インタプリタ型言語(インタプリタがたげんご)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
インタプリタ型言語(インタプリタがたげんご)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
インタプリタ型言語 (インタプリタがたげんご)
英語表記
Interpreted language (インタプリテッドランゲージ)
用語解説
インタプリタ型言語とは、プログラミング言語をその実行方式によって分類した際の一種である。人間が記述したソースコードを、コンピュータが直接理解できる機械語へと1行ずつ逐次翻訳しながら実行する特徴を持つ。この翻訳と実行を同時に行うプログラムのことをインタプリタと呼ぶ。プログラミング言語の中には、実行前にソースコード全体をまとめて機械語に翻訳しておくコンパイラ型言語という種類もあり、インタプリタ型言語はこれと対照的な性質を持つ。インタプリタ型言語を理解するためには、この逐次的に処理を行うという点が最も重要な概念となる。
インタプリタ型言語の動作原理は、ソースコードを上から順に一行ずつ解釈し、その都度対応する機械語の命令を生成してCPUに実行させるという流れである。このため、プログラムを実行する際には、ソースコードと、その言語に対応したインタプリタの両方が必要となる。インタプリタは、ソースコードという設計図を読み解きながら、リアルタイムでコンピュータに指示を出し続ける役割を担っている。この方式は、プログラムの修正とテストを迅速に行えるという大きな利点をもたらす。コードを一行修正すれば、すぐにその部分から実行を試すことができ、開発サイクルを短縮できる。エラーが発生した場合も、インタプリタが処理を停止した行がエラー箇所となるため、問題の特定が比較的容易である。このような手軽さから、特に初学者の学習や、仕様変更が頻繁に発生する開発、小規模なツールの作成などに向いているとされる。
また、インタプリタ型言語はプラットフォーム非依存性が高いという利点も持つ。プラットフォームとは、WindowsやmacOS、Linuxといったオペレーティングシステム(OS)のことである。コンパイラ型言語では、通常、特定のOSやCPUアーキテクチャ向けの実行ファイルを生成するため、異なる環境で動かすには再度コンパイル作業が必要となる。一方、インタプリタ型言語は、各プラットフォームに対応したインタプリタさえ用意されていれば、同じソースコードを修正することなく様々な環境で実行できる。このポータビリティの高さは、多様な環境で動作することが求められるWebアプリケーションなどの開発において非常に有利である。
しかし、インタプリタ型言語にはデメリットも存在する。最も代表的なものが実行速度である。プログラムを実行するたびにソースコードの解釈と機械語への翻訳という処理が発生するため、事前に全ての翻訳を済ませ、最適化された実行ファイルを用意するコンパイラ型言語と比較して、一般的に処理速度が遅くなる傾向がある。特に、大規模な計算や高速な応答性が求められるシステムにおいては、この速度差が性能上の課題となることがある。もう一つのデメリットは、プログラムの実行環境に必ず対応するインタプリタがインストールされている必要がある点である。作成したプログラムを他者に配布する場合、相手の環境にも同じインタプリタを導入してもらう手間が発生する。
代表的なインタプリタ型言語としては、Python、JavaScript、Ruby、PHPなどが挙げられる。Pythonは、その文法の分かりやすさから初学者に人気が高く、Web開発からデータサイエンス、機械学習まで幅広い分野で利用されている。JavaScriptは、主にWebブラウザ上で動作し、Webページに動的な機能を追加するために不可欠な言語である。Rubyは、特にWebアプリケーションフレームワークであるRuby on Railsと共に広く知られている。PHPもまた、サーバーサイドのWeb開発で長年にわたり利用されてきた言語である。
近年では、インタプリタ型言語の実行速度を改善するための技術も進化している。その一つにJIT(Just-In-Time)コンパイルという方式がある。これは、プログラムの実行中に、頻繁に呼び出されるコード部分をその場でコンパイルして機械語に変換し、キャッシュしておく技術である。これにより、次回以降同じコードが実行される際には、翻訳済みの高速な機械語を直接利用できるため、インタプリタの逐次翻訳によるオーバーヘッドを大幅に削減できる。現代の多くのインタプリタ型言語処理系は、このJITコンパイルをはじめとする様々な最適化技術を取り入れており、従来のインタプリタ型とコンパイラ型の境界は曖昧になりつつある。これにより、インタプリタ型言語は開発のしやすさという利点を維持したまま、実行速度の課題を克服し、その適用範囲をさらに広げている。