実メモリ (じつメモリ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

作成日: 更新日:

実メモリ (じつメモリ) の読み方

日本語表記

じつメモリ (ジツメモリ)

英語表記

main memory (メインメモリ)

実メモリ (じつメモリ) の意味や用語解説

実メモリは、コンピュータがプログラムを実行したりデータを処理したりする際に、一時的に情報を記憶する物理的な装置である。メインメモリ、物理メモリ、あるいはRAM(Random Access Memory)とも呼ばれる。これはCPUが直接高速にアクセスできる記憶領域であり、システムの応答速度や処理能力に直結する非常に重要な要素だ。実メモリは、データを保持するためには常に電力供給が必要な揮発性メモリであるという特性を持つ。 コンピュータシステムにおいて、実メモリはOSや実行中のアプリケーション、処理中のデータが格納される主要な作業領域として機能する。例えば、ウェブブラウザを起動したり、文書作成ソフトウェアで作業したりする際、それらのプログラムコードやデータはストレージ(ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ)から実メモリに読み込まれる。CPUは、この実メモリに置かれた情報に直接アクセスし、命令を実行したりデータを操作したりする。ストレージは永続的なデータ保存に適しているが、アクセス速度は実メモリに比べて格段に遅いため、CPUが高速な処理を行うためには実メモリの存在が不可欠となる。実メモリが高速である理由は、半導体素子(一般的にはDRAM、Dynamic Random Access Memory)で構成されているためであり、電気信号を用いて瞬時にデータの読み書きができる。 実メモリの容量には限りがあるため、コンピュータは仮想メモリという技術を用いてこの制約を緩和する。仮想メモリは、ストレージの一部をあたかも実メモリであるかのように利用する仕組みだ。OSは、実メモリと仮想メモリを連携させ、アプリケーションが必要とするメモリ空間を効率的に管理する。具体的には、実メモリが不足した場合、OSは現在あまり使われていない実メモリ上のデータの一部をストレージの特定の領域(スワップファイルやスワップ領域と呼ばれる)に一時的に退避させ、空いた実メモリに新しいデータを読み込む。このデータを実メモリとストレージ間で移動させる処理は、ページングやスワッピングと呼ばれる。 しかし、スワッピングが頻繁に発生すると、システム全体の処理速度は著しく低下する。これは、ストレージへのアクセス速度が実メモリのアクセス速度に比べて圧倒的に遅いため、データ転送に時間がかかり、CPUがデータの到着を待つ時間が長くなるからだ。この状態は「スラッシング」と呼ばれ、ユーザーが体感するシステムの応答速度が大幅に悪化する原因となる。したがって、実メモリの容量は、システムの快適な動作と高性能を維持するために極めて重要な要素である。十分な実メモリ容量があれば、OSはアプリケーションのデータを実メモリ内に保持できる時間が長くなり、スワッピングの発生を抑制できる。これにより、CPUは常に高速なデータにアクセスできる状態を保ち、システム全体の応答性と処理能力が向上する。 実メモリの容量は、同時に実行できるアプリケーションの数や、各アプリケーションが扱えるデータ量に直接的な影響を与える。例えば、動画編集、3Dグラフィックスのレンダリング、大規模なデータベース処理、複数の仮想マシンを動作させるなどのメモリ消費が大きい作業では、実メモリ容量が不足するとパフォーマンスが大幅に低下するだけでなく、作業そのものが不可能になる場合もある。システムエンジニアを目指す上では、システム構築や運用において、利用目的や想定されるワークロードに対して適切な実メモリ容量を選定する知識が不可欠となる。 実メモリの性能は、その容量だけでなく、データ転送速度(周波数)やアクセス遅延(レイテンシ)といった要素にも左右される。これらの特性は、メモリモジュールの世代(例: DDR4、DDR5)によって進化しており、より高速で効率的なデータ処理を可能にしている。システムの総合的な性能を最大限に引き出すためには、CPUやストレージといった他のコンポーネントとのバランスを考慮し、実メモリを選定することが重要だ。実メモリは、コンピュータシステムの「作業台」とも言える存在であり、その広さや効率性がシステムの能力を決定づける基盤となっている。

実メモリ (じつメモリ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説