重要目標達成指標 (キートウゲーションインディケーター) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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重要目標達成指標 (キートウゲーションインディケーター) の読み方

日本語表記

重要目標達成指標 (キーパフォーマンスインディケーター)

英語表記

Key Performance Indicator (キーパフォーマンズインディケーター)

重要目標達成指標 (キートウゲーションインディケーター) の意味や用語解説

重要目標達成指標とは、企業や組織、あるいは特定のプロジェクトにおいて、最終的に達成すべき目標がどれくらい実現されているかを示す、最も重要な指標のことである。英語では「Key Goal Indicator」と表記され、その頭文字を取ってKGIと略されることも多い。これは、単なる目標ではなく、「重要」という言葉が示す通り、その達成が組織全体の成功やプロジェクトの成否を決定づける中核的な目標を指す。システムエンジニアを目指す初心者にとって、KGIは直接的な開発作業とは異なるビジネス側の用語に思えるかもしれないが、システム開発プロジェクトは常に何らかのビジネス目標や組織目標を達成するために行われるため、KGIの概念を深く理解することは、システムの真の価値を理解し、より効果的なシステムを構築する上で不可欠となる。 この指標は、プロジェクトや事業の成功を測るための羅針盤のような役割を果たす。明確なKGIを設定することで、関係者全員が同じ最終目標に向かって進むことができるようになり、プロジェクトの方向性が明確化される。また、KGIは、成果を客観的に評価するための基準となり、目標達成に向けてどのような活動が効果的であったか、あるいは改善が必要な点はどこかを判断する手助けとなる。例えば、新システムの導入プロジェクトであれば、「新システム導入後1年で、年間業務処理時間をX%削減する」といったKGIが設定されることがある。この場合、システムの機能や性能は、この業務処理時間削減という最終目標に貢献するように設計・実装される必要がある。 KGIを設定する際には、いくつかの重要なポイントがある。一つは、その指標が「具体的であること」である。曖昧な表現ではなく、誰が見ても理解できる具体的な数値や基準で示される必要がある。例えば、「顧客満足度を上げる」ではなく、「顧客満足度調査の平均スコアを5点中4点以上にする」といった形である。次に「測定可能であること」も重要だ。設定されたKGIが、実際に測定できる客観的なデータに基づいて評価できるものでなければ意味がない。測定方法やデータ収集の手段も事前に明確にしておく必要がある。さらに「達成可能であること」も欠かせない。非現実的な高すぎる目標は、モチベーションの低下やプロジェクトの失敗を招きかねないため、努力すれば達成できる範囲で、しかし挑戦的な目標を設定することが望ましい。また「組織やプロジェクトの戦略と関連性があること」も重要である。設定されたKGIが、組織全体のビジョンや事業戦略と乖離していては、真の成功とは言えない。そして最後に「期限が明確であること」である。いつまでにその目標を達成するのかという期限を定めることで、計画性を持って活動を進めることができるようになる。これらの要素は、KGIが単なる願望ではなく、具体的な行動を促し、その成果を評価するための実用的なツールとなるために不可欠な要素である。 KGIと関連する重要な概念に、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)がある。KGIが最終的なゴールを示すのに対し、KPIはKGIを達成するための中間目標やプロセスを評価する指標である。KGIが「目的地」であれば、KPIは「目的地に至るまでの道のりでの進捗状況」を示すと言える。例えば、KGIが「ECサイトの年間売上を1億円にする」という場合、そのKGIを達成するためのKPIとして「月間ユニークユーザー数を10万人にする」「コンバージョン率を3%にする」「平均客単価を5,000円にする」などが設定されるだろう。システムエンジニアは、直接KGIを達成するよりも、KPIの達成に貢献するシステムの機能や性能を開発することが多い。例えば、ユーザー数を増やすためのマーケティング機能や、コンバージョン率を向上させるためのUI/UXの改善、データ分析機能の実装などがそれに当たる。 システムエンジニアがKGIを理解することの重要性は計り知れない。KGIを把握することで、単に与えられた仕様書通りにシステムを開発するだけでなく、そのシステムが最終的にどのようなビジネス価値を生み出し、どのような目標達成に貢献するのかという、より上位の視点を持つことができる。これにより、要件定義の段階で、KGI達成に真に必要な機能や、より効果的なシステム設計について、積極的に提案したり、議論に参加したりすることが可能となる。また、開発中に複数の技術的な選択肢や問題に直面した際にも、KGIに立ち返ることで、どちらの選択が最終目標達成により貢献するかという視点から、優先順位や解決策を判断する基準を得ることができる。システム稼働後も、KGIの達成度を測定するためのデータ収集機能やレポート機能をシステムに組み込むことで、ビジネス側がKGIを効果的に追跡・評価できるように貢献できる。このように、KGIはシステム開発プロジェクトにおけるすべての活動の意義を決定づけるものであり、システムエンジニアがその概念を深く理解し、自身の業務に落とし込むことは、開発するシステムの品質向上だけでなく、自身のキャリアアップにも繋がる重要な要素である。

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