国際化ccTLD (コクサイカセーシーティーエルディー) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
国際化ccTLD (コクサイカセーシーティーエルディー) の読み方
日本語表記
国際化ccTLD (コクサイカシーシーティーエルディー)
英語表記
internationalized ccTLD (インターナショナライズドシーシーティーエルディー)
国際化ccTLD (コクサイカセーシーティーエルディー) の意味や用語解説
国際化ccTLD(Internationalized Country Code Top-Level Domain: IDN ccTLD)とは、自国で使用する言語の文字(例えば日本語、中国語、アラビア語など)を含むトップレベルドメイン(TLD)のことである。従来のccTLD(国別コードトップレベルドメイン)は、原則としてISO 3166で規定された2文字の英字で構成されていたが、国際化ccTLDは、より多くの言語の利用を可能にするために導入された。 従来のccTLDの仕組みでは、アルファベットを使用しない言語の国や地域にとって、自国語によるドメイン名を取得することができなかった。例えば、日本であれば「.jp」だが、これを日本語で表現することは不可能だった。国際化ccTLDの導入により、これらの国や地域でも自国語によるドメイン名を提供することが可能になり、インターネットの利用における多言語対応が進んだ。 国際化ccTLDは、ICANN(Internet Corporation for Assigned Names and Numbers:インターネット資源管理機構)によって管理されている。ICANNは、ドメイン名システムの技術的な管理を行い、国際化ccTLDの導入や運用に関するポリシーを策定している。国際化ccTLDを申請する国や地域は、ICANNの定める厳格な基準を満たす必要があり、申請された文字列が、その国や地域の言語を正しく表現しているか、他の国や地域との混同を招く恐れがないかなどが審査される。 国際化ccTLDの技術的な実現には、Punycodeと呼ばれるエンコード方式が用いられている。Punycodeは、Unicode文字列(多言語の文字を扱うための文字コード)を、DNS(Domain Name System)で使用できるASCII文字のみに変換する方式である。国際化ccTLDのドメイン名は、内部的にはPunycodeでエンコードされた文字列として処理されるため、DNSの仕組みを変更することなく多言語のドメイン名を利用できる。 例えば、日本の国際化ccTLDは「.jp」に対応する日本語ドメイン名として「.日本」が割り当てられている。「.日本」というドメイン名は、Punycodeによって「.xn--nihon」という文字列に変換され、DNSに登録される。ユーザーがブラウザに「www.example.日本」と入力すると、ブラウザはこれをPunycodeに変換し、DNSサーバーに問い合わせを行う。DNSサーバーは「www.example.xn--nihon」に対応するIPアドレスを返し、ブラウザはそのIPアドレスに基づいてウェブサイトを表示する。 国際化ccTLDの導入は、インターネットの利用におけるアクセシビリティの向上に大きく貢献している。自国語によるドメイン名を利用できることで、インターネットを利用する際の心理的な障壁が低くなり、より多くの人々がインターネットにアクセスしやすくなる。また、企業や団体にとっても、自国語によるドメイン名を利用することで、ブランドイメージの向上や地域社会との連携強化に繋がる可能性がある。 しかし、国際化ccTLDの利用にはいくつかの課題も存在する。その一つが、Punycodeによるエンコードである。Punycodeは、人間が直接読むことが難しい文字列であるため、ドメイン名を直接入力する際に誤入力が発生しやすい。また、フィッシング詐欺などの悪用事例も報告されており、ユーザーは注意が必要である。 さらに、国際化ccTLDの導入によって、ドメイン名の競合が発生する可能性もある。例えば、異なる言語で同じ意味を持つ単語が、異なる国際化ccTLDとして登録される場合などが考えられる。このような競合を避けるためには、ICANNを中心とした国際的な協力体制が必要となる。 国際化ccTLDは、インターネットの多言語化を推進し、グローバルな情報発信を促進する上で重要な役割を果たしている。今後、国際化ccTLDの利用はさらに拡大していくと予想され、その技術的な課題や運用上の課題に対する取り組みもますます重要になってくる。システムエンジニアを目指す者として、国際化ccTLDの仕組みや課題を理解しておくことは、グローバルなインターネット環境を支える上で不可欠な知識となる。