インターネットプロトコル(インターネットプロトコル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

インターネットプロトコル(インターネットプロトコル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

インターネットプロトコル (インターネットプロトコル)

英語表記

Internet Protocol (インターネットプロトコル)

用語解説

インターネットプロトコル(IP)は、インターネットを始めとするIPネットワークにおいて、データの送受信を行うための最も基本的な通信ルールである。これは、世界中のコンピュータやデバイスが相互に情報をやり取りするための共通言語のようなものであり、データがネットワーク上をどのように移動するかを定義する役割を持つ。具体的には、大きなデータを「パケット」と呼ばれる小さな単位に分割し、それぞれのパケットに送信元と宛先のアドレス情報を付与して、目的の場所まで送り届ける。IPは、TCP/IPプロトコルスイートの中核をなすプロトコルの一つであり、OSI参照モデルにおけるネットワーク層(第3層)に位置する。私たちが日常的に利用するWebサイトの閲覧、電子メールの送受信、オンラインゲームといった、あらゆるデジタル通信の根底を支える不可欠な存在である。

IPによる通信の詳細を理解するためには、いくつかの重要な要素を把握する必要がある。まず「パケット」についてだが、インターネット上でデータを送信する際、データはそのままの大きさで送られるわけではない。IPは、そのデータを数百バイトから数キロバイト程度の小さな塊に分割し、それぞれの塊をパケットと呼ぶ。各パケットには、元のデータの断片に加え、送信元IPアドレス、宛先IPアドレス、パケットの長さ、プロトコルのバージョンといった制御情報が格納された「IPヘッダ」が付与される。これにより、個々のパケットは独立してネットワーク上を移動できるようになる。

次に「IPアドレス」は、ネットワーク上の各デバイスを一意に識別するための番号である。これは、郵便物における住所のような役割を果たし、パケットが正確な宛先に届けられるために不可欠な情報だ。現在、主流となっているのはIPv4(Internet Protocol version 4)と呼ばれる32ビットの数値で表現されるアドレス形式だが、インターネットの普及に伴うアドレス枯渇の問題から、128ビットの数値で表現され、より広大なアドレス空間を持つIPv6(Internet Protocol version 6)への移行が進んでいる。

IPパケットが送信元から宛先へ到達するプロセスは「ルーティング」と呼ばれる。IPパケットは、送信元から宛先へ直接届くわけではなく、その間に存在する多くの「ルーター」と呼ばれるネットワーク機器を経由して転送される。ルーターは、パケットのIPヘッダに含まれる宛先IPアドレスを読み取り、自身の持つ「ルーティングテーブル」(経路情報)と照合して、次にどのルーターへパケットを転送すべきかを判断する。このルーティングの繰り返しによって、パケットは最適な経路を選んで最終的な宛先へ到達することを可能にする。ルーターは、異なるネットワーク間を結びつけ、データが世界中を巡るための交差点のような役割を果たしている。

IPには「信頼性の欠如」という特徴がある。これは、IP自体が送信されたパケットが必ず宛先に到達すること、到達したパケットが正しい順序であること、重複がないこと、あるいは破損していないことなどを保証しないことを意味する。IPは「ベストエフォート型」のプロトコルであり、可能な限りパケットを転送しようと試みるが、ネットワークの混雑、ルーターの障害、ケーブルの断線などによってパケットが失われたり、遅延したり、順序が入れ替わったりする可能性がある。このような通信の信頼性の保証は、IPの上位層で動作するプロトコル、特にTCP(Transmission Control Protocol)が担当する役割となる。

IPは、単独で機能するのではなく、他の多くのプロトコルと組み合わせて利用されることで、インターネット全体を構成している。最も密接に関わるのはTCPであり、IPとTCPを合わせて「TCP/IPプロトコルスイート」と呼ぶ。TCPは、IPが転送するパケットの信頼性(データの再送制御、順序制御、流量制御など)を確保し、アプリケーションが安心してデータ通信を行えるようにする。また、UDP(User Datagram Protocol)もIPの上で動作するプロトコルの一つだが、TCPのような信頼性保証を行わない代わりに、高速な通信やリアルタイム性が重視される音声・映像ストリーミングなどで利用される。さらに上位のアプリケーション層には、Webブラウジングに使われるHTTP、ファイル転送に使われるFTP、電子メールの送受信に使われるSMTPやPOP3など、様々なプロトコルが存在するが、これらすべてのプロトコルは、最終的にはIPによってネットワーク上をデータが転送されることに依存している。このように、インターネットプロトコルは、現代のネットワーク通信の基盤であり、その仕組みを理解することは、システムエンジニアとしてネットワークを扱う上で不可欠な知識となる。

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