インバータ(インバータ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

インバータ(インバータ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

インバータ (インバータ)

英語表記

inverter (インバーター)

用語解説

インバータとは、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置のことである。交流モーターの速度制御や、太陽光発電システム、無停電電源装置(UPS)など、幅広い分野で利用されている。

インバータの基本的な仕組みは、半導体スイッチング素子を高速でオン・オフすることで、擬似的な交流波形を作り出すことにある。代表的な半導体スイッチング素子としては、トランジスタ、サイリスタ、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。これらの素子を適切に制御することで、出力電圧や周波数を調整し、目的とする交流電力を生成する。

インバータの動作原理は、まず直流電力を平滑化コンデンサによって安定化させることから始まる。次に、スイッチング素子を制御回路によってオン・オフする。このオン・オフのパターンを工夫することで、さまざまな波形の交流電力を生成できる。最も単純な方法としては、矩形波インバータがある。これは、スイッチング素子を単純に交互にオン・オフすることで矩形波を生成する方法である。しかし、矩形波には多くの高調波成分が含まれるため、モーターの効率低下や騒音の原因となることがある。

より高性能なインバータでは、正弦波に近い交流波形を生成するために、PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御が用いられる。PWM制御では、スイッチング素子のオン・オフ時間を細かく制御することで、パルス幅を変化させ、擬似的に正弦波を生成する。パルス幅を変化させることで、出力電圧の大きさを調整することも可能である。PWM制御を用いることで、高調波成分を低減し、モーターの効率向上や騒音低減を実現できる。

インバータの種類は、用途や出力波形によって様々である。まず、電源の種類によって、電圧形インバータと電流形インバータに分類される。電圧形インバータは、入力電圧を一定に保ち、出力電圧を制御する方式である。一方、電流形インバータは、入力電流を一定に保ち、出力電流を制御する方式である。一般的に、電圧形インバータの方が広く用いられている。

次に、出力波形によって、矩形波インバータ、擬似正弦波インバータ、正弦波インバータに分類される。矩形波インバータは、最も単純な構造で、安価であるが、高調波成分が多い。擬似正弦波インバータは、矩形波を改良し、高調波成分を低減したものである。正弦波インバータは、PWM制御などを用いて、正弦波に近い交流波形を生成するもので、高効率で低騒音である。

インバータの応用分野は非常に幅広い。交流モーターの速度制御においては、インバータを用いることで、モーターの回転速度を自由に制御できる。これにより、省エネルギー運転や高精度な制御が可能となる。例えば、工場のコンベアベルトの速度制御や、エレベーターの速度制御などに用いられている。

太陽光発電システムにおいては、太陽光パネルで発電された直流電力を、インバータによって交流電力に変換し、電力系統に供給する。太陽光発電システムの効率を向上させるためには、インバータの高効率化が重要となる。

無停電電源装置(UPS)においては、通常時は商用電源から電力を供給し、停電時にはバッテリーから直流電力を供給し、インバータによって交流電力に変換して、コンピュータやサーバーなどの重要な機器に電力を供給する。UPSは、停電時にもシステムを継続稼働させるために不可欠な装置である。

インバータを選択する際には、用途や必要な出力電圧、電流、周波数などを考慮する必要がある。また、効率や信頼性、安全性なども重要な要素である。近年では、小型化、高効率化、低コスト化が進んでおり、様々なニーズに対応できるインバータが開発されている。

インバータ技術は、電力変換技術の中核であり、今後のエネルギー効率向上や再生可能エネルギーの普及に不可欠な技術であると言える。システムエンジニアを目指す者にとって、インバータの原理や応用について理解することは、非常に重要である。