。このように、インプットデバイスの選定と、その特性を考慮したシステム設計は、利用者の満足度と業務効率を左右する根幹的な要素となる。