インテルアクティブマネジメントテクノロジー(インテルアクティブマネジメントテクノロジー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

インテルアクティブマネジメントテクノロジー(インテルアクティブマネジメントテクノロジー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

インテルアクティブマネジメントテクノロジー (インテルアクティブマネジメントテクノロジー)

英語表記

Intel Active Management Technology (インテル アクティブ マネジメント テクノロジー)

用語解説

インテルアクティブマネジメントテクノロジーは、インテル社が開発した高度なPC遠隔管理技術であり、一般的にIntel AMTと略される。この技術は、主に企業のIT部門が多数のコンピュータを効率的に管理、運用、保守するために利用されるもので、インテル vPro プラットフォームに対応したプロセッサーとチップセットを搭載したコンピュータに組み込まれている。最大の特徴は、管理対象となるPCのオペレーティングシステム(OS)が起動しているか否か、あるいは正常に動作しているか否かに関わらず、さらにはPCの電源がオフの状態であっても、ネットワーク経由で様々な遠隔操作を行える点にある。これは、PCのハードウェア自体に管理機能を持つ専用のマイクロプロセッサとファームウェアが内蔵されており、OSとは独立して動作するためである。この仕組みにより、システム管理者は物理的にPCの前にいなくても、遠隔地からマシンの状態を監視し、トラブルシューティングやメンテナンス作業を実施することが可能となり、ITインフラの運用コスト削減と可用性向上に大きく貢献する。

この技術の詳細を理解するためには、その中核となる機能と仕組みを把握することが重要である。Intel AMTは、PCのマザーボード上のチップセットに組み込まれたManagement Engine(ME)と呼ばれる補助プロセッサによって実現されている。このMEはPCの主電源が供給されている限り、メインのCPUやOSとは独立して稼働し続ける。そして、ネットワークインターフェースに直接アクセスする権限を持つため、PCの電源がオフの状態でもネットワークからの管理コマンドを受け付け、応答することができる。これにより、OSがブルースクリーンで停止した場合や、ハードディスクの故障で起動不能になった場合でも、外部の管理コンソールからそのPCにアクセスして対処することが可能となる。

Intel AMTが提供する具体的な機能は多岐にわたる。まず、基本的な機能として遠隔からの電源制御がある。管理者はネットワークを通じて、PCの電源をオンにしたり、シャットダウンや再起動を強制したりできる。これにより、夜間に全社員のPCを起動してセキュリティパッチを一斉に適用するといった作業が容易になる。次に、ハードウェア情報の収集機能が挙げられる。CPUのモデル、メモリ容量、ストレージの型番といったPCの構成情報を遠隔で取得できるため、IT資産の棚卸しや管理台帳の更新を効率化できる。

さらに強力な機能として、リモートでの診断と修復機能がある。その代表がKVM(Keyboard, Video, Mouse)リモートコントロールである。これは、管理者の手元のコンピュータに、遠隔地にあるPCのデスクトップ画面を転送し、あたかもその場にいるかのようにキーボードとマウスで操作できる機能だ。一般的なリモートデスクトップソフトウェアと異なり、OSが起動する前のBIOSやUEFIの設定画面から操作できるため、OSの起動トラブルにも対応できる。また、IDEリダイレクションという機能を使えば、管理者のコンピュータ上にあるOSのインストールイメージ(ISOファイルなど)を、遠隔地のPCに仮想的なCD/DVDドライブとして認識させることができる。これにより、OSが破損したPCに対して、ネットワーク経由でのOSのクリーンインストールや修復ツールの実行が可能になる。

セキュリティ面においても、Intel AMTは重要な役割を果たす。システムディフェンス機能は、PCにインストールされたウイルス対策ソフトなどのセキュリティエージェントが正常に動作しているかを監視し、万が一停止したり、不正な通信を検知したりした場合に、ネットワークからそのPCを自動的に隔離したり、管理者に警告を送信したりすることができる。これにより、マルウェア感染などのセキュリティインシデントの拡大を未然に防ぐことが期待できる。

ただし、これほど強力な機能を持つIntel AMTは、そのアクセス権限が第三者に悪用された場合、深刻なセキュリティリスクとなり得る。そのため、導入時には厳格な設定が求められる。AMTへのアクセスにはパスワード認証が必須であり、推測されにくい複雑なパスワードを設定すること、そして通信を暗号化するための設定を適切に行うことが極めて重要である。また、過去にはAMTのファームウェアに脆弱性が発見された事例もあるため、メーカーから提供されるファームウェアのアップデートを定期的に適用し、常に最新の状態を維持することが不可欠である。システムエンジニアを目指す者にとって、Intel AMTはハードウェアレベルでのシステム管理を可能にする強力なツールであると同時に、そのセキュリティリスクを正しく理解し、適切に管理・運用する知識が求められる技術と言える。