ケバブケース (ケバブケース) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ケバブケース (ケバブケース) の読み方

日本語表記

ケバブケース (ケバブケース)

英語表記

kebab case (ケバブケース)

ケバブケース (ケバブケース) の意味や用語解説

ケバブケースは、複数の単語からなる識別子を表記する際に、単語と単語の間をハイフン(-)で繋いで表現する命名規則の一つである。一般的に、全ての文字を小文字で表記することが特徴だ。その見た目が、肉や野菜を串に刺したケバブ料理のように見えることから、このユニークな名前がつけられた。主に、ウェブサイトのURLパス、HTMLやCSSのクラス名・ID名、Gitのブランチ名、一部の設定ファイルのファイル名などで広く利用されており、ウェブ開発やインフラ構築の現場では頻繁に目にする命名規則である。システムエンジニアを目指す上で、このケバブケースを含む様々な命名規則の特性と適切な使用場面を理解することは非常に重要となる。 ケバブケースという名前は、串に刺された肉の塊のように、単語がハイフンという「串」によって繋がれている様子から来ている。この命名規則の最大の利点は、その高い可読性にある。単語がハイフンで明確に区切られるため、視覚的に理解しやすく、複数の単語が連なる長い識別子でも意味を捉えやすい。例えば、「user management system」というフレーズをケバブケースで表記すると、「user-management-system」となる。このようにハイフンが単語の境界をはっきりと示すことで、一目で単語の区切りが分かり、読み間違いを防ぐ効果が期待できる。これは特に、人間が直接読み書きする機会の多い箇所での利点が大きい。 他の代表的な命名規則と比較することで、ケバブケースの特性はさらに明確になる。プログラミング言語でよく用いられる命名規則には、キャメルケース、パスカルケース、スネークケースがある。キャメルケース(camelCase)は、最初の単語の先頭以外は全て小文字で、以降の単語の先頭を大文字にする形式だ(例: `userName`、`getElementById`)。これはJavaScriptの変数名や関数名で一般的に採用されている。パスカルケース(PascalCase)は、全ての単語の先頭を大文字にする形式で(例: `UserName`、`HelloWorld`)、JavaやC#のクラス名、Reactなどのコンポーネント名でよく見られる。スネークケース(snake_case)は、単語間をアンダースコア(_)で繋ぐ形式だ(例: `user_name`、`total_count`)。これはPythonの変数名や関数名、Rubyのメソッド名、データベースのテーブル名やカラム名で広く使われている。これらの規則はそれぞれ異なる用途やプログラミング言語の慣習に合わせて使い分けられており、ケバブケースはこれらとは異なる文脈でその真価を発揮する。 ケバブケースが特に有効な場面の一つが、ウェブサイトのURLパスである。URLにおいてスペースは特別な意味を持つ文字であるため直接使用できず、通常「%20」などのURLエンコードが必要となる。これはURLの見た目を悪くし、可読性を著しく低下させる。また、アンダースコア(_)は一部の検索エンジンで単語の区切りと認識されにくい場合がある。しかし、ハイフンはURL内で単語の区切りとして広く認識され、検索エンジン最適化(SEO)の観点からも推奨されている。これにより、ユーザーが内容を理解しやすいクリーンなURLを生成できる。例えば、ブログ記事のURLを「my-first-blog-post」のように表現することは非常に一般的であり、ウェブページの内容をURLから推測しやすくする効果がある。 HTMLやCSSのコーディングにおいても、ケバブケースはデファクトスタンダードとして定着している。CSSのセレクタやHTMLのclass属性、id属性の値に「header-navigation」や「main-content」のようにケバブケースを用いることで、その要素が持つ役割や内容を明示的に表現できる。これは、大規模なウェブアプリケーション開発において、コードの可読性を高め、チーム内での認識齟齬を減らす上で非常に重要となる。また、Gitのブランチ名や、Makefile、YAMLなどの設定ファイル名でもケバブケースが利用されることがある。これらのコンテキストでは、ファイルシステムやコマンドラインツールでの扱いやすさ、そして人間が視覚的に理解しやすいというメリットが重視される。 しかし、ケバブケースには注意すべき点もある。ほとんどのプログラミング言語において、ハイフンは減算(引き算)の演算子として解釈される。このため、プログラミング言語のコード内で変数名や関数名にケバブケースを用いると、例えば `my-variable` と書いた場合に、`my` という変数から `variable` という変数を引く計算として処理されてしまい、意図しない結果や構文エラーの原因となる。したがって、プログラミング言語のコード内で変数や関数といった識別子にケバブケースを使うことは、通常は避けられる。この点が、ケバブケースが主にコードの外部、つまりURL、ファイル名、設定値、HTML/CSS関連の命名に限定される大きな理由である。 このように、命名規則は単に名前の付け方のルールにとどまらず、それが使われるコンテキスト(文脈)によって選択されるべき重要な要素だ。適切な命名規則を選ぶことは、コードやシステムの可読性、保守性、そしてチーム開発における一貫性を大きく向上させる。どの命名規則を採用するかは、プロジェクトの標準、使用する言語やフレームワークの慣習、そしてチームの合意に依るところが大きい。ケバブケースは、その明確な視覚的区切りとURLフレンドリーな特性から、特定の分野で非常に有効な命名規則として広く活用されていることを理解しておくことは、システムエンジニアを目指す上で非常に役立つだろう。開発現場では多様な命名規則が存在するため、それぞれの特性と適切な利用場面を把握し、一貫性のある命名を心がけることが、高品質なシステム構築への第一歩となる。

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