情報システム部門 (ジョウホウシスムブモン) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
情報システム部門 (ジョウホウシスムブモン) の読み方
日本語表記
情報システム部門 (ジョウホウシステムブモン)
英語表記
IT Department (アイティーディパートメント)
情報システム部門 (ジョウホウシスムブモン) の意味や用語解説
情報システム部門とは、企業活動に不可欠な情報システムの企画、開発、運用、保守を一手に担う専門部署である。社内SE(システムエンジニア)が所属する部署として知られ、企業のIT戦略を支える中核的な存在として位置づけられる。その役割は、単にコンピューターやネットワークの面倒を見るだけでなく、経営目標の達成や業務効率化をITの力で実現することにある。企業の規模や業種によって「情報システム部」「IT推進部」「DX推進室」など名称は様々であるが、企業内の情報技術に関する全般的な責任を負うという点では共通している。ビジネスのあらゆる場面でITが活用される現代において、その重要性はますます高まっている。 情報システム部門の業務は、大きく分けて企画・戦略、開発・導入、運用・保守の三つのフェーズに分類できる。まず企画・戦略フェーズでは、経営層や各事業部門が抱える課題を解決するためのIT戦略を立案することから始まる。具体的には、経営陣や各部門の責任者と対話し、「売上を向上させたい」「業務プロセスを効率化したい」「新しいサービスを立ち上げたい」といったニーズをヒアリングする。そして、それらの要望を実現するためにどのような情報システムが必要かを検討し、具体的なシステム化計画を策定する。この段階では、最新のITトレンドを把握し、自社のビジネスに最適な技術を選定する能力が求められる。また、システム導入にかかる費用対効果を算出し、IT投資計画として経営層に提案して承認を得ることも重要な役割である。さらに、全社的な情報セキュリティポリシーを策定し、従業員のITリテラシー向上を図るための研修を企画するなど、企業全体のITガバナンス、すなわちIT利用を適切に統制し管理する仕組みを構築する責務も担う。 次に、企画・戦略フェーズで承認されたシステム化計画を具体的に形にしていくのが開発・導入フェーズである。まず、システムの利用者となる業務部門から詳細な要求を聞き取り、システムの機能や仕様を定義する「要件定義」を行う。その後、要件定義書をもとにシステムの全体像を設計する「基本設計」、そしてプログラマーが製造できるように詳細な仕様を固める「詳細設計」へと進む。設計が完了すると、プログラミング、そしてシステムが設計通りに動作するかを確認するテスト工程へと移行する。これらの開発プロセスを、情報システム部門が自ら行う場合もあれば、外部のITベンダーに開発を委託する場合もある。後者の場合、情報システム部門の担当者はプロジェクトマネージャーとして、ベンダーの選定、契約、進捗管理、品質管理、コスト管理といったベンダーコントロールが主な業務となる。システムが完成すれば、それを社内のサーバーに展開し、利用者がスムーズに使えるようにマニュアルの作成や操作研修を実施することも、このフェーズの重要な仕事である。 システムが本番稼働を開始した後は、それが安定して動き続けるように維持管理する運用・保守フェーズに入る。これは情報システム部門の日常的な業務の中心となる。サーバーやネットワーク機器が正常に稼働しているかを監視し、万が一システム障害が発生した際には、原因を特定し迅速に復旧させる対応が求められる。また、データの消失に備えて定期的にバックアップを取得したり、外部からのサイバー攻撃を防ぐためにセキュリティ対策を施したりすることも欠かせない。社内ユーザーからの「パスワードを忘れた」「PCの調子が悪い」「ソフトウェアの使い方がわからない」といった問い合わせに対応するヘルプデスク業務も、多くの場合、情報システム部門が担当する。さらに、ビジネス環境の変化や法改正に対応するための小規模なプログラム修正や、システムのパフォーマンスを改善するためのチューニングといった保守作業も継続的に行っていく。 かつて情報システム部門は、既存システムの安定稼働を主眼とする「守りのIT」を担い、コストセンター、つまり利益を直接生み出さない管理部門と見なされる傾向があった。しかし近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)の潮流の中で、その役割は大きく変化している。ITを活用して新たなビジネスモデルを創出したり、競争優位性を確立したりする「攻めのIT」の推進役として、ビジネスに直接貢献するプロフィットセンターへと変革することが期待されている。このため、情報システム部門の担当者には、プログラミングやネットワーク、データベース、セキュリティといった従来の技術的知識に加え、自社の事業内容や業界動向を深く理解するビジネス知識が不可欠となっている。また、経営層や他部門、外部ベンダーなど、様々な立場の人々と円滑に連携するための高いコミュニケーション能力や交渉力、プロジェクト全体を計画通りに推進するプロジェクトマネジメント能力も極めて重要である。システムエンジニアを目指す者は、これらの多岐にわたるスキルをバランス良く身につけることが、企業に貢献できる人材となるための鍵となる。